【市役所の仕事】「帰るのが寂しい」は、成果になりませんでした|移住施策のリアル
おはようございます。
市役所を退職し、
Webライターとして独立したボンベイです。
このnoteでは、
公務員からの独立のリアルを発信しています。
久しぶりに、
公務員時代の話を書きます。
「市役所職員時代の仕事」シリーズの第2弾です。
前回までは商工政策課で担当していた
スタートアップ企業の誘致について書きました。
今回は、同じ商工政策課での
もうひとつの担当だった
「移住施策」について。
少し長くなりそうなので、
何回かに分けて書いていきます。
「いい仕事ができた」と思った直後に、
たった一言で、
その手応えが消えたことはありませんか?
企業誘致は、
“事業”を動かす仕事でした。
でも移住施策は、
その人の“人生そのもの”に
関わる仕事です。
だからこそ、
他の施策では味わえない喜びがあり、
他の施策にはない引っかかりもありました。
今日は、その最初の話をします。
1. 顔の見えない仕事の中で、あの2週間だけは違った

市役所の仕事の多くは、
相手の顔が見えません。
書類を回し、庁内を調整し、
決裁のために根回しをする。
誰のためにやっているのか、
だんだん分からなくなってきます。
そんな中で、
私が担当していた移住体験ツアーは、
明らかに毛色が違いました。
とあるプラットフォームを活用した、
2週間のアルバイトつきの移住体験です。
参加者の方々には、
地元の事業者さんのところで
半日だけアルバイトをしてもらう。
残りの時間は自由に過ごし、
このまちで“市民として”生活してもらう。
宿泊先は市が準備しますが、
2週間の過ごし方はお任せです。
困り事があれば、市に相談してもらう。
相手は地方での生活に
興味がある一般の方。
利害関係もしがらみもない。
だから、この仕事は
肩肘を張らずにできたんです。
2. 最終日、みんなで記念写真を撮った

ツアーは何度か実施しました。
回を重ねるうちに、
すっかり仲良くなった方々もいて、
滞在期間中、懇親会に
誘っていただいたこともあります。
そして、最終日。
見送りの場で、
参加者の方からこう言われました。
「とても充実した2週間だった」
「帰るのが寂しい」
お世辞かもしれない。
気遣ってくれたのかもしれない。
それでも、
2週間このまちで過ごした人が
そう言ってくれたという事実は、
素直に嬉しいものでした。
最後は、みんなで
記念写真を撮りました。
私は、彼らと毎日一緒に
過ごしたわけではありません。
それでも、
このまちの環境や人を気に入って
帰ってもらえたなら、それでいい。
そう思いながら、
お見送りしました。
「いい仕事をしたな」
少し余韻に浸りながら、
役所へと戻りました。
3. その余韻を消したのは、たった一言だった

役所に戻って、報告をします。
「皆さん、満足して帰られました」
そこで返ってきたのが、
この一言でした。
「で、結局あの人たちは誰か移住してくれるの?」
「ウッ…!」
――さっきまでの余韻が、
音を立てて消えていきました。
モヤモヤしましたが、
私はその場で言い返せませんでした。
むしろ「確かにそうだよな」と
妙に納得してしまう気持ちが、
あとから湧いてきたからです。
これは、市の事業です。
税金でやっている以上、
成果を問われるのは当然のことでした。
「自分の考えが甘かった」と
1人反省会が始まりました。
4. 「いい仕事をした」は、成果がなければ0点なのか
家に帰ってからも、
その問いが頭から離れませんでした。
満足して帰ってもらえた。
いい仕事をしたと思っていた。
……でも、あの方たちが
誰も移住しなかったら、
この2週間は仕事として0点なのか。
ボランティアではなく、
仕事としてやっている以上、
成果ありきで動くべきなのか。
当時の私は、
異動したての商工1年目。
目の前の事業を回すことに必死で、
移住施策そのものを俯瞰して見る余裕が、
まったくありませんでした。
だからあの一言に、
まっすぐ削られてしまったのだと思います。
その気持ちを整理する言葉も、
まだ持っていませんでした。
今は、少し違います。
あの頃よりは俯瞰して見えるようになり、
移住施策そのものに対して
思うところもあります。
それは、次回以降に書いていきます。
あなたが「いい仕事をした」と感じた瞬間は、
数字として数えられるものでしたか?
もし数えられなかったとしたら、
それは、無かったことになるのでしょうか…。

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市役所を離れ、4月からWebライターとして新たな一歩を踏み出します。
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