いつも持ち歩いていた一枚|ことり日記|第五十八話
学生になっても、
学生らしいことをする時間は、
あまりありませんでした。
学割の乗車券を使ったのは、
スクーリングで、
遠くまで行くときくらい。
レジャーには、
使えなかったように思います。
そんなに、大きく安くなる
わけでもなかった気がします。
それでも、私は、
あの学生証を、
いつも免許証と一緒に、
持ち歩いていました。
使う機会は、
ほとんどなかったのに。
あの一枚が、
私が確かに学んでいる、
証だったから。
毎日は、ただ、過ぎていきました。
大人になってからの学生証は、
ただの割引のためのカードではありませんでした。
あの頃の私にとっては、
「まだ学んでいい」と言ってもらえたような、
小さなお守りのようなものでした。
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