「地球ラジオ」を聞きながら──お風呂で笑う子に救われた|ことり日記|第九話
「赤ちゃんと二人きりの夜。泣き声が響くたびに、私も泣きそうになっていた。
けれどその笑顔に、何度も助けられてきた──。」
夫を亡くしてからの毎日は、静かなようでいて、
どこか色のない世界でした。
それでも、目の前には生まれたばかりの命がありました。
泣いて、笑って、手を伸ばす小さな手。
そのひとつひとつの動きが、私の心を少しずつ柔らかくしていきました。
一人育児の始まり
夫の入院中から、私はほとんど一人で育児をしていました。
やるしかなかった──けれど、ただそれだけではなく、
母として、親としての責任を深く感じていました。
お風呂の時間は、唯一ほっとできる時間でした。
日曜の夕方、NHKの「地球ラジオ」を聞きながら、赤ちゃんをお風呂に入れました。
海外で暮らす人たちの話を聞きながら、
この子といつか行ってみたいな と、
湯気の向こうで想像していました。
湯船の中で笑う赤ちゃんの顔を見るたび、
色を失っていた世界に、少しずつ光が戻ってくるようでした。
小さな希望
義理の両親のこと、
借金のこと、
相続のこと。
頭の中には、答えの出ない不安がいつも渦巻いていました。
でも、目の前で笑う我が子を見ると、
「この子を守らなければ」
「この子のために、前を向かなければ」
そう思えたのです。 ───
子どもの笑顔は、どんな言葉よりも力強く、
私の心を支えてくれました。
振り返って
子どもの成長は、母である私の心を救いました。
悲しみを癒したのは、特別な言葉でも、制度でもなく、
小さな命のぬくもり、我が子の笑顔でした。
どんなに小さな幸せでも、それが希望の種になる。
そう信じて、今日もお湯を沸かします。
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言葉を綴ることが、誰かの心に届く灯りになりますように。
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