通信大学に通い始めた日|ことり日記|第三十五話
通信大学に通い始めた日
子どもがまだ小さかった頃のことです。
私は、もう一度勉強をしてみたい、と静かに思うようになりました。
きっかけは、母子相談員さんとの会話でした。
当時、相談員さんが、通信で資格取得の勉強をされていました。
仕事をしながら学び続けている姿をそばで見て、
「私にもできるのかもしれない」と思ったのです。
もちろん、不安もありました。
仕事と子育ての両立ができるのか。
時間は足りるのか。
途中で投げ出してしまわないか。
それでも、相談員さんが自然体で学んでいる姿を見るうちに、
心の中に、そっと小さな言葉が生まれました。
とりあえず、やってみよう。
通信大学は、費用を抑えられる点も、現実的でした。
スクーリングはありましたが、必要なときに行く、という形で、
日常は、ほとんどがレポート中心の学びでした。
教室に毎日通うのではなく、
自分で時間をやりくりしながら、課題に向き合う。
私の生活には、そのやり方が合っていました。
私は、資格そのものよりも、
「実際の生活の中で役立てられる学び」を選びました。
それが、通信大学を選んだ理由のひとつでもありました。
制度を利用するため、市への申請が必要でした。
書類を揃え、説明を書き、審査を受ける。
不慣れなことばかりでしたが、ひとつずつ、ゆっくり進めていきました。
学校への申し込みも、自分で行いました。
久しぶりに書く志望理由書は緊張しましたが、
「学びたい」という思いを込めて書きました。
書類審査に通り、入学も可能だとわかったとき、
胸の奥が、ふっと軽くなるような、不思議な嬉しさがありました。
母としての生活の中に、
自分自身の時間が戻ってくるような気がしたのです。
通信大学での勉強は、決して楽ではありませんでした。
家事や育児を終えて、深夜に机に向かう日々。
眠気と闘いながら、レポートを書く。
それでも、机に向かう時間が嫌だったことは、一度もありませんでした。
長いようで、あっという間でした。
実生活に活かせる知識を学び、
人としての視野が、少しずつ広がっていった四年間でした。
通信制でありながら、通学もでき、
仲間と出会い、学び続けることができました。
あの頃の私は、
自分でも思っていた以上に必死で、
でも、確かに前へ進んでいました。
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