「何も聞かない、ただ笑顔で迎えてくれる──一人で通うラーメン屋のカウンター席」|ことり日記|二十二話
夫とラーメンを食べに行くことが、ありました。結婚前の頃、行きました。
当たり前の日常でした。
───
夫が亡くなってから、ラーメンが食べたくなっても、私は一人では行けませんでした。
仕事終わり、休みの日。どうしてもあの味が食べたくなる時がありました。
でも、行けませんでした。
周囲の目が気になりました。一人で入ることが、なぜかとても勇気のいることに思えました。
今思えば、私だけが気にしていたのかもしれません。でも、当時の私には、それが大きな壁でした。
───
数年前のある日、どうしてもお店のラーメンが食べたくなりました。
勇気を出して、知った人に会わないように、離れた町のラーメン屋さんに行くことにしました。市外ですが、仕事終わりに行ける範囲でした。
時間をずらして、古い個人店のラーメン屋さんに入りました。
カウンターとテーブルがある、昔ながらのお店でした。
カウンターの角の席に座りました。
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年配の女性が、笑顔で迎えてくれました。
「いらっしゃい」
調理場からも、男性の声が聞こえました。
「いらっしゃい」
何も聞かれませんでした。
注文を聞かれ、ラーメンを食べて、帰る時には「ありがとうございました」と、顔を見て言ってくれました。
私も「美味しかったです。ごちそうさまでした」と笑顔と会釈で返しました。
それだけでした。でも、とても安心しました。
───
それから、私はそのお店に通うようになりました。
いつもカウンターの角の席に座ります。いつも同じ席です。
年配の女性は、私のことを覚えてくれています。市内の人ではないことも知っているようです。
私が入ると、何も聞かずにラーメンを注文してくれます。
名前も知りません。私の事情も知りません。
ただ、笑顔で迎えてくれます。あれこれ聞いてきません。話しかけてきません。
多分、お店のファンだと思ってくれているのだと思います。
───
そこに座っていると、私はただのお客さんでいられます。
「かわいそうな人」でもなく、「一人で来ている人」でもなく、ただラーメンを食べに来たお客さんです。
何も説明しなくていい。何も聞かれない。ただ、笑顔で迎えてくれる。
それが、どれだけ救いになったか。
───
今も、私はそのお店に通っています。
カウンターの角の席に座って、ラーメンを食べます。
帰る時には、「美味しかったです。また来ます」と言います。
「ありがとうございました」と、顔を見て言ってくれます。
私も「ありがとうございました」と、笑顔と会釈で返します。
その場所があってよかった。その人たちに出会えてよかった。
何も聞かない、ただ笑顔で迎えてくれる。それだけで、私は安心して座ることができます。
⭐️追記⭐️
このラーメンの記事を、素敵なマガジンに加えていただきました。
読んでくださった方の優しさに触れ、胸があたたかくなりました。
本当にありがとうございます🕊️✨
✅天野 雫 ✿ 占い日記 〜心のしずく〜さん、素敵なマガジンに加えていただき本当にありがとうございます。
素敵なnote、み〜つけた📖✨️
✅りこ@一生養生 https://note.com/riko_83さん、素敵なマガジンに加えていただき本当にありがとうございます。
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