生成AIでコンサルは不要になるのか?消える仕事と残る役割(PMO・コンサルの将来)
生成AIでコンサルは不要になるのか|現場の違和感
「生成AIでコンサルは不要になる」
最近、そんな話をよく聞きます。
でも、現場を見ていると少し違う景色が見えてきます。
正直に言うと、私自身も最初はこう思いました。
「これ、コンサルって本当に必要なのか?」
生成AIの進化を見ていると、そう感じるのも無理はありません。
資料の叩き台は短時間で整い、会議の議事録は自動で要約され、市場分析もそれらしいフレームワーク付きで提示されるようになりました。
これまで“それなりの時間と人件費”をかけていた作業が、数分で終わるようになったのです。不安を感じる人がいても、まったく不思議ではありません。
特に若手コンサルや、PMO寄りのポジションにいる人ほど、将来に対する不安を強く感じるはずです。ただ、いくつかのプロジェクトを見てきて、私は少し考え方が変わりました。
なくなるのは「作業」かもしれない。
しかし、なくならない役割もあります。
それは、人間関係の摩擦を引き受ける役割です。
今日は、その点について、できるだけ現実に近い形で書いてみます。
生成AIでなくなる仕事|作業系コンサルの変化
この点については、否定するのは難しいと思います。たとえば、これまでコンサルの現場でよく行われてきた作業には、次のようなものがあります。
・市場調査の叩き台づくり
・SWOTや3Cの整理
・パワーポイントの骨子作成
・議事録の整理
・データの一次分析
こうした作業の多くは、すでに生成AIの方が速く処理できます。
しかも、疲れたり文句を言ったりすることもありません。
これまで若手が深夜までかけて作っていたスライドも、今では短時間で形になります。
この部分は、これから確実に変わっていく領域だと思います。
ただ、それは「価値が消える」というよりも、評価されるポイントが少し変わるだけなのではないか、と私は感じています。
これからは「きれいな資料を作れる人」よりも、「意思決定を前に進められる人」の価値が上がる。
そういう変化が起きているだけなのかもしれません。
AIにできない仕事|組織の摩擦と意思決定
少なくとも現時点では、この部分はAIが苦手な領域です。
これまで私が見てきたプロジェクトで、コンサルが担っていた役割を思い返してみると、次のようなものが多くありました。
具体的には、次のような役割です。
・進捗が遅れている社外パートナーに対して調整を行う
・意思決定を先延ばしにしている役員に期限を設定する
・曖昧な責任範囲を整理して言語化する
言い換えると、誰かが嫌われ役を引き受けなければ前に進まない場面があるということです。
AIは正しい答えを提示することはできます。
しかし、人に対してプレッシャーをかけたり、組織の中で摩擦を引き受けたりすることはできません。
組織というものは、理屈通りには動かないからです。
例えば、次のような人たちです。
・変化を嫌う人
・責任を取りたくない人
・「前例がない」と言う人
・本当は反対なのに沈黙している人
こうした人たちがいる空気の中で、プロジェクトは進んでいきます。
ロジックが正しくても、人が動かなければ物事は前に進みません。
その意味で、この領域では今も人間の役割が大きいと言えるでしょう。
PMOの役割は消えるのか|AIでは見えない制約
タスク分解、スケジュール設計、リスクの洗い出し。
これらは、正直なところAIでもそれなりにできます。
しかし現実のプロジェクトでは、次のような事情がよく出てきます。
「この部署は今繁忙期なので対応できない」
「あの役員の承認がないと止まる」
「前回の炎上案件の影響でベンダーが慎重になっている」
こうした“空気の制約条件”は、AIには見えません。
プロジェクトは数学の方程式のようには進みません。
実際には、組織の政治や人の感情が大きく影響します。
そのため、PMOのように全体を見ながら摩擦を調整し、プロジェクトを前に進める役割は、簡単には消えないと思います。
むしろ、こうした役割の重要性はこれから高まる可能性すらあります。
コンサルが残る理由|嫌われ役という役割
少し現実的な話になります。
企業の本音としては、次のような事情があることも珍しくありません。
・面倒な調整は外部に任せたい
・社内の対立を自分で作りたくない
・外部の専門知見を入れることで意思決定の妥当性を担保したい
こうした事情が存在するのも事実です。
これはきれいごとではなく、合理的な判断です。
社内の人が強く出ると、その後にしこりが残ることがあります。
しかし外部コンサルであれば、「役割として行っている」という形で受け入れられやすい。
つまり、推進役を外部に委ねるという構造です。
生成AIは摩擦を引き受けません。責任も取りません。
だからこそ、「名前と契約を持つ人間」の存在は、すぐには消えないでしょう。
AI導入でコンサル需要は増えるのか
興味深いのはこの点です。
「生成AIでコンサルは不要になる」という声がある一方で、多くの企業は今こう考えています。
たとえば、次のような疑問です。
・セキュリティはどうするのか
・誤回答による事故が起きた場合はどう対応するのか
・ガバナンスはどう整備するのか
・業務フローはどう変えるのか
こうした問題を、社内だけで決めきれない企業は少なくありません。
その結果、外部の専門家が関与することになります。
コンサルであれ、SIerであれ、導入パートナーであれ。
生成AIは既存の仕事を減らす一方で、新しい仕事も生み出しています。
これからのコンサルに必要なスキル
かつては、
・情報を多く持っている
・フレームワークを知っている
・分析手法を知っている
これだけでも価値がありました。
しかし今は、検索すれば多くの情報が手に入り、生成AIに聞けば整理された形で答えが返ってきます。
その結果として、これから重要になるのは次のような力だと思います。
・意思決定を前に進める力
・利害関係者を調整する力
・責任から逃げない姿勢
・最後までやり切る管理力
これからは肩書きよりも、実際にどんな役割を果たせるのかが問われる時代になってきていると感じます。
生成AI時代のコンサルの生き残り戦略
コンサル個人としてできることは、意外とシンプルです。
・AIを積極的に使う
・作業時間を減らす
・対話の質を高める
・組織の力学を読む
AIは「正解に近いもの」を提示することは得意です。
しかし企業が求めているのは、現実の組織で実行できる答えです。
そこには、まだ人間の役割があります。
生成AI時代でもコンサルは不要にならない理由
生成AIでコンサルは不要になるのか。私は、完全に消えるとは思っていません。資料作成を中心とした役割は減るかもしれません。しかし、プロジェクトを前に進める役割は残る可能性が高いでしょう。
企業が求めているのは、「正しい答え」だけではありません。
実際に物事が前に進む答えです。
そして、物事を前に進めるには、誰かが摩擦を引き受けなければなりません。AIは組織内の感情や利害関係を直接背負うことがありません。だからこそ、人が引き受ける役割が残る部分もあるのだと思います。
コンサルの未来|不安の正体と向き合う
不安を感じるのは、それだけ真剣に考えている証拠でもあります。
重要なのは「なくなるかどうか」を議論することよりも、「何が残るのか」を見極めることです。
作業の多くはAIが担うようになるかもしれません。
一方で、摩擦や責任を引き受ける役割は人に残るでしょう。
その構造が見えてくると、不安は少し整理されます。
そして、その先からが本当の勝負なのだと思います。
※本記事は一般的な業界構造と筆者の見聞をもとにした考察です。特定企業や個人を指すものではありません。
現場事例|生成AI時代のコンサルの実態
ここからは、本編より少し踏み込んだ話を書きます。
ここまでの内容は比較的抽象的な議論でしたが、ここからはもう少し具体的な現場の話に触れてみます。きれいに整理された理論というより、実際のプロジェクトの中で起きていることに近い話です。企業名などは出せませんが、匿名ベースでできるだけ実感に近い温度感で書いてみます。
事例|基幹システム刷新で起きた現実
ケース:基幹システム刷新プロジェクト(売上規模 数百億円企業)
ある中堅企業で、基幹システムの全面刷新プロジェクトが立ち上がりました。目的はDX推進です。プロジェクト期間は18か月で、外部コンサルがPMOとして参画していました。
計画自体はよくできていました。
タスク一覧はかなり精緻に整理されており、スケジュールも現実的でした。主要なリスクも事前に洗い出されており、プロジェクト計画としては十分に整っていたと言えます。
しかし、プロジェクトは開始から3か月ほどで止まってしまいます。
理由は単純でした。
営業部が協力しなかったのです。
さらに理由を掘り下げると、もっと単純でした。
「今のシステムでも特に困っていない」
現場の営業部門はそう考えていたのです。
ここからがPMOの仕事でした。
具体的には、次のような対応を行いました。
・営業部長との個別面談
・経営層への進捗状況の可視化資料の作成
・「このまま進まなかった場合に起きる将来リスク」のシナリオ提示
・ベンダーと社内組織の間の調整
ロジック自体は、最初から間違っていませんでした。
ただ、人が動かなかったのです。
最終的にはプロジェクトは軌道に戻りました。
成功の要因は、スケジュール管理そのものではありませんでした。
組織の空気を変えることができた点が大きかったと思います。
この役割は、少なくとも現時点の生成AIが担えるものではありません。
PMOコンサルの単価はどう変わるのか
PMO型コンサルの単価は、今後ある程度二極化していく可能性が高いと考えています。
まず、単価が下がる可能性のある層があります。
・議事録作成を中心とした業務
・進捗管理の補助
・資料整理を中心としたサポート業務
こうした役割は、今後単価が下がる可能性があります。
理由は比較的明確です。
AIや各種ツールによって代替できる部分が増えているためです。
時給換算で見ると、「補助者ポジション」に近い役割は圧縮されていく可能性があります。
一方で、単価が上がる可能性のある層もあります。
例えば、次のような能力です。
・意思決定を前に進められる
・複数ベンダーを統制できる
・炎上案件を立て直せる
・経営層と対等に議論できる
こうした役割を担える人材の価値は、むしろ上がる可能性があります。
理由は単純です。
プロジェクトの失敗コストが年々大きくなっているからです。
AI導入、DX推進、基幹システム刷新などのプロジェクトは、失敗すると損失が億単位に達することも珍しくありません。
そのため企業は、「安い人材」よりも「プロジェクトを前に進められる人材」に対して対価を払う傾向が強くなります。
整理すると、次のような傾向になります。
・補助型PMOは単価が下がる可能性がある
・推進型PMOは単価が上がる可能性がある
・AIを活用できるPMOはさらに強い
肩書きではなく、実際に果たしている機能で価値が決まる時代になりつつあります。
AIを使ってコンサルの単価を上げる方法
AIは脅威として語られることも多いですが、使い方次第では大きな武器になります。
単価を上げている人の多くは、AIを次のように使っています。
まず、準備時間の短縮です。
具体的には、次のような準備です。
・会議前の論点整理
・競合事例のリサーチ
・想定質問の整理
こうした作業はAIで短時間に処理できます。
その結果として生まれた時間を、「人と話す準備」に使うことができます。
次に、リスク想定の幅を広げる使い方です。
例えば、次のようなパターンです。
・最悪ケース
・組織内の抵抗勢力の反応
・導入失敗のシナリオ
こうしたパターンを事前に整理しておくことができます。
結果として、実際の議論で詰まりにくくなります。
もう一つは、叩き台を早く提示することです。
プロジェクトではスピードが信用につながります。
「来週までに整理します」と言うよりも、「まず方向性の案を出します」と言える人の方が信頼されます。
AIで下書きを作り、人間がそこに文脈や温度感を加える。
このハイブリッドの使い方は、かなり強いと思います。
ここで重要なのは一点です。
AIで作った資料をそのまま提出する人は、むしろ単価が下がります。
AIで作業時間を短縮し、その分を対話や説得に使う人は、単価が上がります。
消えるコンサルの特徴|淘汰される人材
少し厳しい書き方になりますが、現場で見かける傾向として挙げておきます。
まず、作業で価値を証明しようとする人です。
「資料をきれいに作れます」
これは以前ほど差別化にならなくなっています。
次に、AIを使わない人です。
効率が低いということは、結果的にコストが高いということでもあります。
クライアントはその点を意外とよく見ています。
三つ目は、組織の力学を読まない人です。
正論だけを言うタイプの人です。
しかし、プロジェクトは正論だけで進むとは限りません。
四つ目は、責任を引き受けない人です。
「それは御社の判断です」
この言葉を繰り返すだけでは、外部としての価値は出にくいでしょう。
外部の立場であっても、一定の覚悟が求められる場面はあります。
最後は、いわゆる評論家型の人です。
提案だけを行い、実行フェーズになると存在感が薄くなるタイプです。
これから求められるのは、提案型というより伴走型のコンサルだと思います。
生成AI時代のコンサルに残る役割
生成AIは、コンサルという仕事そのものを消す存在というより、「作業に逃げる余地」を減らす存在なのではないかと感じています。
これまでのように、作業量そのものを価値として説明することは難しくなります。
特に重要になるのは、次のような要素です。
・物事を前に進める力
・利害関係を調整する力
・責任を引き受ける覚悟
こうした要素がより強く問われるようになります。
PMO型コンサルは不要になるのか。
個人的には、むしろ本当に機能している人だけが残る時代になるのではないかと思っています。
厳しい変化ではありますが、見方を変えればフェアな変化でもあります。
そして、準備している人にとっては、むしろチャンスの大きい時代でもあるはずです。
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