ビットコインに賭ける会社 ー リミックスポイントの挑戦
はじめに
「ビットコインって上がるの?下がるの?」
そんな会話を友達同士でしたことがある人は多いでしょう。ニュースでも「暗号資産」「仮想通貨」という言葉はよく聞きます。でも、それを会社の資産の中心にしてしまおうという大胆な企業があるとしたら、どう思いますか?
株式会社リミックスポイントのワラントをベースに、ワラントの解説記事を書いてみました。リミックスポイントは、今回のワラントでは、集めたお金をビットコインにつぎ込みます。
「株を新しく発行して資金調達する」くらいは聞いたことがあるかもしれません。でもリミックスポイントが使ったのは**「新株予約権(ワラント)」**という仕組み。さらに、調達した数百億円規模の資金をビットコイン購入に充てるという思い切った戦略をとっています。
この文章では、学生でも理解できるように「新株予約権とは何か?」「なぜビットコインなのか?」「リスクとリターンはどうなるのか?」を解説していきます。
1. リミックスポイントってどんな会社?
リミックスポイントは、現在、エネルギー系の事業をやっている会社です。しかし、最近では特に「暗号資産投資」に力を入れてきています。
2024年に「金融投資事業」を始めたのをきっかけに、ビットコインなどを次々と購入。すでに167億円分の暗号資産を保有していると発表しています。
普通の会社なら「電気を安く売ります」「ITサービスを広げます」といった方向に投資するところですが、リミックスポイントは、「会社の価値をビットコインで高める」という方向に進んでいるのです。
2. 「新株予約権」ってなに?
さて、このビットコイン投資に必要なお金。リミックスポイントはどこから持ってきたのでしょうか?
答えは「新株予約権(しんかぶよやくけん)」です。
新株予約権とは、ざっくり言うと**「将来、あらかじめ決められた値段で株を買える権利」**のこと。
例えば、今リミックスポイントの株価が500円だとします。ある投資家が「新株予約権」を持っていると、株価がどう動こうが「○○円で買えますよ」と約束されているのです。
投資家はその権利を行使(使う)と、株を安く手に入れられる。会社はその代わりに現金を得られる。これが資金調達の仕組みです。
3. リミックスポイントの第25回ワラント
リミックスポイントは2025年7月に「第25回新株予約権」を発行しました。
割当先は海外の投資ファンド EVO FUND。
数字を整理するとこんな感じです。
発行数:550,000個(1個につき100株)
株に換算すると:最大5,500万株分
調達できるお金:約315億円(理論値)
使い道:ほぼ全部「ビットコイン投資」
つまり、株の新しい発行枠をEVO FUNDに渡して、そのお金をビットコイン購入に使うということです。
4. 実際にどう動いたか?
2025年8月1日~14日の約2週間だけで、すでに759万株が実際に行使されました。
これは発行されたワラントの**約13.8%**に相当します。
このときの行使価格は 456~462円。
EVO FUNDが権利を使うたびに、会社には資金が入り、その資金でまたビットコインを購入できるという流れです。
つまり、リミックスポイントは株式市場とビットコイン市場をつなぐ“架け橋”のような動きをしているのです。
5. メリットとリスク
もちろん、この仕組みにはメリットとリスクの両方があります。
メリット
一度に借金せず、段階的に資金を集められる
株価が上がればより多くのお金を調達できる
投資家が興味を持ちやすい
リスク
新しい株が増えることで、既存の株主の持ち分が薄まる(希薄化)
EVO FUNDが株を市場で売れば株価が下がる
株価が下がりすぎると、予定通りのお金が集まらない
6. なぜビットコインなのか?
「でも、なんでそんなにビットコインにこだわるの?」と思う人もいるでしょう。
リミックスポイントが考えているのは、ビットコインは「デジタルゴールド」だということです。
発行枚数が2100万枚で固定されている
世界中で取引されていて信頼がある
長期的には価値が上がりやすい
こうした理由から、リミックスポイントは「現金や円を持つより、ビットコインを持つ方が会社の価値を高められる」と判断しているのです。
7. 株主にとっての影響 ― 希薄化の壁
リミックスポイントが発行した「第25回新株予約権」は、もしすべて行使されると5,500万株が新たに発行されることになります。
これは2025年3月末の発行済み株式数(約1億2,535万株)の43.9%分にあたります。つまり、株主が持っている会社の「持ち分」がそれだけ薄くなるのです。
さらに直前の「第24回ワラント」もすべて行使されていて、そこでは1250万株がすでに増えています。これを合わせると、持ち分の薄まりは実に半分以上。
「会社のケーキを切り分けるとき、切る人数が増えれば自分の取り分は減る」
株の世界ではこれを「希薄化」と呼びます。既存株主にとっては、せっかく持っている株の価値が相対的に下がってしまう可能性があるのです。
8. なぜこの方法なのか? ― 資金調達の選択
資金調達の方法は、他にもいろいろあります。例えば:
公募増資:一般の投資家に新株を売る
借入や社債発行:銀行からお金を借りたり、債券を出したりする
ライツ・イシュー:株主全員に「新株予約権」をタダで配る
でもリミックスは、それらを選ばずにEVO FUNDとの「第三者割当ワラント」を選びました。
理由はシンプルです。
株価に大きなショックを与えずに、確実に資金を調達できる可能性が高いからです。
たとえば公募増資だと「本当に投資家が買ってくれるか分からない」リスクがありますし、借入だと借金が増えて将来の返済負担が重くなります。
一方でワラントなら、投資家が株を買うたびに資金が入ってくる仕組み。時間はかかるけれど、資金の調達確度は高い。
つまり、リミックスにとっては「現実的で大胆な選択」だったのです。
#2025/08/19追記
本日、当初の想定金額が集められないと判断し、今回のワラント減らすニュースがありました。
9. 株価と投資家の視線
リミックスポイントの株価は、ワラントの行使価格に連動して大きく動きます。EVO FUNDが実際に権利を行使して株を得ると、その後に市場で売却する可能性があるからです。
大量に株が売られると、当然株価は下がります。
そのため市場では「短期的には株価の下押し圧力になるのでは?」と懸念される声もあります。
一方で、暗号資産投資に積極的な姿勢は一部の投資家にとっては魅力的です。実際、2024年の第24回ワラントで調達した約59億円をビットコインに投じた結果、リミックスの時価総額は大幅に増えたという事実があります。
つまり市場は「希薄化のリスク」と「暗号資産投資による成長性」を天秤にかけている状況なのです。
10. ビットコインは本当に「デジタルゴールド」か?
リミックスポイントが頼みの綱にしているのはビットコインです。
発行枚数が2100万枚に制限されている(つまり「希少性」がある)
世界中で流通しているため「流動性」が高い
ハッキングで盗まれたことはあっても、ビットコイン自体の仕組みは壊れていない
こうした理由から、リミックスポイントはビットコインを「デジタルゴールド」と呼び、将来の資産価値上昇を信じています。
確かに価格は乱高下します。でも長期的には「法定通貨(円やドル)よりも価値が守られる」と考えているのです。
ここで学生のみなさんに一つたとえ話。
「夏祭りで金券を買ったら、その金券は祭りの会場でしか使えません。でも、もしその金券が全国どこでも使えて、しかも毎年価値がちょっとずつ上がっていくとしたら?」
多くの人はその金券を欲しがるでしょう。ビットコインは、ある意味それに近い存在なのです。
11. リミックスの挑戦から学べること
リミックスポイントの取り組みは、株主にとっては賛否両論です。
「株が増えすぎるのは困る」という声もあれば、「暗号資産に本気で賭ける姿勢は面白い」と評価する声もある。
でも、この事例から学べることはたくさんあります。
会社は資金調達の手段を選べる
公募増資、借入、社債、ワラント…。それぞれメリット・デメリットがあり、戦略に合わせて選ばれる。リスクをとるからこそリターンがある
ビットコイン投資は値動きが激しいけれど、成功すれば会社の価値を大きく押し上げる。投資家は常に天秤を見ている
「希薄化のデメリット」 vs 「暗号資産による成長性」。そのバランスで株価が決まる。
12. 学生へのメッセージ
学生のみなさんにとっては「株」や「資金調達」なんてまだ遠い話かもしれません。でも、こうしたニュースを知っておくと、将来の金融リテラシーにつながります。
お金を集める方法はいくつもある
どの方法を選ぶかで、会社の運命が変わる
暗号資産はすでに社会の中で現実の投資対象になっている
将来、自分が会社を作るかもしれません。あるいは投資する側になるかもしれません。そのときに「リミックスポイントがやったみたいに、会社ってビットコインに賭けることもできるんだ」と思い出してほしいのです。
おわりに
リミックスポイントの戦略は、言ってしまえば**「会社の未来をビットコインに賭ける」**ものです。
そのために「新株予約権」という仕組みを使って、数百億円規模の資金を投資ファンドから調達している。
大胆すぎるかもしれません。でも、こうした企業の動きを追うことで、金融や投資の世界のダイナミズムが見えてきます。
「株主にとってプラスかマイナスか?」という単純な答えはありません。
ただ一つ言えるのは、こうした大胆な挑戦があるからこそ、市場は常に動き、未来が開けていくのです。
おまけ(所感の雑多)・・・
数多くの企業がビットコインを購入しているからビットコインは安心だと思わないでください。企業もリスクを承知でビットコインを購入しています。絶対はありません。
2025/07/09にリリースされているストックオプションの件です。
250円到達時に権利を消滅とするのではなく、250円到達時に570円で強制執行といった条項にすべきだったと思います。そうすれば、時価総額だけでなく、現在のワラント前の株主を意識した企業と思ってもらえたと思います。
appendix
「この人、他にどんなことを書いているんだろう」
と、もし気になった方だけ、のぞいてもらえたら嬉しいです。
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