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電気自動車時代に“待った”をかける合成燃料車の可能性〜まだ“EVが正義”だと思っていませんか?〜

はじめに

「次に買う車はEVですか?」

この質問に、迷わず「はい」と答える人が増えてきた。

ガソリン車の時代は終わり、電気自動車(EV)こそが未来だと、テレビも雑誌もYouTubeもそう言う。国の補助金や、大手メーカーのEVシフト、さらには欧州の「2035年内燃機関禁止」など、時代の風はEVの方へ大きく吹いている。

でも、ちょっと待ってほしい。本当に電気自動車だけが未来なのか?水素やEVとは異なるアプローチで、既存インフラを活かせる現実的な選択肢がある。

それが、「合成燃料車」――e-fuelで走るクルマだ。


合成燃料(e-fuel)って、そもそも何?

電気(再生可能エネルギー)を使って、人工的に作られた燃料のことだ。作り方はこうだ。

  • を電気分解して、**水素(H₂)**を取り出す。

  • 工場や空気中から**二酸化炭素(CO₂)**を集める。

  • これらを化学反応させて、ガソリンや軽油と同じような炭化水素系燃料を合成する。

つまり、空気中のCO₂と水を原料に、再エネの力で作られた「人工ガソリン」。理論上は、回収したCO₂を再利用することで排出と吸収を相殺できるが、実際には製造時のエネルギー源やプロセス次第で排出量は大きく変わる。

従来のエンジン車にそのまま使える場合も多く、「インフラを丸ごと変える必要がない」という意味で、極めて現実的な解決策だ。


電気自動車(EV)の"光と影"

EVはたしかに素晴らしい技術だ。走行中にCO₂を出さないし、加速は滑らかで静か。メンテナンスも少ない。

でも、「EV=完全にクリーン」はちょっと早計だ。

1. バッテリー製造の環境負荷

EVの心臓部であるリチウムイオン電池は、リチウム、ニッケル、コバルトなどの鉱物を大量に必要とする。これらの採掘や精製には、多大なエネルギーと水資源が必要で、CO₂も排出される。

また、採掘現場では労働問題や環境破壊も指摘されている。

2. 発電の電源構成問題

EVは「走行中はクリーン」でも、その電力が火力発電由来であれば、ライフサイクル全体で見た排出削減効果は限定的になる。ただし、再生可能エネルギー比率が上がるほど優位性は高まる。

日本は再生可能エネルギーの比率がまだ少なく、火力依存が高い。
EVシフトが進んでも、発電所が変わらなければCO₂削減効果は限定的だ。


合成燃料車の"見過ごされてきた強み"

合成燃料車の最大の魅力は「今ある仕組みを活かせること」だ。

1. エンジン車をそのまま使える

e-fuelは既存のエンジン車にも使える。つまり、新車だけでなく、今乗ってるクルマもそのままカーボンニュートラル化できる可能性がある。

これは、途上国など、EVインフラが整っていない地域にとっても大きな意味を持つ。

2. インフラを大きく変える必要がない

日本には今、約29,000軒のガソリンスタンドがある(2024年時点)。
EVの充電スタンドが増えているとはいえ、ガソリンスタンドのネットワークにはまだ及ばない。

でも、e-fuelなら既存の給油インフラをそのまま活用できる
大掛かりなインフラ投資をせずに、持続可能な交通手段へ移行できるのだ。

3. 保存と運搬が簡単

電気は「その場で使うもの」。大量に長期間保存したり、遠くに運ぶのは難しい。
でもe-fuelは液体。タンクで貯めて、タンカーで運べる。
ガソリンと同じように、季節や場所を問わず供給できるのだ。


ガソリンスタンドは減っていない? 増えている会社もある現実

「ガソリンスタンドがどんどん減ってる」と聞いたことがあるかもしれない。
たしかに、過去20年で半分以下になった。

でも、その中身を見ると少し違う。

大手元売り会社や商社が中小のスタンドを買収・再編し、ブランド統一を進めている。
コンビニや家電量販店が、競争と統廃合で巨大化したのと同じ流れだ。

これからのスタンドは、EV充電・水素供給・e-fuel給油などを併設する「マルチエネルギーステーション」として再定義されつつある。

つまり、e-fuelは既存インフラを活用できるポテンシャルがあるが、実際の供給網はまだ実証段階にある。


世界の動き:EUが合成燃料車を例外扱いに

2023年、EUは「2035年以降の内燃機関の販売禁止」に対して、e-fuelのみを使用する車両に限り例外を認める方向性を示した。

これは事実上、「EVだけじゃない道も残す」という宣言だ。

ポルシェ、フェラーリ、トヨタといった各社もe-fuelに投資している。
特にポルシェはチリにe-fuelプラントを建設。すでに少量の生産も始まっている。

これは、「高級スポーツカーがEV化できないから」という理由だけではない。
長距離・高出力・耐久性が必要な分野では、エンジンが最適なことも多いからだ。


合成燃料車の課題と、これから

もちろん、e-fuelにも課題はある。

  • 製造コストが高い

  • エネルギー効率が低い(EVより多くのエネルギーが必要)

  • 技術的にはまだ発展途上

しかし、再生可能エネルギーが余るようになってきた今、
その余剰電力の貯蔵・有効利用手段としてe-fuelが注目され始めている。

「余った太陽光で作った燃料で車を走らせる」――そんな未来が、思ったより近いかもしれない。


おわりに:EVか? 水素か? いや、合成燃料車かもしれない

EVの未来は明るい。
水素の可能性も無視できない。

でも、“唯一の正解”があるとしたら、きっとそれはまだ出ていない。
むしろ、**いろんな選択肢を共存させることが「現実的な正解」**なのかもしれない。

そして、その中でも「既存の仕組みを生かせて、CO₂削減の可能性を持つ」合成燃料は、今後の選択肢の一つとして確実に存在感を増していく。

あなたが次に乗る車が、EVでも水素でも構わない。
でも、このe-fuelの存在だけは――ちょっと、頭の片隅に置いておいてほしい。


appendix

「この人、他にどんなことを書いているんだろう」
と、もし気になった方だけ、のぞいてもらえたら嬉しいです。

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おまけ

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