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ゲームセンターは本当に終わるのか― 北米・中国・GiGOから見える「リアル体験ビジネス」の未来 ―

はじめに ― 消えたように見える産業

「ゲームセンターはもう古い」

そう感じている人は多いかもしれません。実際、経済産業省の統計でもゲームセンターの店舗数は長期的に減少傾向にあります。街からネオンが消え、かつて当たり前だった風景が静かに姿を変えてきました。

クレーンゲームのアームが動く音。メダルゲームのジャラジャラという金属音。格闘ゲームのボタンを叩くリズム。かつて日本の街角には、そんな音が自然に溶け込んでいました。

しかし今、ゲームセンターは「消えゆく業態」として語られています。

ところが視点を世界に広げると、まったく違う景色が見えてきます。北米では「大人の社交空間」として、中国では「巨大な体験型エンタメ施設」として、ゲームセンターはむしろ新しい形に進化しています。

そして、この変化をビジネスとして捉え始めている日本企業がGENDAです。

本記事では次の四つの視点から、ゲームセンターという業態の現在地を整理します。

・北米のゲームセンター市場
・中国の体験型エンタメ施設
・日本のGiGO戦略
・クレーンゲームを支えるプライズIP市場

この四つをつなげて見ていくと、「ゲームセンターの未来」は少し違った姿で見えてきます。



世界で再発明されるゲームセンター

ゲームセンター文化というと、日本独自のものだと思われがちです。しかし実際には、アーケードゲーム文化は世界各地に存在してきました。現在、特に興味深い動きを見せているのが北米と中国です。

この二つの市場は進化の方向こそ異なりますが、よく見ると共通点があります。それは「リアル体験」という価値です。


北米 ― 大人の遊び場としての進化

北米でも1980年代にはアーケードゲームが大きな人気を集めました。Pac-Man(パックマン)やStreet Fighter(ストリートファイター)といったタイトルは世界的なヒットとなり、ショッピングモールや街角にはゲーム機が並んでいました。

しかし家庭用ゲーム機の進化とオンラインゲームの普及によって、従来型のゲームセンターは急速に衰退していきます。

ところが2010年代に入ると、新しい形のアーケード文化が登場します。それが「Barcade(バーケード)」です。

BarとArcadeを組み合わせた言葉で、クラフトビールを飲みながらレトロゲームを楽しむ店を指します。1980〜90年代のゲームで遊びながら友人同士で対戦し、会話を楽しむ。ゲームセンターは「子どもの遊び場」から「大人の社交空間」へと役割を変えました。

さらに北米では、より大型のエンターテインメント施設も増えています。代表例がRound1 USAやDave & Buster'sです。これらの施設ではアーケードゲームだけでなく、ボウリング、スポーツバー、レストランなどが一体化しています。もはや従来のゲームセンターというより、総合レジャー施設です。

北米市場では、ゲームそのものより「友人と過ごす時間」や「共有される体験」に価値が置かれています。


中国 ― 巨大体験施設としての進化

中国では別の方向で進化が進んでいます。近年急増しているのが、Location Based Entertainment(LBE)と呼ばれる体験型施設です。

VRアトラクションや体験型ゲームを組み合わせたリアルエンターテインメント施設で、大型ショッピングモールの集客装置として導入されるケースが増えています。ゲームセンターというより、体験型テーマパークに近い存在です。

中国では都市化の進展とともに巨大ショッピングモールが急増しました。その中で重要な役割を担っているのが体験型エンターテインメント施設です。クレーンゲーム、VRアトラクション、体験型ゲーム、キャラクター展示などが並び、巨大なエンタメ空間を形成しています。

さらに中国市場の特徴として挙げられるのがSNSとの結びつきです。小紅書(RED)や抖音(Douyin)といったSNSの影響力が非常に大きく、施設も「写真を撮りたくなる空間」や「動画をシェアしたくなる演出」を強く意識しています。

つまり中国では、ゲームセンターが「SNSで拡散される体験施設」として広がっています。


共通点 ― リアル体験の価値

北米と中国。この二つの市場は方向性こそ違いますが、共通点があります。

それがリアル体験の価値です。

オンラインでは再現できない体験が、リアル施設には残っています。そのためゲームセンターは、「ゲーム機の集合体」から「体験を提供する空間」へと変わりつつあります。


GiGO戦略 ― GENDAが狙うもの

こうした世界の変化を踏まえると、日本でも似た動きが見えてきます。その代表例がGENDAグループのゲームセンターブランド「GiGO」です。

このブランドは、かつてセガが展開していたゲームセンター事業を再編する形で誕生しました。現在GiGOはGENDAグループの中核ブランドとして全国に展開されています。

店舗を見てみると、従来のゲームセンターとは少し違う景色が見えてきます。格闘ゲームや音楽ゲーム中心だった店舗構成は、クレーンゲームやキャラクターイベントへと重心を移しています。

ここで重要になるのがIPビジネスです。アニメやゲーム作品とコラボした限定景品やイベントを展開することで、ファンが店舗を訪れる理由が生まれます。ゲームを遊ぶ場所というより、キャラクターコンテンツを体験する場に近づいています。

さらにGENDAはM&Aによって店舗ネットワークを拡大してきました。ゲームセンターだけでなくカラオケやエンタメ施設を取り込みながら、リアルエンタメの拠点を増やしています。

この事業構造を見ると、GiGOは単なるゲームセンターではなく、IPイベントを展開するリアル拠点へと変化しています。


GENDAの海外戦略

GENDAは2023年、アメリカのPlayer One Amusement Group(P1AG)を買収しました。この会社はショッピングモールや映画館、レストランなどにアーケードゲーム機を設置するビジネスを展開しています。

さらにNational Entertainment Network(NEN)もグループに取り込みました。NENは北米で大規模なゲーム機設置ネットワークを持つ企業です。

つまりGENDAは、ゲームセンター店舗だけでなく「ゲーム機の流通ネットワーク」にも北米で関与する体制を構築しつつあるとも言えます。


クレーンゲーム市場 ― プライズIPの力

ゲームセンターを支える重要な収益源がクレーンゲームです。景品として提供されるプライズ商品にはフィギュア、ぬいぐるみ、アクリルスタンドなどがあり、多くがゲームセンター専用商品として企画されています。

この市場を支えているのがキャラクターIPです。BANDAI SPIRITS、フリュー、セガ フェイブといった企業が景品を供給し、キャラクター人気とクレーンゲームが強く結びついています。


ゲームセンターは消えるのか

ここまで見てきたように、ゲームセンターは世界各地で異なる形に変化しています。

北米では大人の社交空間
中国では巨大体験施設
日本ではIPエンタメ拠点

つまり今起きているのは、衰退ではなく「業態の変化」です。

もしGENDAのような企業がリアル施設、IPコンテンツ、エンタメ体験をうまく組み合わせることができれば、ゲームセンターはまだ別の姿へ発展する可能性があります。

ゲームセンターは「ゲーム機が並ぶ場所」から「体験を提供する場所」へと再定義されつつあります。この変化を捉えられる企業だけが、次の成長を取りにいきます。
つまりこの業態は、衰退ではなく再定義の途中にあります。

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