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優駿牝馬(2026):アランカールに勝機はあるのか?

春の牝馬クラシック第2戦、優駿牝馬(オークス)。
今度こそアランカールが輝ける舞台のはずでした。
ところが、1週前はポリトラック、当週は火曜日に坂路での追い切り。
何がどうなっているのか、不安ばかりが募るこの状況の中で勝機を見出すことはできるのでしょうか?
※アランカール成分が多めです。ご了承ください。




アランカールに何があったのか?

調教映像とフォトパドックの印象

「これはまずい」というのが、アランカールのオークス1週前調教映像を見た時の率直な印象でした。

すでにアランカールの1週前追い切りがウッドコースではなく、異例のポリトラックコースで行われたとの情報が出回っており、これは何かが起こっているに違いないということで、ある程度は心の準備をして調教映像を見たわけですが、それでも一定のショックを受けたというのが正直なところです。

かかる負荷がウッドより軽い分だけポリトラックでのアランカールの動き自体はそれ程悪くは見えませんでしたが、馬というよりグレイハウンドが走っているようで、軽快ながらそのシルエットは明らかに細く映りました。

その後に各社から提供されたフォトパドックの写真を見ても、素人の見方なので間違っているかもしれませんが、全体的な筋肉の緩みが感じられ、あわせて特に背から腰にかけての筋肉がやや落ちているようにすら見えました。

1週前の追い切り後はルーティンワークである週末の坂路入りすら見送ったようですから、調教での負荷をこれだけ減らせば馬体のハリなどにも変化があっておかしくないでしょう。

まだ一部の映像や写真から受ける印象にすぎないとはいえ、決して順調な調整過程ではないということがはっきりと裏付けられてしまったようで、春の最大目標に向けてかなりトーンダウンを強いられることになりました。

どうしてこうなった?




最終追い切りが坂路で、しかも火曜日

その後もアランカールについていいニュースはなかなか聞こえてきませんでしたが、「火曜日に実質的な最終追い切りが坂路で行われた」と聞いた際にはさすがに動揺してしまいましたね。

そこまでしないといけない状態なのかと不安になる一方で、アランカール陣営がそれだけきめ細やかに馬の状態をチェックしながらなんとかしようと努力していることが分かってどうにか希望を捨てずにいることができたような気がします。

しかし、これだけの情報がそろえば馬体の維持で精いっぱいの状況なのは火を見るより明らかですから、アランカールの状態そのものは桜花賞やチューリップ賞、阪神JF時と比較してもそれを上回るということはほぼ有り得ないでしょう。

シンプルに考えれば、今回のアランカールの調教過程は「勝つためというよりも無事出走させるためのもの」であり、多くを求めることは酷かもしれません。

斉藤崇史調教師の会見でも調整に関して「難しかった」という言葉がたびたび聞かれましたし、武豊騎手からもレースに望むにあたってのポジティブな雰囲気をあまり感じることができません。


特に武豊騎手が会見の後半で道悪条件について聞かれた際に「わからないですよ、僕にそんなにストレートに聞かれても」と笑顔を見せながらも記者をたしなめるような物言いをしたのも、心配事なくレースを迎えられる状態ではない心理のあらわれだと見るのは深読みが過ぎるでしょうか?

残念ながら「火曜追いきり」のためその映像はなく、断片的な運動の様子が配信されたのみなので、現在のアランカールの様子については詳細を知ることができませんが、賢明なケアがうまくいくことを祈るしかありません。

ほんとのところどうなの?




アランカールを後押しできるか?

距離問題

さて、状態面に関してはほぼ上昇が見込めない状況の中で、アランカールにとって有利なデータを見つけて来たいところではあります。

まずもっともシンプルな事実として「母父ディープインパクトのエピファネイア産駒は長めの距離が得意、いいえ、距離が長くないとダメ」ということを確認しておきたいと思います。

〇エピファネイア産駒の「2400m~2600m(芝)」の1~3着数
(43ー23ー27)
内、母父ディープインパクト ⇒(12ー9ー3)

〇エピファネイア産駒の「3000m以上(芝)」の1~3着数
(1ー6ー3)
内、母父ディープインパクト ⇒(1ー4ー1)
※2・3着の5回は1レースを除いてすべて重賞、うちGⅠ3回。
菊花賞2着のアリストテレス、オーソクレース、3着のディヴァインラブ、万葉S1着、阪神大賞典2着のアクアヴァーナル。

〇エピファネイア産駒の「1600m以下(芝)」重賞の1~5着と着外数
(11ー7ー13ー16ー11ー101)
内、母父ディープインパクト ⇒(1ー0ー2ー2-4ー8)
※勝ったのはヤンキーバローズのファルコンSのみ。牝馬は2着さえなく、アランカールのチューリップ賞3着が1回。

このように、芝の長距離、とりわけ重賞においては圧倒的インパクトを残している母父ディープインパクトのエピファネイア産駒はマイル以下になると途端にその存在感を失っていることが分かります。

特に牝馬は壊滅的で、アランカールがチューリップ賞で3着に入った以外は馬券内には他に1頭も来ていないのですから、阪神JFと桜花賞というGⅠのレベルでともに5着したアランカールがいかに異質な存在であるかも明らかでしょう。

野路菊Sでの走りを見てアランカールに脱帽し、これは従来の血統的限界を突破してくる規格外の存在だと手のひらを返したわけですが、それでも現実は厳しく、結局はまだGⅠはおろか、重賞勝利にも手が届いていません。

すでに桜花賞の結果を受けてアランカールを見限った方も多いのかもしれませんが、データ上は1600m以下と2400m以上では母父ディープインパクトのエピファネイア産駒は別馬になるのが明らかなのですから、それにかけてみるのも一興かと思います。

距離延長は超プラス




馬体重問題

続いてアランカールの馬体重についても懸念しておられる方は多いと思われます。

アランカールはデビュー戦が430kgで昨年末にかけて438kgまで増えた時期はありましたが、前走桜花賞では430kgに戻ってしまっているので、陣営が馬体の維持に躍起になるのも理解できます。

しかし、母父ディープインパクトのエピファネイア産駒は概して大きな馬は少なく、先述のアクアヴァーナルやムジカ、ベデザンジュと言った比較的長い距離を得意とする牝馬たちの多くは450kgに満たない馬体重でデビューしています。

これらの馬たちは大体3歳夏以降に馬体のフレーム自体が成長することで体重を増やす場合もありますが、500kg近くになることはまれで、むしろ体重が大きい母父ディープインパクトのエピファネイア産駒(ミッキージュエリー、マイエレメントなど)は距離が持たない傾向にあります。

おそらくアランカールも長距離志向のタイプですから、体重が増えないこと自体は問題なく、潜在的な成長力を残している段階でこれだけの成績を収めているのは、やはりこの血統としては異例であると言えます。

したがって、これまでのレースでも馬体重の増減についてはレースでのパフォーマンスにほとんど影響してこなかったと思われますが、オークスに関しては少し注意すべきかもしれません。

というのは、おそらくアランカールは前走より馬体重を減らしてくることが予想されますが、その理由に長距離輸送だけではなく、「トレーニング不足」が含まれる可能性があるからです。

今回については調教をかなり手控えていることはすでに確認した通りですが、今まで調教の負荷によって引き締められていた部分が緩んでしまえば、もともと無駄なものが付きにくいアランカールの体はしぼんでしまう可能性さえあるでしょう。

もちろん、極端に運動を抑えているわけではなく、メニューの変更で対応しているわけですから体の組織自体が短期間でそれほど大きな変容を被るとも思われず、見た目や馬体重にはそれほど極端な変化がみられることはないと予想されます。

しかし、馬体重がそれほど減っていないからと言って必ずしも安心できないということは肝に銘じておかなければいけないかもしれません。

馬体重だけでは分からないかも




枠問題

次はオークスの枠順とレース展開がアランカールと武豊騎手にとってどのように作用するかを予想しておきましょう。

2026年 オークス 枠順
①ミツカネベネラ   牝3 55.0  横山和   美浦 鈴木伸 
②レイクラシック   牝3 55.0  ディー   栗東 新谷 
③アランカール    牝3 55.0  武豊    栗東 斉藤崇 
④ロングトールサリー 牝3 55.0  戸崎圭   栗東 福永 
⑤リアライズルミナス 牝3 55.0  津村    栗東 橋口 
⑥ロンギングセリーヌ 牝3 55.0  石橋脩   美浦 竹内 
⑦スタニングレディ  牝3 55.0  三浦    美浦 高木 
⑧スマートプリエール 牝3 55.0  原     栗東 大久保 
⑨トリニティ     牝3 55.0  西村淳   栗東 安田 
⑩スターアニス    牝3 55.0  松山    栗東 高野 
⑪アメティスタ    牝3 55.0  横山武   栗東 牧浦 
⑫ドリームコア    牝3 55.0  ルメール  美浦 大竹 
⑬エンネ       牝3 55.0  坂井    栗東 吉岡 
⑭ソルパッサーレ   牝3 55.0  浜中    栗東 四位 
⑮アンジュドジョワ  牝3 55.0  岩田望   栗東 福永 
⑯ジュウリョクピエロ 牝3 55.0  今村    栗東 寺島 
⑰スウィートハピネス 牝3 55.0  高杉    栗東 北出 
⑱ラフターラインズ  牝3 55.0  レーン   美浦 小笠

枠番別成績(過去10年)
枠番   成績     勝率   連対率    3着内率   過去10年勝ち馬
1枠 1-4-2-13  5.0%   25.0%    35.0%  ソウルスターリング
2枠 2-0-0-17  10.5%   10.5%    10.5%    シンハライト・デアリングタクト
3枠 1-0-0-18  5.3%      5.3%       5.3%        リバティアイランド
4枠 0-2-3-15  5 0%    10.0%     25.0%
5枠 1-1-0-18  5.0%    10.0%     10.0%  ユーバーレーベン
6枠 1-1-0-18  5.0%    10.0%     10.0%  チェルビニア
7枠 3-1-4-22  10.0%  13.3%     26.7%  アーモンドアイ・カムニャック
                     ラヴズオンリーユー
8枠 1-1-1-27  3.3%      6.7%     10.0%        スターズオンアース
※JRAHP「データ分析」より

6番人気以降の好走馬の馬番
2017年 2着 モズカッチャン   1枠1番  (1枠2番)
2019年 2着 カレンブーケドール 5枠10番(7枠13番)
2020年 2着 ウインマリリン   8枠16番(2枠4番)
     3着 ウインマイティー  4枠7番  (2枠4番)
2021年 3着 ハギノピリナ    4枠8番  (5枠9番)
2022年 2着 スタニングローズ  1枠2番  (8枠18番)
2023年 3着 ドゥーラ      7枠13番 (3枠5番)
2025年 3着 タガノアビー    7枠13番 (7枠15番)
                 ※()内は勝ち馬の馬番

こうして見ると、1着馬は能力の差が大きければ(それに騎手の腕が合わされば)どの馬番でも勝ち切ってしまうように見えますが、2・3着には一定の偏りがあり、極端な枠(最内・外目)と真ん中が有利なようです。

しかし、いずれにしてもオークスはダービー以上に最後の直線での脚比べの様相を呈するので、最終コーナーから直線に向く段階でしっかり進路を確保できているかが肝要でしょう。

その点では、内に潜って脚をためる戦法はバテて来る先行馬が壁になるリスクが高く、実際にアルマヴェローチェ、ステレンボッシュ、クロノジェネシスなどは勝ち馬と同等の能力を持ちながらも直線に向く際に内へ進路を取ったがゆえに2・3着に甘んじた馬たちだったと思います。

奇しくも今年のアランカールと同番の2枠3番でオークスを勝利した母シンハライトは、前半は無理に先行せずやや後方に構え、直線では外寄りの馬群を割って抜け出てくるという形で勝ち切りました。

また、2枠4番からスタートしたデアリングタクトも同じように後方待機から直線では外へ出そうとしましたが、結局はコース真ん中の馬群をこじ開ける格好になりました。

アランカールがその他の内枠勝利馬(ソールスターリングやリバティアイランド)のように先行するとは考えにくく、また周辺の枠には先行馬もそろっているので、おそらく武豊騎手は出たなりからやや後方へ下げ、最後の直線は外へ持ち出すという選択をすると思われます。

もちろん、手応えや馬群の割れ方次第ではその間に進路をとる可能性は桜花賞より高いでしょうし、武騎手は勝負気配が薄いと感じた時は一か八かの手に出ることも少なくなく、最内に突っ込むということもあり得ると思っています。ただ、その時はほぼ勝ち切ることは難しいでしょうが…。

正攻法で勝負するなら過去のオークスというよりも「キズナでダービーを勝った時のような騎乗」をするのではないかと個人的には想定しているのですが、武豊日記での「切れ味より持久力」という文言を解すれば、アランカールの息長い末脚をどれだけスムーズに発揮させるかに重点を置いてくるのではないでしょうか。

逆にもし無理にポジションを取ろうとすれば、今のアランカールの状態ではおそらく最後まで持たないだろうと思われます。

スターアニスやドリームコアを射程に入れながら、ラフターラインズやジュウリョクピエロの仕掛けに合わせるのか、一呼吸待つのか、それら一つ一つの選択がうまくハマれば勝ち筋がないわけではないはずです。

エピファネイアを下したあの騎乗を再び




苦し紛れのまとめ

さて、本来ならオークスこそ本番だと、意気揚々とアランカール推奨記事を記す予定だったのですが、競馬の神は何たる試練を与えることか。

ただ、母父ディープインパクトのエピファネイア産駒の長距離適性はオークスに出走するスマートプリエールの援護射撃にはなるでしょう。

スマートプリエールはアランカール以上の評価をしてた時期もあったので、フラワーカップを制してくれた時はやはりいい馬だったんだと確認することができました。

矢車賞を快勝したサートゥルナーリア産駒トリニティの評価も含めて以下にまとめておきたいと思います。

2026年 オークス
ドリームコア A
オークスでのルメール騎乗馬というだけでも注目だが、内の先行勢を見ながらレースを進められ、直線でも外に出しやすい枠番は〇。東京でのパフォーマンスも高く、今年は桜花賞がやや特殊なレースだっただけにそこからの巻き返しがあってもおかしくない。チェルビニアの再現もあるか?

エンネ A-
脚力は一級品だが、スタート後の追走力に欠けるので、どうしても後方からの追い込みになる点がやや不安。ライトバックのようにどれだけ追い込めるかだが、勝つまでは苦しいか。

スマートプリエール B+
1800m以上では安定した戦績で強い相手とも対戦済み。関東でのレース・勝利経験もあり、母父ディープインパクトとは思えない力強いフットワークは条件を問わない走りをいしていた母譲り。過去の好走も多い枠番なので、うまく中段外目で折り合えれば。原騎手には落ち着いて頑張ってほしい。

ラフターラインズ B
勝ち切ってもおかしくない馬だが、スタートで伸びあがる癖があり、大外枠からだとポジションの確保が難しい。上がり最速の末脚で勝ってきた馬だけに先行すると持ち味が消されそう。切れ味タイプだけに距離が延びるのもややマイナスか。


大駆け候補
アランカール (本来の状態ならA)
本来ならこの舞台で推奨できない理由はない。しかし、さすがにこれだけ調整面でマイナスの情報が出ている中では普通に走ることができるかどうかさえ危ぶまれる。鞍上も馬の調子が良くなさそうなら無理をしないタイプだけに、奇跡を信じるしか…。

トリニティ
サートゥルナーリア産駒の牝馬は成長がやや遅いようなので、この馬も未完成の部分が多いと感じる。ただ、稍重か重馬場で勝利経験のある矢車賞勝ち馬は過去にオークスで人気薄の激走がある。トリニティもそれに当てはまっており、スタミナ面での裏付けがある分、前残りの展開になれば面白い。

桜花賞圧勝のスターアニスについては距離が伸びた時の末脚の鈍りが大きい可能性が高いのでやはり難しいかと。ジュウリョクピエロも魅力的ですが、東京の馬場にあうかと言われると疑問を感じます。


さあ、何はともあれ、明日は何事もなくレースが始まり、何も問題が発生しないままレースが終わることを祈ります。

こちらが勝手に期待してるだけですから、どうか無事で。

奇跡を待っています



それでは今回はこの辺で。

よろしければまた次回の記事でお会いしましょう。

お読みいただきありがとうございました


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