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ねこま先生の日本昔話研究            「虎と狐」編



こんばんは!🐯


日本の昔話を研究して
もうすぐ50年!



日本昔話研究家・ねこま先生です。




アナタは、日本昔話は好きかな?
同じ昔話だけど、地方によって、
お話が違うことがあるんだけど

そういう経験ってあるかな?



大好評をいただいたので、
今夜も、同じ昔話だけど、
地方によって異なる内容

ご紹介していこうと思います。



このシリーズは、
以下の本を、引用と参考にさせていただいております。
なお、古い本なので、現在では無い・変更された
地名もありますが、ご了承くださいね。



※タイトル表記は、本に従って漢字ですが、
 本編が始まって以降は、動物の名前は
 漢字で使う時もあるかもしれませんが、
 なるべくカタカナ表記にしたいと思います。











『日本昔話大成  第1巻  動物昔話(1979)』 

  角川書店  関 敬吾(著)  








―― どうも力頼み、力自慢の人や国というのは、
他の人や、他の国にちょっかいを出したくなるようです。
その結果は、だいたい痛い思いをしたり、
国になると滅んでしまうのが、歴史の常(つね)であります。




今夜のむかし話も、そんな感じのお話でございます。




『虎と狐』




ほとんど知ってるアナタは、
いないんじゃないかなと思います。
どんなお話なんだろうね?
早速、行ってみましょう。



今回はね、知らないアナタがほとんどだと思うので、
定型を紹介してから、
派生ヴァージョンにしたいと思います。


今夜のお話は、本だと全部で3ページ。
厳密にいうと、2ページ半くらいなので、
いつもよりは、短いと思いますが、
最後までお楽しみいただけたらなと思います。




では、はじまり、はじまり~~~🐯







(広島県 山県郡 )#定型



―― はるかむかし、中国のあるところに、
一匹の大きな虎の王様、「虎王(トラおう)」がいました。



虎王は、いろいろな動物たちを子分にしていました。
子分たちは、虎王に気に入られようと、
昼寝の時に、各地の珍しい話を競って
虎王の耳に入れるのが、日課になっていました。



つい今しがた、長旅から帰って来たばかりのが、
昼寝をしている虎王のそばに来て、こんな話をしました。




「虎王様、虎王様、
 旅の途中で、面白い話を耳にしました。


 ここより東海を渡って行きますと、
 『日本』という小さな島国があるそうです。


 そこには、”キツネ”と呼ばれている、
 なかなか賢い動物がいるそうですよ。


 キツネは、体は小さくて細いんですが、
 なかなか知恵があるといわれて評判なんだそうです。


 中国が、いくら広いといっても、
 キツネのような動物は、
 たぶんいないでしょうな。

 
 
 虎王様も、そう思いませんか?
 ねえ、ねえ、虎王様~。」




”ドン!”




鳥の話を聞き終わるとすぐに、
周りの動物たちが、跳ね上がるほど、
地面を大きな拳で叩くと、
虎王の眼が鋭くなって、
”ニヤリ”と、口元から牙がのぞきます。



虎王

「なーにが、キツネだ!
 キツネがいくら知恵があるからといって、
 この虎王様にかなうわけねーだろう!


 ―― よし!その日本という小さい国に行くぞ!
 すぐに、キツネと力比べをしてやる!


 おいっ!今すぐに、巨大な鳥を呼んで来い!
 オレ様に海を渡せらせて、日本へ連れて行け!



 早くしろ!早くしないと鳥どもを喰い尽くしてやる!
 ガハハハハハッ~~~~! 」



虎王がそういうと、バサッバサッと、
何処から来たのか、虎王が背中に乗れるくらいの、
巨大な鳥が一羽やってきて、虎王を乗せました。




―― すぐに日本に到着すると、
虎王は、キツネを見つけました。
早速、キツネに勝負を挑みます。



虎王

「お前が、賢いと評判のキツネか?
 オレ様は、中国の虎王だ!

 
 早速だが、オレ様と力比べしようじゃないか。
 わざわざ日本まで来たんだから、
 オレ様の勝負を、まさか断らないよな?」



そういうと、鋭い眼で、
キツネをにらみます。



キツネは、大げさに驚いて、
ニヤニヤして、手をスリスリしながら
虎王に、こんな風に返事をしました。


キツネ

「いやいや、ど~~~も。
 わざわざ中国からお越しとは、
 長旅でお疲れになったでしょう?」



虎王は、”ぶすっ”としながら・・・



虎王


「オレ様は、疲れてなどおらん!
 早速、力比べをしてくれ!


 どんなのがいいんだ?
 オレ様は、強すぎるからな。
 お前が好きなのを決めていいぞ。」




キツネは、腕組みをしながら
少し考えますと
”ニヤッ”と笑いました。



キツネ


「私は、とてもとても虎王様に
 力比べで勝てることなんてできません。


 ―― でも、”走る”ことでしたら、
 私にも勝てるチャンスがあると思いますが・・・


 
 どうでしょうか?お受け願いますかね?」




虎王は、あきれた顔をして
笑いながらいいました。



虎王


「正面から、オレ様に勝てないのはわかる。
 まあ、そこは知恵者のキツネだな。

 

 でもな、オレ様が力だけだと思うのは、
 まだまだ浅いぞ、キツネ。

 
 オレ様は、走るのだって一番なんだよ。
 まあ、何かで勝負しないと白黒ハッキリしないから、
 いいだろう。お前が得意な所で走る競争をしよう。」



そういうと、キツネは後ろを向いて、
”プッ”と、笑いが吹き出すのを必死でこらえていました。
何とかおびえた表情を作って・・・

 


キツネ


「ありがとうございます。
 さすが、中国という広い国で、
 王様になられる方だけは、ありますね~。

 ”ヨイショッ!”

 
 
 では、目の前に竹藪(たけやぶ)が
 ありますよね。


 少し長い竹藪が続くのですが、
 それを先に抜けた方が勝ちというのは
 どうでしょうかねえ?

 
 大きくて広い中国の大地を駆けている虎王様には、
 とてもとても、小さくて狭い日本で暮らしている
 キツネごときが、走りでかなうわけないのですが、

 
 やるだけやってみますので、お手合わせ願います。」




そういうと、キツネは深々と頭を下げて
虎王の勝負を受けることになりました。



竹藪の入り口に立って、
1・・2・・3と、
ふたりで一緒に声を出した後、
競争が始まることになりました。




虎王・キツネ


「1・・・2・・・・3!」




さあ、勝負が始まりました。
虎王は、ここで負けては
”中国の恥”とばかりに、
無我夢中で、
後ろも振り返ることなく、
一生懸命に駆け抜けました。



虎王


「はぁ・・はぁ・・・
 もうすぐ、竹藪の出口だ・・・
 キツネめ・・・オレ様に
 勝てると思うなよ!」

 


もうすぐ竹藪の出口が見えて、
虎王が勝ちを確信して、
ホッと笑顔になった時です・・・



キツネ


「あれ?虎王様。
 海を渡って来たので
 お疲れなんでしょうかね。

 

 わたし・・・
 勝っちゃいましたよ。

 
 ―― まぐれですよ。
 もちろん、まぐれですけどねえ。(ニヤリ。)」
 

 


なんと!
キツネが先にいて
汗ひとつかかないで
待っていたのです!



虎王


「うそだぁ~~~~!!



 オレ様が勝ってたもん!
 絶対、勝ってたのに~~~!

 
 何かの間違いだ!
 やり直し!キツネ!
 もう1回、もう1回だ!


 オレ様たちの勝負は、
 ここからだぜ!いいよな?」

 



キツネは、吹き出す笑いを
虎王に見せないようにするのが
大変そうにしながら・・・



キツネ


「そうですよね~。
 たまたま調子が悪かっただけっスよ!

 
 もう1回やりましょう。
 今度は、虎王様に勝てないな~。
 まぐれ勝ちですから、
 負けちゃうな~。」




―― また競争が始まりました。
虎王は、「このままでは中国に帰れない!」
とばかりに、先より気合も力も入れて
命一杯、竹藪を駆け抜けますが・・・



キツネ

「あれれ~~!おかしいな~!
 また勝っちゃいました。

 
 負けないといけないのに、
 勝っちゃいました~~。(テヘヘ。)」


 

虎王は、滝のような汗をかきながら、
目を丸くして、驚いています。



虎王


「どうしてなんだ・・・
 ゼェ・・ゼェ・・・


 ”もう1回!やらせてくれ~~~!”」



こうして、この後、
何回も何回も競争をしましたが・・・



キツネ


「虎王様~、遅かったですね。
 また勝っちゃいましたよ~。
 ボクって大天才かも~。(ウフフ。)」




竹藪の出口になると、
汗ひとつかかないキツネがいつもいて、
汗だくの虎王が来るのを待っていました。



虎王


「なんでだ~~~!


 こんな小さくて狭い国に、
 こんな恐ろしい奴がいるなんて!

 
 早く帰らないと、
 この後、どんな目にあうかわからん。


 ひえええ~~~~!!😱
 帰るぞ!!オレ様は、中国に帰るぞ~~~!」

 

 


巨大な鳥に再び乗ると、
そのまま、虎王は中国に帰ってしまいました。




―― ねえ?これを読んでくれてるアナタ。
どうしてキツネが勝ったか、わかったかしら?




実はね・・・・




キツネは、自分とそっくりの弟を
あらかじめ、竹藪のゴール地点に行かせて、
スタート地点にいた兄は、最初だけちょっと走って、
すぐに止まって、その場にいただけだったんだよ。




―― キツネ兄弟の知恵の勝利だよね。



キツネ兄弟


「来年は、大河ドラマ『キツネ兄弟』をヨロシクね!🦊🦊」


 


さあ、そんなことも知らない虎王は、
中国に帰った後、悔しくて悔しくてたまりませんでした。


虎王は、自分によく似せた動物を創りました。



”ブチッ!”


虎王

「イテテテテ・・・」



自分の口ひげを3本、
ブチッと抜きますと、
それを、自分に似せた動物に付けました。



虎王は、いつかキツネを負かせるようにと、
そんな願いも込めて、
その動物を日本に送りました。




―― それが、今、アナタの膝の上で寝ている




ネコちゃんです。




虎王が送った動物は、ネコでした。
それから、日本には、
ネコがいるようになったということです。



ネコのひげの中に、
長くて丈夫なのが3本あります。
それはね、虎王からもらった、
あの口ひげの3本なんですって。

 



アナタの周りには、
力自慢で威張っている人がいたり、
そんな国はあるかしら?



そんな人や国がいたら、
虎王のように痛い目に合うから、
お友達だったら、教えてあげてね。




―― それじゃあ、このむかし話はここまで。
どう?楽しかった?(ウフフ。)



じゃあ、また次のむかし話で逢いましょうね。



さようなら、バイバイ!🐯








 

さて、いつものように
派生ヴァージョンを書きたいところですが、
定型とほぼ内容が同じで、
動物が違うだけです。



ページ数でも、全部で半ページ。
ですので、今回は、
地域と動物だけご紹介して
終わりにしたいと思います。



ちょっと短いけど
お許しくださいね。



※派生ヴァージョン


(鹿児島県 鹿児島郡下甑島 )<下甑島=しもこしきじま>



日本の鵜(う)と、唐の国(中国)のが、
「息比べ」って聞き慣れないけど、
どちらが長く息を止めていられるかって勝負をしたんだ。



アホみたいな勝負だよね。🤣🤣🤣
そんなこといっちゃいけません。
本人たちは、至って真剣なんですからね。



対馬・朝鮮・中国までのルートでしたが、
日本の鵜は、各場所に仲間を配置して、
唐の国の鵜に勝利するという結末です。




(熊本県 玉名郡 )



むかし、朝鮮のトラが、
日本に渡って来たことがありました。
ここに住もうかって、
なったことがあったそうです。



朝鮮から来たトラが、
日本に住んでは大変ということで、
日本中のキツネが集まりました。



朝鮮のトラとキツネは話し合って、
競走して勝負に勝ったら、
朝鮮のトラは帰ることを約束しました。



鵜の時と同じく、
要所要所にキツネの仲間を置いて、
入れ替わって勝利した結果、
朝鮮のトラは帰るという展開です。




(山口県 大島郡 )



むかし、クジラが自慢話をしたので、
ナマコが笑って、競争することになりました。


これもお馴染み、ナマコは仲間を集めて、
浦々に待たせておいて、
クジラがどんなに頑張っても、
先にナマコがいるという展開で、
クジラは負けるという結末になっております。




(秋田県 仙北郡 )



むかし、トラとカメが競走することになりました。
カメは、仲間を集めて道のところどころに隠しておきます。


どのカメも似ているので、トラには見分けがつきません。
お馴染みの展開となって、トラは負けます。


知恵のある者には、勝てないという教訓です。




さあ、以上が派生ヴァージョンです。
今夜は、これで終わりになります。




―― それでは、次回のむかし話をお楽しみください。


サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。🥸









―― そろそろ、お時間のようです。
今夜も、アナタと日本の昔話を、
一緒に語れたことをうれしく思います。



また次回も、地方色豊かな日本昔話の世界へ、
アナタをお連れしましょう。
数日後の夜にお迎えに参ります。




―― その時まで、さようなら。ごきげんよう。







お し ま い                                      (見出しでは、ねこま先生映らず無念😅)








巻末コラム:



西洋にも同じように動物が競走する、お話があります。
『ウサギとカメ』『ライオンとネズミ』『キツネとオオカミ』など。



しかし、西洋の場合は、先ほどご紹介したお話と違って、
仲間が待ってて入れ替わったりなど、「同類の援助」がありません。
あくまで、「個の知恵」だったり「油断」「努力」がテーマです。



こういう、「仲間の知恵・集団の知恵」、
そして、「仲間の協力・同類の援助」があって勝つお話は、
東アジアのむかし話で見られる特長でありまして、
面白いところだなあって、ボクは思います。



中国と朝鮮の例を簡単にですが、紹介して終わります。



1. 中国の例: 「アリとゾウの競争」


あらすじ


力自慢のゾウと、体の小さいアリが競争をすることになります。
ゾウは余裕で引き受けますが、アリは森中の仲間を集めます。
競争中、ゾウが少しでも目を離した隙に、
次の曲がり角には別の仲間が代わりに出て
次々と入れ替わりながらゾウを驚かせます。


勝因: アリ集団による連携と入れ替わり。

教訓: 体の大きさではなく、
     小さな者たちの団結力と戦略が勝利をもたらす。



2. 朝鮮半島の例: 「トラとカメの競走」


あらすじ

力強く傲慢なトラと、小さなカメが勝負をします。
(日本の「虎とキツネ」や「トラとカメ」に類似)


カメは、あらかじめ道の要所要所に家族や親戚のカメを隠しておき
トラが「もうすぐゴールだ」と振り返るたびに、
別のカメが顔を出すという手法で勝利します。



・勝因: カメ一族による事前の準備と入れ替わりの戦略。


教訓: 傲慢な強者は、小さな知恵者の協力には勝てない。




・「むかし話における、西洋と東アジアの違いが生まれる背景を考える🤔」



この東西のパターンの違いは、
社会構造や倫理観の違いを反映しているのではないかと思います。


西洋

 個人主義個人の能力を尊重する傾向が強く、
 英雄譚でも一人の人物の機知や力が強調されやすい。


東アジア:

 集団主義家族・共同体のつながりが重視される文化のため、
困難を乗り越えるには、個人の力よりも団結と連携の力が重要である、
という教訓が説かれやすいと考えられます。



こうやって考えますと、子どもの頃から読んでいるむかし話で、
「個」を重んじる西洋人と、「集団」を重んじる東アジア人と、
違いが生まれて来るというのは、興味深いなあと思いました。



さらに「集団」を重んじる日本・中国・朝鮮でも、
むかし話の形はそれぞれ違ってきます。
それに伴って、「集団」の重んじ方も、
民族ごとに少しずつ異なってくるわけです。




むかし話というのは、民族形成にとって、
本当に重要なものなんだなと、

ボクは、面白く感じましたが、
アナタは、退屈してるかな?😂😂😂



アナタが眠らないうちに、
エンディング行きまーす。😎

<今日は、タモさんないと思って油断したでしょ?(笑)>








―― いかがだったでしょうか?



アナタのお住まいの地方にしかない、
地方色豊かな昔話がありましたら、
ぜひ、記事にして教えてくださいね。




同じ昔話でも、地方が異なると、
その背後にある、地域の特色や文化、風習など、
そういったものの影響を受けて、
お話が変化していくのは、面白い現象ですね。



また機会がありましたら、
違う日本の昔話で
やってみたいなと思います。




それでは、最後までお読みいただき
ありがとうございました。




―― さようなら!🐯








次の昔話で、また逢いましょうね。(フフフ。)                      <猫屋敷の画像を参照に作成したので、猫女中が入ってます。😂)












※ この話は、『日本昔話大成 第1巻 動物昔話(1979)』 
  角川書店  関 敬吾(著)  


  92ページから94ページ 「虎と狐」より、
  引用&参考にさせていただきました。感謝します。






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