ねこま先生の日本昔話研究 「鼠浄土」編
こんばんは!🐯
日本の昔話を研究して50年!
日本昔話研究家・ねこま先生です。
アナタは、日本昔話は好きかな?
同じ昔話だけど、地方によって、
お話が違うことがあるんだけど、
そういう経験ってあるかな?
大好評をいただいたので、
今夜も、同じ昔話だけど、
地方によって異なる内容を
ご紹介していこうと思います。
このシリーズは、
以下の本を、引用と参考にさせていただいております。
なお、古い本なので、現在では無い・変更された
地名もありますが、ご了承くださいね。
※タイトル表記は、本に従って漢字ですが、
本編が始まって以降は、動物の名前は
漢字で使う時もあるかもしれませんが、
なるべくカタカナ表記にしたいと思います。
『日本昔話大成 第4巻 本格昔話1 (1978)』
角川書店 関敬吾(著)
―― 幼き日、ボクは家の
汲(く)み取り式トイレに落ちて、
祖父に助けられたそうです。
あまり覚えていないのですが、
ボクが落ちた穴には、
ねずみの楽園はなかったような気します・・・💩
今夜の昔話は・・・
『おむすびころりん』
日本昔話大成ですと、
『鼠浄土(ねずみじょうど)』
になります。
浄土とは、理想郷・楽園という意味です。
どんな派生ヴァージョンがあるんでしょうか?
早速、行ってみまSHOW!
( 鹿児島県 薩摩郡 下甑島 (しもこしきじま))
魚売りが峠(とうげ)を越えていると、
ネズミたちが出てきて、魚を盗(と)って行きました。
魚売りは困った顔をしながら、
「2匹か3匹やるから、残りはかんべんしてくれや。」
といって、ネズミに魚を分けてあげました。
次の日、魚売りがまた峠に行きますと、
昨日のネズミたちが待っていて、
「お礼がしたい」といって、
穴の中に魚売りを連れて行きました。
穴の中で、魚売りはネズミたちに大歓迎されます。
ネズミたち
「ネコさえおらねば自由はわがもん、
としっことっ。」
と、楽しく歌いながら餅(もち)をつきました。
ネズミたちは、魚売りが帰る時に、
たくさんの餅と、たくさんの金を、
お土産にくれました。
魚売りは、大金持ちになって
豊かに暮らしました。
隣の男がこれを聞いてマネをします。
ところが、穴の中に連れて行ってもらって、
歓迎されている最中に・・・
「ニャ~~オ!」
と、ネコの鳴き声のマネをしたものですから、
穴の中は真っ暗になり閉じ込められます。
出口を失った隣の男は、
やっとの思いで、なんとか畑に通じる
細い穴を見つけて、出られたということです。
おしまい。
( 鹿児島県 大島郡奄美大島 )
3月の節句に、よもぎ団子を重箱に入れて、
ある男の子が、それを持って遊びに出かけました。
広い野原で遊んでいる時です。
お腹が空いたので、
重箱のよもぎ団子を食べようとした時・・・
”よんやさ、よんやさ♪”
と、穴の中によもぎ団子が落ちてしまいました。
”もっとおくれ~~~!!
もっとおくれ~~~!!”
不思議なことに、真っ暗い穴の奥底から
こんな声が聞こえてきました。
男の子は、食べるのも忘れて面白がって、
重箱のよもぎ団子を、次々と穴に放り込みました。
”もっとおくれ~~~!!
もっとおくれ~~~!!”
よもぎ団子が終わっても、
真っ暗い穴の奥底から、
こんな声が、たくさん聞こえてきました。
男の子は、穴の中に放り込むものが、
何もなくなってしまったので、
仕方がないので、重箱を放り込もうと・・・
男の子
「あっ~~~!!」
した時に、男の子は、
穴に転げ落ちてしまいました・・・
男の子
「イテテテ・・・あれ?ここ明るいぞ?」
穴に転げ落ちた男の子が、
辺りを見回すと、
穴の中は、たくさんの灯りがついて、
まるで昼間のような明るさでした。
そして、目の前には・・・
「ようこそ、お越しくださいました。
先ほどは、おいしいよもぎ団子をありがとう。
お礼に、私たちの踊りを見てください。」
なんとそこには、
人間のように着物を着て、
人間のような言葉をしゃべる
ねずみたちがいました。
男の子は、たくさんご馳走を食べて、
ネズミたちの踊りを、楽しそうに見ていました。
男の子がふと、周りを見渡すと、
穴から落ちてきたのでしょうか?
ネズミたちの体よりも大きな太鼓と、
立派なバチが置いてありました。
男の子
「よしっ!ボクは、
村のお祭りで太鼓を叩いたことがあるんだよ。
ボクの太鼓に合わせて、踊ってみてよ!」
大きくてネズミたちには、
誰も叩けなかったので、
男の子が太鼓を叩いて、
ネズミたちは、みんなうれしそうに踊りました。

ネズミたちも、男の子も、
とても楽しいひと時を一緒に過ごしました。
ネズミたち
「今日は、とても楽しかったです。
太鼓の音に合わせて踊るなんて初めてです。
大きくて、上から落ちてきたけど、
私たちは、誰も太鼓を叩けなかったのです。
よもぎ団子と太鼓のお礼です。
これを受け取ってください。
また遊びに来てくださいね。🐭」
男の子は、小さな箱をもらって、
ネズミたちの案内で、外に戻ることができました。
―― 家に帰って、小さな箱を開けると、
そこには、たくさんの黄金が入っていました。
男の子は、お金持ちになって、
末永く、豊かでしあわせに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
( 大分県 速見郡 )
爺さんが、おにぎりを落として、
追いかけています。
おにぎりは、穴の中に落ちてしまい、
そのまま、爺さんも穴に落ちました。
爺さんは、そのまま落ちた穴の奥へと進みます。
そこには、ねずみたちが落としたおにぎりを、
おいしく食べて、こんな歌を歌っていました。
「ネコさえこなければ、富貴満福でちんからかん♪」
富貴満福(ふうきまんぷく)とは、
お金も名誉も福も、ぜんぶ満ちている状態です。
隠れてネズミたちの楽しそうな姿を見ていた爺さんは、
この歌を聞くと・・・
”ニャオ~~~ン!”
と、ネコの鳴きマネをしたものですから、
ネズミたちは、さあ大変です!
”ドタッ!ドタッ!ドタッ!ドタッ!”
ネズミたちは慌(あわ)てて、どこかに行ってしまいました。
爺さんは、辺りを見回すと、
たくさんの小判と珊瑚(サンゴ)を見つけました。
それを持って帰ると、爺さんは大金持ちになりました。
隣の爺さんが、このことを知り、
同じ様にネコの鳴きマネをしました。
”ニャオ~~~ン!”
しかし、ネズミたちは、
驚きもせず、逃げ出しませんでした・・・
ネズミたち
「この間、オレたちの小判や珊瑚を盗んだ人間だ!
絶対に許さんぞ!みんなーかかれ~~~!」
そうです。ネズミたちは、
自分たちの小判や珊瑚を盗んだ人間が、
もう一度くると思って、待ち構えていたのです・・・
隣の爺さん
「ぎゃあああ~~~!!違うんだ~~~!
やめてくれ~~~!オレじゃない!オレじゃないんだ~~~!
痛いよお~~!!ぎゃあああ~~~!!やめてくれ~~~!」
ネズミたちは、隣の爺さんに一斉に襲い掛かりました。
隣の爺さんは、ネズミたちに喰い殺されたということです。
おしまい。
【緊急リポート!】
火曜スペシャル
川口ねこま探検隊
人喰いネズミの巣を追え!

―― 九州・大分県。
その北東部、山々に囲まれた静かな土地。
名を、速見郡。
この地域には、古くから奇妙な噂が残されている。
山の奥深くには、いくつもの洞窟があり、
その地下には、誰も知らない闇の世界が広がっているという。
そして、その洞窟の奥には――
人を襲うネズミたちの巣があるというのだ!
かつて、はるか昔に、
この地で一人の老人が洞窟に入り、
二度と戻らなかったという。
近くに住む 村人は言う。
「ネコの鳴き声をマネしたら
ネズミに食われたそうなんじゃ・・・
村人全員でやめろっていったそうなんじゃが・・」
―― 果たして、この噂は本当なのか?
また、この村では、
「決して、ネコを飼ってはならぬ!」
と言い伝えがあり、仮にネコを飼っても
長生きせず、すぐに死ぬということで、
村人が誰もネコを飼わないという
およそ信じがたいことが、現代にも影響している。
これは、ネズミの呪いなのか?
もしくは、殺された男の怨念なのか?
我々、川口ねこま探検隊は、
人喰いネズミの巣を探すため、
速見郡の洞窟へと向かった。
ねこま隊長
「おいっ!連絡のあった村人が、
洞窟の場所で待ってるそうだから、
早く急ごう!」
人喰いネズミの巣を探して欲しい、
洞窟の近くの村人から、
我々の番組に連絡が来た。
村人から送られてた来た
地図を頼りに、
我々は、山間部の道を
車で急ぐのであった。
人喰いネズミとは、
どんなに恐ろしいものなのか?
車中の隊員たちは、
その恐怖で、自然に無口になるのであった。
ねこま隊長
「おっ・・・村人だ。
あれじゃないか?
おいっ!あれは何だ!」
車を降り、村人が待っている所に行くと、
我々が想像していた洞窟ではなく、
地面に穴が開いていたものだったので、
探検隊の誰もが驚いた。
地獄の入り口は、下から我々を待ち受けていたのだ!
村人に話を聞く・・・
顔が知られると、村の人間から村八分にされるので、
顔は映さないで欲しいとのことであった。
村人
「村の伝説なので大昔の話です。
この穴の近くで村の爺さんが、
おにぎりを穴に落として、
自分も一緒に落ちたそうです。
そうしたら、ネズミたちがたくさんいて・・・
ネコさえこなければ、富貴満福でちんからかん♪
と、楽しそうに踊っていたので、
爺さんは、ネコの鳴きマネをしたら、
ネズミたちが一斉に逃げて、
小判や珊瑚を盗んで大金持ちになったそうです。
となりの爺さんが、同じようにマネをしたら、
この間の盗人め!とばかりに誤解されて、
喰い殺されてしまったという伝説があります。」
さらに驚くべきことに、
ネズミたちが、この穴から出入りしたり、
周辺にいるのを、複数の村人が目撃しているという。
人喰いネズミたちは、穴の外で何をしているのか!?
村人は、我々に・・・
「穴の中では、決して、
ネコの鳴き声のマネをしないでください。
人喰いネズミたちが寄ってきて食い殺されます。」
そう神妙な顔つきで警告すると、
足早に帰って行った。
やはり、村の人間に目撃されたくないのであろう。
ねこま隊長
「よしっ!とりあえず降りてみよう!
ロープに捕まって、ひとりずつ行こう。
ひとがやっと通れるくらいの狭い穴だ。
先に降りて待ってるから、後からこい!」
穴の上から隊員たちが心配そうに
だんだん小さくなって行く
ねこま隊長のヘッドランプを見ている。
隊員たちも、ひとりずつ降りて行く。
体ギリギリに、狭い穴を通る。
この狭い穴に、おにぎりや老人が、
本当に通ったのだろうか?
そんな疑問を抱きながら降りて行く・・・
ねこま隊長
「意外と中は広いな。
かなり奥まである、
こんなラビリンスがあるなんて
思わなかったよな。
それにしても、何か臭いな。」
最後にカメラマンが降りて、
照明で周囲を照らす。
どこまでも続く暗黒世界への入り口に、
我々は来てしまったのか・・・
隊員
「ねこま隊長!上を見てください!」
その時! 隊員のひとりが叫び、
ねこま隊長以下、隊員たちが上を見上げた。
ねこま隊長
「おいっ!あれは何だ!」
天上を見ると、暗闇の中で無数の目が光り、
こちらを見ていた。
照明を照らすと、天井からぶら下がった
コウモリの群れであった。
ねこま隊長
「みんな気を付けろ!
危害は加えんと思うから、
静かに通り過ぎて、奥に進むぞ!
下にコウモリのフンがあるから、
すべらないように気を付けろよ!
先の臭いは、コウモリのフンの臭いか。」
強烈なアンモニア臭が鼻をつく。
コウモリは、毎日、同じ場所にフンをすると言う。
下に溜まったフンを見ると、
ここが彼らの日頃から集まる場所だということがわかる。
ねこま隊長以下、全員が慎重に通る。
コウモリのフンには、病原菌やウィルスがたくさんあるからだ。
穴を脱出したら、すぐに消毒しなければならない。
―― その時!!
”バタバタバタバタ!!”
ねこま隊長
「うわあああ~~!!逃げろ~~~!!!」
カメラの照明が当たって、
コウモリたちが驚いたのか、
ねこま隊長たちに、一斉に襲い掛かってきた!
コウモリたちは、そのまま穴から地上へと飛び去って行った。
一瞬の油断が命取りになる、ねこま隊長たちは、
暗闇に吸い込まれるように、洞窟の奥へと逃げて行った・・・
・・・・果たして!? ねこま探検隊を待ち受けるものは何なのか!
(CMへ)
(CM明け)
暗闇の中を奥へ奥へと進む探検隊。
ねこま隊長以下、かなりの疲労がうかがえる。
ねこま隊長は、今年、五十歳になった。
若い人たちに混じって探検するのは、
肉体的にツラくなったと、
カメラの回ってない時に
弱気なことをつぶやくようになっていた。
―― 探検ばかりしていて恋をするのを忘れた。
女性のことを聞くと、いつもこの答えが返ってくる。
昭和の男らしく、女性の話題になると口が重たくなる。
隊員
「わぁぁぁぁ~~~!!
隊長!これ!これを見てください!」
突然、先を歩く隊員のひとりが、
大声でねこま隊長を呼んだ。
ねこま隊長
「おいっ!何だこりゃ!
気を付けろ!
とりあえず止まれ!近づくなよ!」
ねこま隊長が駆けつけると、
そこには、我々の行く手をまるでさえぎるかのように、
たくさんのマムシが、地面を埋め尽くしていた。
ねこま隊長が、持ってきた松明(たいまつ)に火をつけた。
隊員たちも火をつけて、それぞれに松明を持つ。
ねこま隊長
「火を近づけると、マムシが逃げるから、
飛び掛かられたり、噛まれないよう、
注意して前に進んでくれ!」
まるで川でも渡るように
一列になり、足元のマムシを松明の火で避けながら、
慎重に前へと進んでいく探検隊。
―― その時だった!
隊員F
「ぎゃああああああ~~~~!!
か・・噛まれた~~~!!」
隊員Fが足を噛まれた!!
すぐに後方に連れて行く。
病院で適切に処置すれば
命に別状はないため、
隊員Fは、自力で歩ける状態なので、
穴の上で待つ救護班のもとへ向かわせた。
一瞬の油断が命取りになる。
隊長以下、どの隊員もあらためて肝に銘じ、
マムシの川を慎重に渡って行く探検隊であった。
―― どれくらいの時間が経っただろう。
永遠に続くかと思われたマムシの川をようやく抜けた。
先ほどよりも開けている。
ねこま隊長が、どこまでも奥へと続く暗闇を見た後、
ふと足元に視線を落とした・・・
―― その時!!
ねこま隊長
「おいっ!これ何だ!
みんな!自分の足元を見てくれ!」
一体、足元に何があったのか!
(CM入り)
(CM明け)
ねこま隊長
「おいっ!これ何だ!
みんな!自分の足元を見てくれ!」
ねこま隊長の声に応えて、
隊員たちが一斉に足元を見て、
カメラの照明も照らした。
隊員たち
「おおおおおお~~~!!」
隊員たちが、どよめきの声を上げた。
―― なんと!足元には、
動物か人骨か判別できないほどの無数の白骨。
その周囲には、無数の小さな足跡と、
何かを引きずった跡も確認できた。
ねこま隊長
「間違いなく、ここにいるぞ!
みんな、周囲を警戒しろよ!
油断すると、やられるぞ!」
”何か得体の知れないものがいる!”
我々の探している人喰いネズミなのか!?
人間から動物まで、長い年月、
この穴に誘い込まれ、彼らの食事になっているのか?
ねこま隊長以下、探検隊全員に緊張が走る。
ねこま隊長
「よしっ!ここで、ネコの鳴き声をするぞ!」
張り詰めた緊張は、
ねこま隊長の一言で破られた。
情報を提供した村人から、
「決してネコの鳴きマネはしてはいけない!」
そう警告されていたにも関わらず、
隊長自ら、そのタブーを破るのだ。
人喰いネズミに食い殺される危険性は高まることになろうとも。
隊員たち
「ねこま隊長!いけません!
オレがやります!やらせてください!」
ねこま隊長の命を心配して、
隊員たちが、自分が、自分がと名乗りを上げる。
川口ねこま探検隊の結束の強さがうかがえる。
ねこま隊長
「バカヤロー!!
お前らの中には、女房や子ども持ちがいるだろ!
オレは五十だし、女房や子どもいないからな。
お前らすぐ逃げろよ!オレを置いて行け!」
隊員たち
「ねこま隊長~~~~!!止めてください~~~!」
隊員たちの制止を振り切り、
ねこま隊長は、ネコの鳴き声のマネをした。
ねこま隊長
「ニャ~~~オ!ニャ~~~オ!」
・・・・・・
・・・・・・
失敗したのか?
ねこま隊長のネコの鳴き声が、
洞窟にむなしく響き渡る。
奥へ奥へと続く洞窟の闇を背にして、
隊員たちに向かって話す、ねこま隊長。
ねこま隊長
「・・・何も起きないぞ!
ネコの鳴き声のマネをしたんだけどなあ・・・
やっぱり、伝説は伝説なのかね。
ネコさえこなければ、富貴満福でちんからかん♪
っていう歌も聞こえないもんなぁ・・・」
ネコの鳴き声のマネをしても何も起きなかった。
やはり、カビの生えた伝説だったのか?
落胆する隊員たちを励まそうと、
ネズミが歌ってた歌を、おどけて歌うねこま隊長・・・
―― その時!
隊員たち
「ねこま隊長!うしろ!うしろ~~~!」
隊員たちに言われ、
振り向いて、真っ暗闇の奥を見る
ねこま隊長・・・
ねこま隊長
「おいっ!何だあれは!ヤバイぞ!」
”チュー!チュー!
チュー! チュー!”
暗闇の奥には、姿は見えないものの、
無数の小さな光る目がこちらに向けられていた。
そして、どこからともなく、たくさんのネズミのような声が聞こえた。
―― ついに!我々の探していた“人喰いネズミたち”なのであろうか!
時間が経つにつれて、暗闇の光る目と、
ネズミのような鳴き声は、どんどん増える一方であった。
ねこま隊長
「おい!これマジでヤバイぞ!
オレたち喰われるぞ!」
長年の探検家としての勘(かん)が警告した。
このままいたら喰われる!
そう感じたねこま隊長は、隊員たちを集めた。
ねこま隊長
「これはマジで危険だぞ!
撤退!撤退だ!引き上げるぞ!
―― お前ら、非常食でおにぎりを持って来ただろ。
伝説だと、おにぎりが喜ぶらしいから、
オレも含めて、持ってるおにぎりを、
全部、暗闇に向かって投げろ!
そうしたら、全力で降りて来た所まで走れ!
振り返ると喰われるぞ!逃げて逃げまくれ!」
”ポイッ!ポイッ!ポイッ!”
隊長の役目は、隊員たちの命を守ることだ。
ねこま隊長は隊員たちに、やむなく撤退を命じた。
隊長以下全員が、暗闇の奥の光る目に向かって、
持っていたおにぎりを、次々と投げ入れ、
そのまま、振り返らずに全力で走った。
”チュー!チュー!
チュー! チュー!”
”チュー!チュー!
チュー! チュー!”
”チュー!チュー!
チュー! チュー!”
”ダッダッダッダッダッ!”
さらに増えるネズミのような声から逃げるように、
全力で振り返らずに、ねこま探検隊は走った。
ねこま隊長
「おい!急げ!追いつかれるぞ!
ちょうど坂になってる!
転がれ!みんな転がれ!!!
転がって逃げろ~~~!!」
”ゴロンゴロン!ゴロンゴロン!”
ねこま隊長以下、探検隊全員が、
坂を転がり逃げ続けた、
―― ねこま探検隊は、人喰いネズミたちから
果たして、逃げられるのであろうか!?
(CM入り)
(CM明け)
―― どれほど走り、どれほど転がったのだろうか。
川口ねこま探検隊は、誰ひとり欠けることなく、
入った穴から無事、地上に脱出することが出来たのだ。
着ていた服や靴を消毒に回して、
真新しい隊員服と靴に履き替えた
ねこま隊長と隊員たち。
顔や体をすり傷だらけにした彼らが、
互いの傷を見て笑い合っている。
ねこま隊長は、
小さい穴の前に立ち、
何も言わず暗い奥底を見つめていた。
ネコさえこなければ、富貴満福でちんからかん♪
ネコさえこなければ、富貴満福でちんからかん♪
風の音に紛れて、ネズミたちの楽し気な歌声が、
ねこま隊長にだけ聞こえていた。
ねこま隊長
「・・・聞こえなかったことにしとくか。
そういえば・・・
オレって、ネコみたいなもんだったな。😂」
隊員たち
「ねこま隊長~~~!!
帰りますよ!早く乗って!乗って!」
隊員たちにせかされながら、
夕陽を背にして、
車へと向かうねこま隊長。
ねこま隊長
「おっ!おう!今いく!
―― そういえば、うちの探検隊って女子いないな。
探検隊って、女子入れるとダメなのかしら。
やっぱ女の子がいないと、
テンション上がらないよなあ。
ガソリンも急に高くなったし、
今度の探検は、いつになるかなあ。
スポンサー探さないとなあ・・・」
”バタンッ!”(ねこま隊長が車のドアを閉める)
ねこま隊長
「よしっ!群馬まで帰るぞ!」
”ブ~~~~ン!”(走り去る車たち)
今回、我々は人喰いネズミの姿を確認することはできなかった。
だが、あの洞窟の奥に、
何かが存在していることだけは、間違いない。
あのおびただしい数の白骨は、
闇の中で、無数の怪しい光を放った
目の持ち主たちの仕業なのだろうか。
単なる昔話や伝説ではなく、今なお、
この地の暗黒に寄生し続けているのではないだろうか。
我々が投げたおにぎりは、彼らの空腹を満たしたのか。
それとも、一時(いっとき)の猶予を与えられたに過ぎないのか。
自然は時に、優しく微笑み、時に、無慈悲に牙を剥く。
人喰いネズミの巣は、今もどこかで、
次の獲物を待ち受けているのかもしれない
もしかすると、我々が人喰いネズミだと思ってる存在は、
人類が誕生する、はるか以前から
この地球に存在していた先住民であり、
人類によって、地底に追いやられた地底人なのかもしれない。
我々、川口ねこま探検隊は、
地球の先住民たる、地底人に接触した
初の人類である可能性が高いのだ。
我々が投げたいくつかのおにぎりが、
人類と地底人との友情のきっかけになったら、
これほどうれしいことはないと、
まだ見ぬ地底人へのロマンは尽きぬのである。
昔話や伝説の謎を追い求め、
日本全国、川口ねこま探検隊は、
今日も探検に行く!!
次回、探検の舞台となるのは、
キミの住んでる街かもしれない。
我々は、次の探検に備えて、
しばし休息を取る。
―― では、次回の探検まで
さらば!

―― そろそろ、お時間のようです。
今夜も、アナタと日本の昔話を、
一緒に語れたことをうれしく思います。
また次回も、地方色豊かな日本昔話の世界へ、
アナタをお連れしましょう。
数日後の夜にお迎えに参ります。
―― その時まで、さようなら。ごきげんよう。


コラム巻末:
今回は、探検で疲れたためお休みです。
また次回をお楽しみください。
あと、今までご紹介しなかったのですが、
引用と参考にさせていただいている、
『日本昔話大成』の著者であります、
関敬吾 先生
の略歴が、先生のご出身であります、
長崎県雲仙市のウェブサイトにありましたので、
短いので引用すると全文になってしまいますので、
ご興味のあるアナタは、ぜひ訪問されてください。

―― いかがだったでしょうか?
アナタのお住まいの地方にしかない、
地方色豊かな昔話がありましたら、
ぜひ、記事にして教えてくださいね。
同じ昔話でも、地方が異なると、
その背後にある、地域の特色や文化、風習など、
そういったものの影響を受けて、
お話が変化していくのは、面白い現象ですね。
また機会がありましたら、
違う日本の昔話で
やってみたいなと思います。
それでは、最後までお読みいただき
ありがとうございました。
―― さようなら!🐯



※ この話は、『日本昔話大成 第4巻 本格昔話1(1978)』
角川書店 関 敬吾(著)
116ページから149ページ
「鼠浄土」より
引用&参考にさせていただきました。感謝します。
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記事を書くことで、お礼をしたいと思います。
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