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ねこま先生の日本昔話研究            「猫又屋敷」編



こんばんは!🐯


日本の昔話を研究して
もうすぐ50年!



日本昔話研究家・ねこま先生です。




アナタは、日本昔話は好きかな?
同じ昔話だけど、地方によって、
お話が違うことがあるんだけど

そういう経験ってあるかな?



大好評をいただいたので、
今夜も、同じ昔話だけど、
地方によって異なる内容

ご紹介していこうと思います。



このシリーズは、
以下の本を、引用と参考にさせていただいております。
なお、古い本なので、現在では無い・変更された
地名もありますが、ご了承くださいね。



※タイトル表記は、本に従って漢字ですが、
 本編が始まって以降は、動物の名前は
 漢字で使う時もあるかもしれませんが、
 なるべくカタカナ表記にしたいと思います。











『日本昔話大成 第6巻 本格昔話5(1978)』

              関敬吾(著)









ボクのように、田舎だったり、
もしくは、だいぶ昔のことだったりすると、
ネコを外に出して飼っていて、
ボクの場合は、夕方や夜になると
家の中に入れてやる ――



室内飼いがほとんどの現代ですが、
ボクの場合は、最後の子が亡くなってから
7年くらいになりますが、
そんな感じで一緒に暮らしていました。



外飼いをしていた人には経験はあると思いますが、
いつもなら帰って来るのに、
夜になっても帰って来ずで、

次の日や、その次の日も、



近所や、かなり遠くまで探せど、
見つからずに、それっきりで
お別れになってしまった

ボクにも、そんなネコちゃんがいます。



―― ところが、
2年くらいした時に、
ふらっと、オスネコだったんですが、
帰って来たんです。



「よく帰ってきたなあ」と、
大泣きして喜びました。
体もキレイにしてやったり、
好きだった食べ物をあげたりなど、
何日か、いつもみたいに一緒に寝てたりしていました。



ところが、1週間もしなかったかな。
その子が、台所にあった、
天ぷら油だかが鍋に入っていて、
それをひっくり返してしまって、
台所を油まみれにしちゃったんですねえ。



よく考えますと、
置いておいた人間が悪いんですが、
ボクもまだ20後半くらいかな。
若かったものですから、



”コラッー!”




って、大きな声で怒ってしまったら、
そのまま外に出て行ってしまって、
二度と帰ってくることがありませんでした。



―― このことは、今でもずっと後悔していますし、
恐らく、死ぬまでずっと後悔してるであろうことです。



なにぶん、18年飼っていた弟同然の犬も、
その頃には老衰で亡くなってしまったので、
何匹かのネコだけが、ボクの家族だったわけです。



ある夜、ボクと一緒に寝ていたメスのネコが、
布団の中で産んだ、3匹の子のうちで、
唯一の男の子だったわけなんですが、



ネコたちと暮らしてる間もやっぱり
ダメな人間なので、仕事のない時が多く、
悶々とした毎日でも、あの時は、
本当の世界に帰るようなことを1回もしなかったのは、
彼女らのおかげなんですけどね。



まあ、この話はいっか ――
こうして、やっと再会できた一人息子と、
ボクの愚かな行為で、永遠の別れになってしまったんです。



もしかすると、ネコを4匹も飼っていますと、
ワクチンだの病院など、いろいろとお金がかかるので、
孝行息子が気を利かせて、出て行ったのかなとも
いなくなってから勝手に思っていますが・・・



ボクと同じように、飼っていたネコが、
帰って来なくて、突然の別れになってしまった方。
おられるかと思います。



そんな、離れ離れになってしまった、
愛するわが子(ネコ)と、旅に出た先で、



―― ふと、再会したら、アナタはどうしますか?




今夜は、そんなむかし話をご紹介します。




『猫又屋敷(ねこまたやしき)』





―― ご存知のアナタもおられるかと思いますが、
そんなメジャーじゃないかもしれませんので、
今回は、これが定型とはっきりいえないのですが、
『日本昔話大成』に、定型として載っているお話から始め、
そのあと、派生ヴァージョンをご紹介したいと思います。




では、早速行ってみましょう!






(山口県 大島郡 )#定型



―― むかし、あるところに
奥さんと下女が住んでいました。



下女っていうのは、
家事を中心にする使用人のことです。
西洋風にいうと、召使いですね。



その家では、1匹のネコを飼っていました。
下女は、そのネコを”タマ”と名付けて
大変、かわいがりました。


しかし、奥さんは、そのネコをいじめていました。



―― ある時、急にそのネコがいなくなってしまいました。



下女は、ネコがいなくなってから、
毎日、泣いて暮らしていました。



そんな時、旅の坊さんに聞くと、
九州のいなばの山にある、
猫山にいるから、
会いに行ってやりなさい ――



下女はそれを聞くと喜びました。
すぐに、奥さんに暇(ひま)を
もらって、いなばの山に出かけます。



ところが、その山まで来たのはいいのですが、
猫山というのは、化け猫がいるといわれている
不気味な場所のことなのですが、
探しても探しても、見つかりませんでした。



日も暮れて来たので、
「どうしよう?」と困っていますと、
偶然、通りかかった人が、
もう少し先に行ってみなさい
教えてもらったので、
行ってみることにしました。



しばらく先に行ってみましたが、
相変わらず見つかりませんでした。


しかし、そこには、
山の中には不釣り合いな、
立派な広いお屋敷がありました。



「妙だなー、変だなー」と下女は思いましたが、
暗くなってしまったし、山の中なので、
今夜は、ここに泊めてもらうしかないと思いました。



”トントントン!”



下女

「ごめんください。
 旅の者でございます。

 
 どなたかおられませんか?
 開けてください。すみません。」

 


立派な門を何度か叩いて、
お屋敷に誰かいないか訪ねてみました。




”ギイィィィィ~~~!”



立派な大きな門が
音をたてて、少し開きました。



中から、美しい女が、
少し開いた門の間から、
こちらを見ています。


下女


「こんばんは。
 いなくなってしまった
 かわいい私のネコを探して、
 ここまで旅をして来ました。


 
 道に迷ってしまって困っています。
 今夜一晩だけでいいので、
 ここに泊めてもらえませんか?
 どうか、お願いします。」

 



それを聞くと
美しい女がニヤリとして・・・



「おまえも食い殺されに来たのかい?」



下女は、そんな恐ろしいことをいわれたので、
怖くなってしまって、どうしていいか困っていました。



―― すると



「まあまあ、旅のお方。
 娘が大変失礼なことをいいました。

 
 今夜はもう遅いですので、
 どうぞ、ここに泊まってくださいな。

 
 すぐに、お部屋の用意をしますから、
 お疲れでしょう?どうぞ、こちらへ・・・」

 


娘の後ろから、人の良さそうな
身なりのいい婆さんが出て来て、
娘の失礼な言葉を詫びました。



下女

「あ・・・ありがとうございます!
 助かりました。よろしくお願いします。」




部屋も用意してもらい、
やがて、布団に入り寝ようとした時・・・



”ヒソヒソヒソヒソ・・・”



隣の部屋で何かを話している声がします。
部屋と部屋とが、ふすまで仕切られているので、
少し開けてみますと、そこには美しい女が寝ているだけでした。



反対側の仕切られているふすまを、
こっそり開けてのぞいてみますと、
そこには、ふたりの美しい女が寝ていました。



両隣とも寝ていて、話している人はいないのに、




「おかしいな~。気味が悪いな。いやだな~。」



と、思いながら布団に戻って寝ようとしますが、
また声がします・・・今度はもっとハッキリ・・・




「今日来た娘は、かわいがってたネコを
 訪ねてきたそうだから、かみついてはダメよ。いい?」




どこからともなく、女の声でこう聞こえました。
両隣とも寝ているはずなのにおかしい。
怖くなった下女は、眠れるはずもなく、
布団の上で、どうしようかと座っていました。



”スッ~~~・・・”



そんな時です。
正面の廊下に通じる障子が
静かに開きました。



下女


「タマ!お前は、タマじゃないか!」



障子が開いて入って来たのは、
着物姿の女中でしたが、
顔はネコ・・しかも、
いなくなったタマなので、

一目でタマだと下女には、
わかったので、すぐに跳び上がり抱き着きました。



タマ

「よく私を遠くから訪ねてきてくれました。
 本当にお懐かしい、逢いたかった・・・


 私は、年を取ったので
 人間の家で暮らせなくなったので、
 だから、このお屋敷に来たのです。


 
 ですが、ご安心ください。
 このお屋敷に来るということは、
 ネコの世界では、出世したことになります。
 だから、心配しないでください。


 それと、ここには、
 日本中のネコたちが集まります。

 
 あなたのような、
 人間が来てはいけません ―― 」



 下女は、終始、
タマの手を握りながら聞いていました。



タマ


「さあ、この白い紙包みを持って、
 早く、このお屋敷から出てください。

 
 
 途中で、ネコに囲まれると思います。
 そうしたら、この白い紙包みを
 振りながら歩いてください。

 
 
 そうすれば、道を開けてくれるから、
 急いで、お帰りください。


 
 ただし、白い紙包みを開けるのは、
 無事、家に帰ってからにしてください。

 
 
 ―― お逢い出来てよかったです。
 

   
   お元気で、さようなら。」



下女は、タマに別れをして
お屋敷から、急いで外に出ました。




下女


「あっ!?」
 

 


お屋敷の外に出て振り返ると、
あんなにも大きなお屋敷は消えて、
代わりに、そこらじゅう、
ネコの大群で、びっしり埋め尽くされ、
下女が先に進めないほどでした。



下女は、タマにいわれた通り、
白い紙包みを振りながら歩くと、
不思議なことに、ネコたちが
道を開けてくれたので、

振り返らずに
早足で村まで帰ると、
そのまま家に帰ってしまった。



―― 家に帰って来た下女は、
奥さんに、旅先で起きたことを話して、
タマと再会したこと、白い紙包みを
もらって、それで帰れたことまで伝えました。


下女

「じゃあ、白い紙包みを開けてみますね。」


下女は、白い紙包みを
ゆっくりと開けてみました。


奥さん

「まあ!!」



そこには、イヌの絵が描いてありました。
イヌの絵は、本物の十両の小判をくわえていました。


奥さん


「下女が、十両も稼ぐことは簡単ではありません。
 お前は、これで一生食べていけますね。

 
 ―― 私も、九州にある、いなばの山に
 行ってみようかしら。

 
 
 私はネコ・・・いや、タマの主人だから、
 きっと、もっとたくさん小判をくれるはずよ。


 留守は頼むわね。行ってくるわ。」

 



 ―― そういって、奥さんは九州まで出かけて行きました。
 下女に教えてもらった通りに来ると、
 目の前に、大きなお屋敷がありました。



 ”トントントン”



奥さん

「もし、ごめんくださいまし。
 かわいがっていたネコを探して
 道に迷ってしまいました。

 
 どうか、一晩泊めてください。」




”ギイィィィィ~~~!”



下女の時と同じ女が、
少し開いた門からのぞいています。


奥さん

「あの、かわいがっていたネコを探しております。
 道に迷ってしまって、一晩泊めてください。」



「ダメです。お帰りください。」



下女の時と対応が違い、
最初から、女は奥さんを入れようとしませんでした。
何度か、「入れろ」「入れない」の、
押し問答が続いたとき ――



「まあまあ、遠くからようこそお越しくださいました。
 まだ若いので、失礼をお許しください。

 
 
 もう暗いですから、お部屋をご用意しましたので、
 今夜は泊って行ってくださいな。


 
 どうぞ、こちらへ・・・(フフフ。)」

 



下女の時と同じ婆さんが出て来て、
奥さんを部屋へと案内しました。



部屋でひとりになると、
奥さんは、すぐに隣の部屋のふすまを開けました・・・


奥さん

「え!なに?」



ふすまを少し開けてのぞくと、
そこには、大きなネコ2匹いたので、
すぐに、ふすまを静かに閉めました。



下女の話だと、人間の女がふたり寝ていた
ということでしたが、
大きなネコが2匹いるだけだったので、
驚いてすぐに、ふすまを閉めました。



ならば反対側と思い、
反対側のふすまを開けてのぞきますと、
そこには、先ほどと柄の違うネコが2匹寝ていました。



奥さん


「どうなってるのよ!・・・薄気味悪い!
 下女の話と違うじゃない・・・。


 とにかくネコ・・・いえ、タマを探して
 白い紙包みをもらったら、すぐに帰りましょう。」




”スッ~~~!”




障子が静かに開きますと、
そこには・・・・



タマ

「ニャ~~~ン💗」



ネコの姿のまま、
愛くるしい表情の
タマがいました。



奥さん

「まあ~~~!タマ!
 探したのよ!家のかわいいタマじゃない!


 
 こんなところにいると、どんなことになるか、
 恐ろしくてたまらないわ。

 

 さあ、タマ!お家に帰りましょうね。」
 



奥さんが、タマのそばに寄り、
しゃがんで、抱き上げようとした時でした ――




”シャアアア~~~~~!!”




”バタン!”




タマが、牙をむき出して、
奥さんに対して怒りの声をあげた瞬間、
ひとりでに、障子が勢いよく閉まりました。



奥さん


「ぎゃああああああああああ~~~~!」




”ビシャ~~~!”




タマは、いきなり奥さんの、
喉笛にかみつくと、
奥さんを、そのまま殺してしまいました。



閉じた障子は、奥さんの血で、
べっとりと赤く染まっていました・・・




―― おしまい。








※ここからは、派生ヴァージョンとなります。

 


(鹿児島県 大島郡喜界島 )



 

「ギャアアアアア~~~!!」




―― むかし、ある家に飼われいるネコが、
家にある魚を食べたので、
怒った嫁は、火箸(ひばし)を投げつけると、
それが、ネコの目に当たってしまいました。



ネコは、鳴きながら外に出たまま、
行方がわからなくなりました。


そのネコは、この家の主人が
かわいがっていたネコだったので、
帰って来て、そのことを知った主人は、
いろいろと探し回りましたが、
とうとう、ネコは見つからず、悲しみに暮れていました。



―― しばらくして、主人が旅に出ました。
旅をしていると、野原で迷ってしまいます。


辺りは暗くなり、どうしようかと思っていますと、
大きなお屋敷がありました。



主人

「すみません、道に迷いました。
 どうか、一晩泊めてください。」



そういうと、門が開いて
中から、片目の女が出て来ました。



主人

「あの・・・道に迷ってしまい・・」



そこまでいうと、片目の女は
突然、主人に向かって深々と頭をさげた。



片目の女

「お久しぶりです。
 私は、あなた様にかわいがって
 いただいたネコです。


 あなたの嫁に、
 火箸を投げつけられて
 こんな目になってしまいました・・・」

 

 

主人は、それを聞いて驚きました。
まさか、探していたネコが
人の姿になって、こんなところに ――  



主人

「嫁が、お前にひどいことをした。
 本当に申し訳ない。すまん。」



そういうと、片目の女は首を左右に振り・・・



片目の女


「あなた様に恨みはありません。
 それより、ここにいてはいけません。


 ここは、ネコが集まって
 人間を喰うところです。


 ネコが見張っています。
 あなた様のうしろに
 たくさんの石があります。」



そういわれて、主人が後ろを振り向くと
先来た道に、不自然にたくさんの石が転がっていました。
 


片目の女


「それにつまずいて倒れると死にます。
 絶対に、つまずかないように帰ってください。


 応対に出たのが、私でよかった。
 このお屋敷に入ったら、
 人間は食べられてしまいます。

 
 
 またお逢いできて本当によかったです。
 後ろを振り返らずに、そのままお逃げください。

 
 
 かわいがっていただいたご恩は、終生忘れません。
 さあっ!見つかる前に早くお帰りください!」



そういうと、主人は振り返らずに
石にもつまずかないよう注意して、
元来た道を戻って行きました。



”バタン!”




大きな音をたてて、立派な門が閉まりました・・・





―― 片目の女は、その場で舌をかんで死にました。




主人は、無事に家まで
帰れたということです。



おしまい。








(大阪府 北河内郡 )


 

―― むかし、ある村に住んでいた
婆さんが、ミケネコを飼っていました。



「ミケや、ミケや」
といって、
たいそうかわいがって、大切に育てていました。


飼い始めて9年経ったので、
赤飯を炊いて祝ってあげました。



―― しかし、その翌朝から
ミケは、どこかに行ってしまいました。



婆さんは、悲しんで
「ミケやー、ミケやー」と
いろいろなところを探しましたが、
結局は、帰って来ることはありませんでした。



―― それから何年かして、
婆さんは、旅に出ることにしました。



旅先で山道を歩いていて、
婆さんは迷ってしまいました。



すっかり暗くなってしまったのと、
歩き回ったので、すっかり疲れてしまい、
どうしよう、どうしようと困っていますと・・・



婆さん

「ありゃ?」



そのまま歩いていますと、
こんな山の中なのに、
立派なお屋敷がありました。



明かりも灯って(ともって)いたので、
門を叩くと、家の中から女中らしき女が出て来て
事情を話すと、一晩泊めてくれることになりました。



「まずは、お風呂に入って
 ゆっくりと疲れを取ってください。」



風呂に入れと強く勧められて、
婆さんは、風呂に入ることにしました。



風呂には、たっぷりとお湯がはってあり、
桶(おけ)でお湯をすくうと、
湯加減を確かめるために、
少しお湯を右腕にかけたとき・・・




”お婆さん!それ以上、お湯をかけちゃダメ!”




そういって、若い女中が
風呂の中に突然入って来て、
婆さんの桶を取り上げた。



婆さん

「娘さんや、どうしたんじゃ急に?」


若い女中


「お婆さん、お湯のかかった腕を見て!」



そういわれて、先ほどお湯をかけた
腕を見てみますと・・・


婆さん

「ありゃ!!これは・・」



お湯をかけた腕のところだけ、
ネコのような毛が少し生えていました。


若い女中

「危なかったね~。
 ・・・お婆さん、お懐かしい・・


 ミケです。お婆さん。」



婆さん


「え?ミ・・・ミケなのかい?」

 


何年も前にいなくなった
ミケだと、人間の女中がいうので
婆さんは、ビックリしました。


ミケ

「そうなんです。
 お赤飯でお祝いしてもらった後、
 このお屋敷から、声がかかったので、
 こちらでお世話になることになりました。
 それで、急なお別れになったのです。


 ・・・お婆さん、ごめんなさい。
 でも、ここのお屋敷に呼ばれるのは、
 ネコとして、しあわせなので、
 心配しないでくださいね。」



事情はよくわかりませんが、
ミケが、しあわせでよかったと
喜ぶ婆さんでした。



ミケ


「お婆さん、ここは、
 人間をネコに変えてしまう
 恐ろしいところなので、
 早く、ここから逃げてください。


 先みたいに、お風呂に入ったり、
 ここで、食事をしたり寝たりしますと、
 人間は、ネコになってしまいます。

 
 まだ、お婆さんはお風呂に入ってませんし、
 お食事も、水一杯でさえも飲んでいません。


 今なら、人間のまま帰ることができます。
 お婆さんにご恩を返させてください。



 ―― さあ、私についてきて。」

 


 

ミケは、他の女中たちに見つからないように
こっそりと、正面の門まで連れて行ってくれました。


婆さん

「ミケや、助けてくれてありがとう。
 達者で暮らすんだよ。

 じゃあ行くよ。ミケ、さようなら。」



婆さんがそういうと、
ミケは、女中の姿のまま、
顔だけは、ネコのミケに戻りました。



ミケ


「うん。お婆さんも
 元気で長生きしてね。

 
 無事に家まで帰ってくださいね。
 さようなら、大好きなお婆さん。

 さっ、みんなに見つからないうちに、
 村まで帰って・・・」

 

 

婆さんも、ミケも、
ふたりとも、涙を流しながら
門の前でお別れしました。



婆さんは、無事に
家に帰れたということです。




めでたし、めでたし。







先ほど、お読みいただいた
お話は、引用と参考にさせていただいている
『日本昔話大成 第6巻』では、
次のような感じで書かれています。


(原文)


老婆が三毛猫を九年飼い、赤飯を炊いてやる。
猫はいなくなる。


老婆が旅に出て山道で迷い一軒家に泊まる。
風呂に入りに行くと、風呂番の女が
婆さんなつかしい、先の三毛だといい、


ここは猫山で食われるからといって逃がしてやる。


    (引用元 関 敬吾(著)『日本昔話大成 第6巻 本格昔話5』 角川書店)





今回の定型は、1ページ半ありました。
定型は、だいたい1ページから2ページありますが、
派生ヴァージョンは、多くても10行くらいです。



だいたい5行くらいで、ぶつぎりで終わってたりして、
今回もそうですが、そこからいろいろと考えまして、
アナタにお読みいただいているお話がひとつ、
出来上がるわけでございます。




この冬は、どこにも売っていない
ここだけでしか読めない
地方色豊かな
ねこま先生版「日本むかし話」を、
アナタに、まだまだお届けしたいなと思っております。



よろしかったら、次の夜も
お付き合いいただけたら幸いです。


それでは、エンディングに行きまーす!😎








―― そろそろ、お時間のようです。
今夜も、アナタと日本の昔話を、
一緒に語れたことをうれしく思います。



また次回も、地方色豊かな日本昔話の世界へ、
アナタをお連れしましょう。
数日後の夜にお迎えに参ります。




―― その時まで、さようなら。ごきげんよう。







お し ま い










―― いかがだったでしょうか?



アナタのお住まいの地方にしかない、
地方色豊かな昔話がありましたら、
ぜひ、記事にして教えてくださいね。




同じ昔話でも、地方が異なると、
その背後にある、地域の特色や文化、風習など、
そういったものの影響を受けて、
お話が変化していくのは、面白い現象ですね。



また機会がありましたら、
違う日本の昔話で
やってみたいなと思います。




それでは、最後までお読みいただき
ありがとうございました。




―― さようなら!🐯







次の昔話で、また逢いましょうね。(フフフ。)







巻末コラム:



今夜のむかし話を書き始めたのが
12月10日でした。


まえがきを書いている内に、
あそこで出た、最後に亡くなったネコは、
子どもを生んだ、母ちゃんネコのことでした。



そういえば、母ちゃんネコの命日
12月だったな。いつもカレンダーに書くけど
忘れていたな、過ぎてないといいなと思って調べたら、



12月11日



翌日だったので、まえがきを書いていて
出て行った息子が、教えてくれたのかなあって
ひとりで勝手に思っていますが ――



12月11日の朝に亡くなりました。
その時は、仕事を持っていたのですが、
お利巧な子なのか、休みの土曜日まで待ってくれて、
ボクの見ている前で、神様のところへ帰りました。



いつも亡くなった子を、お経を読んでくれて、
火葬もしてくれて、かわいい骨壺に入れてくれるお寺に
電話すると、翌日の日曜日で大丈夫とのことで、
日曜日にお葬式をして、1か月くらい家の中で
お花を供えたりなどして、気持ちの区切りがついたら、



毎度のことながら、泣きながら土を掘り、
お墓を作って、骨壺を収めるわけですが・・・



母ちゃんネコは、もちろん名前はありますが、
まあ、ボクの家族ですので、アナタには内緒ということで。😅



近所に住む外人が夜逃げをしたので、
その時に置いて行かれた子でした。
シャムネコで、眼がキレイで、
しっぽは手術されたのか、
人為的に短くされていました。



ボクは飼っていたわけではないんですが、
エサをあげたり、外で遊んでいたりもしてるうちに、
2階のボクの部屋のベランダに来るようになり、
部屋に入れたり、夜が来たら布団の中に入れてやったりしました。



しばらく経った夜中に、
なんか布団が濡れてるな、
「良い年して、寝小便でもしちゃったかしら?」
なーんて見てみると、その子が子ども産んでいて、
慌ててダンボールに毛布を入れて、
そこから、正式に子ども3匹と母ちゃんネコを
飼うようになった次第であります。



ボクの家に来て、
18年くらいで亡くなりました。
外人に飼われていた期間も含めると、
19歳、20歳くらいだから
大往生じゃないかと思っています。



子どもたちは、12年、15年と、
先に見送ったので、寂しい思いもしたかもしれませんが、
大きな病気もせず、寝たきりになったのも
1週間くらいで、最後までボクのそばにいてくれた
かわいい母ちゃんネコでありました。



毎年、命日には、
数年前まで、イヌも含めて花をあげていたのですが、
まあ、だいぶ経つからみんなやめようということにして、
それでも、手を合わせるのはしているので、
忘れないでよかったなと思います。




ちょうど、『猫又屋敷』や、
いなくなった息子のことなどを書いていて
忘れずに済んだのも、なんか不思議なご縁を感じますね。



―― 今回の、ねこま先生版『猫又屋敷』は、
母ちゃんネコと、出て行った息子と、
かわいい娘ふたりに捧げたいと思います。



なにもない人生だったけど、
キミたちと家族になれたことだけは、
よかったなと思います。



―― ありがとう。🐯






(※12月11日に投稿できて良かったです。
  巻末コラムを今回は、一番最後にしました。ご了承ください。)









※ この話は、『日本昔話大成 第6巻 本格昔話5(1978)』 
  角川書店  関 敬吾(著)  




75ページから78ページ 「猫又屋敷」より、
  引用&参考にさせていただきました。感謝します。








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