ねこま先生の日本昔話研究 「鼠退治」、「絵猫と鼠」編
こんばんは!🐯
日本の昔話を研究して
もうすぐ50年!
日本昔話研究家・ねこま先生です。
アナタは、日本昔話は好きかな?
同じ昔話だけど、地方によって、
お話が違うことがあるんだけど、
そういう経験ってあるかな?
大好評をいただいたので、
今夜も、同じ昔話だけど、
地方によって異なる内容を
ご紹介していこうと思います。
このシリーズは、
以下の本を、引用と参考にさせていただいております。
なお、古い本なので、現在では無い・変更された
地名もありますが、ご了承くださいね。
※タイトル表記は、本に従って漢字ですが、
本編が始まって以降は、動物の名前は
漢字で使う時もあるかもしれませんが、
なるべくカタカナ表記にしたいと思います。
『日本昔話大成 第6巻 本格昔話5(1978)』
関敬吾(著)
「さぁみんなー! しっぽを立てろー!!」
ボクが子ども時代に大好きだった
ネズミたちが活躍するアニメ
『ガンバの冒険』
からのセリフで冒頭を飾りました。
・・・が!
今夜のむかし話は、
タイトルにもありましたように
こちらとなります。
『ネズミ退治』
ネズミさんと、ネズミ好きなアナタは
ごめんなさい。🙇
あとで、もしあればね、
ネズミが活躍するのも書くかもしれませんが、
今夜は、いろんな地方でネズミが退治される
むかし話をご紹介したいと思います。
定型なしで、
派生ヴァージョンから
早速、行きたいと思います。
(香川県 某所 )
現在は、さぬき市の一部に
なっていますが、かつて、
長尾町と呼ばれていた、
長尾という地域がありました。
―― むかし、長尾の茲専寺(じせんじ)
というお寺で、和尚さんが
長年、一匹のネコを大切に飼っていました。
ある日、和尚さんが「猫山」を通ります。
猫山という地名の山もありますが、
香川県にはないので、
化けネコや妖怪がいるとされてる不気味な山。
そんな山だとお考えください。
和尚さんが、夜に猫山を通った時に、
どこからともなく、こんな声が聞こえました。
「また、茲専寺が来ないのお。」
茲専寺という自分のお寺の名前が、
あちこちから聞こえたので、
声のする方向に行ってみますと・・・
和尚
「ありゃ・・・!!」
大きな声が出そうになったので、
慌てて口を押えると、
そこには、人間の衣を着て踊る、
たくさんのネコがいたので驚きました。
みんな、人間の様に、
二本足で立って、言葉もしゃべり、
人間のように踊っていたのです。
和尚さんは、
先の茲専寺というのは、
まさか、うちのネコのことか?
そう思ったので、
急いで寺に帰りますと・・・
屏風にかけてあった
袈裟(けさ)がなくなっていました。
袈裟というのは、お坊さんの法衣のことです。
袈裟がなくなっていたばかりでなく、
飼っていたネコまでいなくなっていました。
「まさか・・・」
そう思いつつ、遅くまで待っていましたが、
帰ってこないので、寝てしまいました・・・
―― その日の夜からです。
和尚さんは、何日か続けて
おかしな夢をみるようになりました。
長年生きて、妖力を持った
巨大なネズミに、
食べられてしまう夢を続けてみました。
「いやだな~・・・いやだな~・・・」
昼間もおかしな夢のせいで、
いやな気分が収まりませんでした。
数日、そんな夢が続いた
その夜のことです・・・
和尚さんが寝ていると、
何度も強く袖口を
引っ張られているので、
なにごとかと思って
目を開けてみますと・・・
飼っていた老ネコが、
袖口をくわえて、強く何度も引っ張っていました。
和尚
「なんだ・・お前か?
どうしたんだ?」
目の前にいる老ネコは、
和尚さんをじっと見つめていました。
―― すると、おかしなことに、
和尚さんの頭の中にこんな声が聞こえました。
”和尚さん、時間がありません。
理由は後でお話しますので、
とにかく、この部屋から出て
離れた部屋に隠れていてください。”
ふと見ると、老ネコの眼が光っていて、
開いている障子へと、”早く行け”とばかりに
目くばせしています。
和尚
「わ・・・わかった・・・」
和尚さんが、少し離れた部屋で
じっと隠れていますと・・・
”ぎゃああああああああ~~~~!!”
まるで人間のような声で、
寺全体を揺るがすほどの
大きな断末魔の悲鳴が聞こえたので、
和尚さんの寝ていた部屋に戻り、
障子を開けますと・・・
和尚
「な・・・なんじゃいこりやぁ~~~!!」
和尚さんが障子を勢いよく開けますと、
先ほどまで、和尚さんが寝ていた布団や
部屋の中が、どす黒い血でまみれていました。
”バリバリバリバリッ!”
目の前には、長年可愛がっていた
あの老ネコが、人間よりも何倍も大きくなり、
尾はふたつに別れていて、
バリバリと骨まで砕く音を立てて、
夢の中で、和尚を襲って来た、
妖力を持った巨大ネズミを
頭から食べていたのでした。
和尚
「お・・・お前・・・」
しばらく見ていると、
最後のネズミの長いしっぽが、
口の中に入っていたところでした。
老ネコは、和尚さんの方を向くと、
大きくおじぎをして、
先ほどと同じく、口も開かずに、
眼を光らせて、和尚さんの頭の中に
語りかけてきました・・・
老ネコ
「和尚さん、突然驚かせてすみません。
実は、この妖(あやかし)ネズミを
取るために、子ネコの時に、
この寺にやってきたんです。
和尚さんを助けたので、
ご恩は、これでお返ししました。
今まで可愛がってくれて
ありがとうございました。
猫山では、
みんなと踊りたいので、
すみませんが、袈裟をもらって行きます。
和尚さん、お別れするのは
さみしいですが・・・
お元気で!さようなら!」
和尚
「おい!お前!」
去っていく老ネコの後ろ姿に、
呼び止めるように、
大声で叫ぶ和尚さん。
ふと周りを見渡すと、
老ネコもいなくなっていて、
どす黒く汚れた布団も部屋も、
ウソのようにキレイに元通りになっていました。
―― おしまい。
(岡山県 岡山市 )
岡山県北部は、美作の国(みまさかのくに)って、
昔は呼ばれていました。
美作の国は、別名「作州(さくしゅう)」とも呼ばれていて、
現在の津山市を中心する、岡山北部のほぼすべての市町村が
この作州に入っていました。
―― むかし、作州のある寺の住職がネコを飼っていました。
ネコは、住職のそばをいつも離れませんでした。
茶トラ(茶色の縞(しま)模様)のネコだったので、
”トラ”
と名付けて住職は、
大変かわいがりました。
―― ある時、住職が病(やまい)になりました。
原因もわからなく、寝ていることが多くなりました。
そんな寝ている時でも、トラはそばで
看病でもするかのように住職のそばを離れません。
住職は、寝ている時にある夢を見ました。
夢の中で、トラがこうしゃべっていたのです。
トラ
「住職さん。大丈夫ですか。
原因不明の病の原因ですが・・・
”本堂の天井に、妖の力を持ったテンがいます。”
テンは、住職の命を狙っています。
病になっているのも ――
住職を弱らせて食べるつもりなんです。
オイラの力だけでは、どうにもヤツに勝てません。
鍛冶屋に弟がいます。
キジトラ模様(茶色に黒の縦縞模様)のネコがいます。
鍛冶屋に事情を話して、なんとか借りて来てください。
テンを倒せるように、オイラたち兄弟に、
今晩、うんとごちそうしてください。お願いします。
―― 危ないので、住職は本堂に来ないでくださいね。」
目が覚めた住職は、半信半疑ながら、
とにかく鍛冶屋に行ってみることにしました。
そこには、夢の中で聞いた通り、
トラにそっくりな、
キジトラのネコが飼われていました。
鍛冶屋に事情を話すと、
住職の命が危ないということで、
気持ちよく貸してくれました。
住職はその夜、トラと弟に、
たくさんごちそうをしました。
”ガタガタガタ!”
”ガタガタガタ!”
夜も深くなった頃、
本堂の天井裏から
トラたちとテンが争う
大きな音が何度もしました。
―― やがて朝が来ました。
住職は、いつの間にか寝ていましたが、
トラのこんな声が夢の中で聞こえました。
トラ
「住職さん、住職さん。
なんとか弟と力を合わせて
テンをやっつけることができました。
―― でも、弟は死んでしまって。
オイラも、もうダメみたいです・・・
いつもいつも、住職さんのそばにいられて、
とっても、とってもしあわせでした。
もっと、ずっと一緒にいたかったなぁ・・・
住職さん、さようなら。ありがとうございました。」
住職は、こんな夢を見たので、
飛び起きると、すぐに外に出ました。
住職
「トラぁ~~~~~!!」
住職が庭に出ますと、
本堂からここまで血だまりが
そこらに出来ていました。
そして、殺された大きなテンと、
少し離れて、キジトラの弟。
ふたつの死骸がありました。
だいぶ離れたところに
血まみれになって倒れ、
息も絶え絶えになっているトラが、
何とか起き上がろうと、
首を何度も上げようとしています。
住職
「トラ~~~!」
住職は、血まみれのトラを抱きかかえると、
トラは安心したかのように
住職の腕の中で、息を引き取りました。
住職は、トラと弟の塚を建てて、
終生、供養しました。
その塚は、
「猫塚」
と、呼ばれるように
なったということです。
おしまい。

参考にさせていただいている『日本昔話大成 第6巻』には、
「てんいたち」と書いてありました。
てんいたちって何だろうと思ったら、
てん、いたち両方とも家屋に浸入して荒らすので、
害獣として、一般の人は区別しないで、
「てんいたち」って呼ぶそうです。
※イタチとテンの違い(簡単に)
<大きさ>
• イタチ:体長30〜40cmほど。小柄で細身。
• テン:体長40〜50cmほど。イタチよりやや大きく、ふっくら。
< 毛色>
• イタチ:濃い茶色〜赤褐色。腹や喉は白っぽい。
• テン:黄褐色〜黄金色。喉元に白や橙色の斑がある。
<すみか>
• イタチ:川辺や農地、人里近くにもよく出る。
• テン:山や森林を好み、木登りが得意。
<行動>
• イタチ:地面を這う(はう)ように素早く動き、狭い場所に入り込む。
• テン:立体的に動き回り、屋根裏など高い場所にも侵入。
※「ネズミ退治」といいながら、
テン退治になってしまっていますが、
本では、ネズミとテンの2パターンになっています。
山梨県などでは、この兄弟ネコパターンで、
お寺の和尚が何代にも渡っていなくなって、
和尚になっても、長続きしない寺というのがありました。
あとは同じ兄弟ネコパターンですが、
そこにいたのは、袈裟を着た(お坊さんの法衣を着た)、
「千年は生きている古い化けネズミ」がいた、というのもありました。
それで、そいつをネコたちが退治して、
床下を掘ってみると、今までの和尚さんのお骨があって、
ネコ塚だけじゃなく、ネズミの塚まで建てて終わります。
『絵ネコとネズミ』
(富山県 射水郡 )
―― むかし、ネコの絵ばかり描いている
大変、絵の好きな子どもがいました。
ある日、絵の道具を持って
絵の好きな子どもは、旅に出ました。
誰もいない古寺に泊まろうとすると、
「化けもの」が出ると村の人からいわれましたが、
絵の好きな子供は、構わないといって一晩泊まります。
子どもは、本堂いっぱいにネコの絵を描くと、
部屋に戻り寝てしまいました。
”ガタン!バタン!ガシャ~~~ン!”
夜中に本堂から、大きな音がしましたが、
子どもは起きることなく、朝まで起きませんでした。
子どもは起きると、すぐに本堂に行きました。
そこには ――
血まみれになって倒れている
大きなネズミの死骸がありました。
そして、本堂に描いたネコは、
きれいになくなっていました。
子どもが魂を込めて描いたので、
ネコたちが、絵の中から抜けだして、
化けネズミを退治してくれたのです。
絵描きの子どもは、
寺の跡継ぎとなって、
ネコたちを供養しながら、
好きな絵を描いてくらしましたとさ。
めでたし、めでたし。
※今回は、ふたつともヴァリエーションが少ないので、
少し短いですが、今夜はこれで終わりにします。
それでは、エンディングに行きまーす。😎
―― そろそろ、お時間のようです。
今夜も、アナタと日本の昔話を、
一緒に語れたことをうれしく思います。
また次回も、地方色豊かな日本昔話の世界へ、
アナタをお連れしましょう。
数日後の夜にお迎えに参ります。
―― その時まで、さようなら。ごきげんよう。


―― いかがだったでしょうか?
アナタのお住まいの地方にしかない、
地方色豊かな昔話がありましたら、
ぜひ、記事にして教えてくださいね。
同じ昔話でも、地方が異なると、
その背後にある、地域の特色や文化、風習など、
そういったものの影響を受けて、
お話が変化していくのは、面白い現象ですね。
また機会がありましたら、
違う日本の昔話で
やってみたいなと思います。
それでは、最後までお読みいただき
ありがとうございました。
―― さようなら!🐯

※ この話は、『日本昔話大成 第6巻 本格昔話5(1978)』
角川書店 関 敬吾(著)
80ページから89ページ 「鼠退治」、「絵猫と鼠」より、
引用&参考にさせていただきました。感謝します。
#特典 Ramberkさんに捧ぐ特典画像

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