ねこま先生の日本昔話研究 「文福茶釜」編
こんばんは!🐯
日本の昔話を研究して
もうすぐ50年!
日本昔話研究家・ねこま先生です。
アナタは、日本昔話は好きかな?
同じ昔話だけど、地方によって、
お話が違うことがあるんだけど、
そういう経験ってあるかな?
大好評をいただいたので、
今夜も、同じ昔話だけど、
地方によって異なる内容を
ご紹介していこうと思います。
このシリーズは、
以下の本を、引用と参考にさせていただいております。
なお、古い本なので、現在では無い・変更された
地名もありますが、ご了承くださいね。
『日本昔話大成 第6巻 本格昔話5(1978)』
関敬吾(著)
え~・・・見出し画像、
茶釜が微妙なんですが、
大目に見てください。😅
どのAI先生に頼んでも、
茶釜というのが、上手く理解出来ないのか、
お茶を注ぐ「急須」になってしまいます。
何度も試行錯誤しましたが、
これが一番、雰囲気が伝わるので、
優しいアナタは、茶釜だと思ってくださいね。😂
さて今回選ぶ昔話は、
タイトルにもありますが、
わが群馬県民のアナタ!
お待たせしました!
『ぶんぶく茶釜』
の登場です!
大変、お待たせしました!
『ぶんぶく茶釜』といえば、
群馬県館林市にあります。
「曹洞宗 茂林寺」です!
ボクも、何度か行ったことがあります。
生きたタヌキを飼っていたのを覚えております。
あなたも、お近くに行った際は、ぜひ!お立ち寄りください。
今回は、有名なお話なので、
定型なしで、派生ヴァージョンを
どんどん紹介していきます!
(長崎県 上県郡 ) #同県の下県郡でも同じ話あり
―― むかし、三吉という少年が、友達のタヌキの所に行って、
「金儲けしたいから、金の茶釜になってくれ!」
と頼まれたので、タヌキは金の茶釜になり売られました。
金の茶釜を買った人が、
さあ、茶を沸かそうということで、
湯を沸かしたところ、
タヌキは、熱くなって逃げ出した。
翌日、三吉は天ぷらを持って行きお礼をいうと、
「今度は、馬になって売られてくれ!」
タヌキは、また三吉の頼みを聞くと、
同じ様に馬に化けて売られて、
そして、帰って来た。
―― 三吉は、タヌキの所へ以前のように、
お礼に行きませんでした。
すると、タヌキは怒って、
畑に石を投げ入れました。
三吉は、タヌキの所に行くと、
困った顔で、ひとりごとのように大声で、
次のようなことをいいました。
三吉
「はぁ~、困ったな~。
あんなことされたんじゃ、
三年は作物が育てられないよ。
もし、この後、
馬の肥やしを入れられたら、
ホント、困っちゃうな~!
馬の肥やしなんて、
入れられたら、もう畑できなくなっちゃうよな~。
タヌキさん、馬の肥やしなんて、
ホントに入れないでよね~。
絶対に!馬の肥やしを入れないでよね~。
ああ~~~!
馬の肥やしなんて畑に入れられたら、
三吉、困っちゃうな~~~!
畑できなくなっちゃうな~~~!」
大きなひとりごとだけいって、
三吉は、タヌキと会話もしないで
家に帰って行きました。
タヌキは、泣き言をいっている三吉を見て、
うれしそうな顔で、こんなことをいいました。
タヌキ
「効いてる、効いてる!(イヒヒ。)
ちゃんとお礼を持ってこねえからだ!
―― よ~~~し!
三吉!お前にトドメを刺してやる!
泣いたって、許してあげないもんねー!」
タヌキは夜の内に石をすべて取り払い、
代わりに、馬の肥やしを三吉の畑に入れました。
―― これがどういうことなのか?
お読みのアナタには、ピンとこないかも知れませんね。
昔は現代と違って、化学肥料のない時代です。
馬の肥やしは、当時の農村において、貴重で良質な肥料でした。
窒素・リン酸・カリウムをバランスよく含み、
土壌改良効果にも優れている、極めて良質な有機肥料です。
そのため、荒れるはずの畑は一転して空前の大豊作となり、
三吉は結果として、その作物を売りさばき富を得て、
大金持ちになったのでした。
めでたしめでたし。
―― え?三吉が大金持ちになった後、
タヌキにお礼をしたかですって?
もともと、友達だったんですもの。
お礼をしたと信じましょうよ。
せめて、ボクたちだけはね・・・
(高知県 須崎市 )
―― むかし、商人が外にある便所にいて用を足していました。
ふと、外を見るとタヌキ二匹がいて、何やら相談をしていました。
注意深く二匹の話を聞くと、明日の晩に商人、茶釜に
それぞれ化けて、茶釜を欲しがっている和尚の所に行き、
高く売りつける相談をしていました。
翌日の晩に、商人は先回りをします。
商人に化けたタヌキになりすまして、
後から来た、茶釜に化ける予定のタヌキに、
「早く化けるように」いうと、
それを抱えて和尚の所に行き、茶釜を売りました。
商人に化けるタヌキになりすました
人間の商人は、茶釜を売った代金だけもらうと、
和尚に売った、茶釜に化けたタヌキを置いて
帰って行きました。
和尚は、茶釜で茶を沸かそうと
小僧を呼んで火をつけさせます。
そうしますと・・・
「熱い!熱い!」
と、茶釜から聞こえるでの、
小僧は和尚さんに、
「和尚さん、茶釜が熱いといっていますよ。」
というと、和尚さんは、
「いい茶釜じゃからだろう。」
そういって、小僧に火を強くするよう命ずると・・・
「あちちっ!こりゃたまらん!」
茶釜に化けていたタヌキは、
ガマンできず、元の姿に戻って
逃げて行きましたとさ。
―― ちなみに、商人に化ける予定だったタヌキは、
当日、どうしたんでしょうかねえ・・・🤔
(新潟県 長岡市 )
―― ある爺さんが、山で白いキツネ(以下、白ギツネ)を助けました。
白ギツネは恩返しにと、その珍しさから大変高価な値が付く
緋鯉(ひごい)に化けると、爺さんはそれを売って大金を得た。
次に、白ギツネは茶釜に化けますと、
爺さんは、それを寺の和尚に売りました。
寺の小僧が茶釜を磨くと、
茶釜から、不思議なことに声が聞こえて来ました。
「おい!小僧痛いぞ。そっと磨け、そっと!」
突然、茶釜から声がしたので、小僧がビックリしてる間に、
白ギツネは、元の姿に戻って逃げて行った・・・
白ギツネの恩返しは、まだ続きました。
「女に化けるから、奉公に出してくれ。」
といいますと、爺さんは奉公先を見つけて
女に化けた白ギツネを奉公に出し、
前金を得たとさ・・・
話はここで終わっております。
茶釜が出て来ただけで、
白ギツネの恩返し的要素が強く感じられます。
それにしても・・・
”爺さん、断りなさいよ!”
詐欺やろ!詐欺!アカンで!😂
(岩手県 遠野市 )
さあ、『遠野物語』の舞台でもあります、
民話のふるさと遠野では、
どんなぶんぶく茶釜が待っているんでしょうか?
早速、行ってみましょう!
―― ある日、子どもがキツネを捕えて
縄で縛っていました。
そこへ、通りがかった爺さんが、
百文で買って逃がしてやりました。
百文は、現代の価値で1000円~2000円程度になります。
爺さんが家に帰ってきますと、
先ほどのキツネがいました。
キツネ
「お爺さん、先ほどはありがとうございました。
ぜひとも、お礼をさせてください。
村の和尚さんが、味噌釜に不自由しています。
そこで、私が味噌釜に化けますので、
和尚さんに売って、お金にしてください。」
爺さんは、キツネにいわれた通りにすると大儲けをします。
和尚さんが、小僧さんに命じて買った味噌釜で豆を煮ます・・・
「おいっ!小僧、熱い!熱くてたまらん!」
突然、味噌釜から声がしたものですから、
小僧さんは、びっくりしている間に、
キツネは、味噌豆を持って逃げます ――
翌朝、爺さんが柴を刈っていると、
持ってきた味噌豆を爺さんに渡して
次のようにいいました。
キツネ
「お爺さん、今度は馬に化けるから、
長者さんに売ってください。
長者さんは、きっと高く買い取ってくれますよ。」
キツネは、馬に化けます。
爺さんは、いわれた通りに長者に売ると
なんと、300両で買い取ってもらえ
爺さんは、大金持ちになりました。
300両は、時期や換算方法により違いますが、
現在の価値で約1800万〜5100万円前後です。
馬に化けたキツネは、
夜になると抜け出して、
翌朝には、爺さんの所に帰って来ました。
帰ってくるなりキツネは、
爺さんに、こんなことをいうのでした。
キツネ
「別の長者が、嫁を亡くして困っています。
私が年頃の女に化けますので、必要な物を持たせて、
長者の家に連れて行ってください。」
爺さんは、着物やクシ、化粧道具や手ぬぐいなど、
身なりを整えさせ、必要な道具を用意して持たせると、
年頃の女に化けたキツネと一緒に、別の長者の家に行きました。
別の長者は、キツネが化けた年頃の女を気に入り嫁にしました。
キツネは、しばらく長者の嫁として過ごし、たくさんの金をためると、
その金を持って爺さんの所へと帰りました。
爺さんは、キツネのおかげで長者になりました。
そのお礼として、お堂を建ててキツネを養いました。
感謝の気持ちをいつまでも忘れなかった爺さんは、
キツネが死んだ後、お堂を祠(ほこら)にして、
氏神様(うじがみさま)として、いつまでも祀り(まつり)ましたとさ。
めでたしめでたし。
さすが民話の里、遠野の爺さん!
ちゃんとお礼するなんて、さすがですね。
―― ちょっと!新潟の爺さん。
そう、アナタですよ。
終わりがわからないんですけど、
アナタもここまでしたんでしょうか?
ちゃんとキツネを養ったり、死後祀ったりしましたか?
もうっ!、詐欺で喜んでるだけじゃだめですよ。
ちゃんとお礼してくださいね。
新潟のアナタ!
爺さんの終わりがわかりましたら、
ぜひ、教えてくださいね。
なお、青森県などでも、
類似のお話を確認できました。
(熊本県 熊本市 ) #福岡県でも同じ話あり
―― 又兵衛(またべえ)という馬方(うまかた)のお話です。
馬方というのは、馬を使って荷物や人を運ぶ仕事をしている人です。
又兵衛が、キツネが化けて出るといわれている場所を通りました。
そこに女がいたので、又兵衛はキツネだと思い、
いきなり女を縄で縛ると、素早く馬にくくりつけました。
間もなく、女の腰のあたりから、しっぽがのぞき、
顔も少しずつキツネの顔に変わっていきました。
又兵衛が睨(にら)んだ通り、女はキツネだったのです。
やがて、女は完全にキツネの姿に戻って、泣きながらこういいました。
キツネ
「わぁ~~~ん!
ごめんなさい!許してください。
もうしませんので、お願いします!」
キツネが泣いて謝るので、
又兵衛は、次のような条件を出しました。
又兵衛
「だいぶ反省してるから許してやる。
その代わり ――
”金の茶釜になれ!”
そうすれば、許してやる。」
キツネは、すぐに金の茶釜に化けました。
又兵衛は、それを抱えて長者の家に行き
高い値段で売りつけました。
翌日になり、茶釜が金色に光っているのを眺(なが)めた後、
湯を沸かそうとして、火にかけたところ・・・
キツネ
「あちちっ! こりゃたまらん!」
長者の目の前で、火にかけた金の茶釜は、
なんとキツネへと変わって逃げて行きました。
長者は、「騙された!」とカンカンです。
長者
「又兵衛のやつ!
よくも騙(だま)しやがって!
許さ~~~ん!😡😡😡 」
怒りの収まらない長者は、
又兵衛の家に怒鳴り込んだのでした。
ところが ――
又兵衛
「ゴホン、ゴホン!
あ・・・長者さん」
戸を開けると、
まだ昼間だというのに、
あんなに、いつも元気な又兵衛が、
布団で横になって咳(せき)をしていたので、
長者は驚いてしまった。
又兵衛
「実は、あっしは・・・
悪い病気にかかってしまいまして、
もう長くないんですよ。ゴホン、ゴホン。
―― 金の茶釜のことでお怒りなんですよね。
最後に、とびきりうまいもんが食べたくて、
キツネを使って騙して(だまして)しまいました。
長者さん、本当に申し訳ねえ。許してください。」
長者は、又兵衛がもう長くないと知り、
金の茶釜のことなんか、
もうどうでもよくなって、
寝ている又兵衛の枕元に行くと ――
長者
「―― 又兵衛!
そうならそうと何で素直にいってくれないんだい。
金の茶釜なんか、もうどうだっていいよ。
最後なんだから、好きな物をたらふく食べなさい。
そして、葬式の金だって、どうせないんだろ?
小判3両を置いて行くから、何の心配もいらずに
極楽に行くんだよ。又兵衛、心残りのないようにな。」
情にもろい長者は、
目に涙を浮かべて、
又兵衛の枕元に3両を置くと、
足早に去って行ったのでした。
3両は、時期や換算方法により違いますが、
現在の価値で約18万〜51万円前後です。
布団の中の又兵衛は、
長者が扉を閉めて帰って行くと、
布団から飛び起きて、
枕元の3両に手に取ると、
ほおずりして喜ぶのでした。
めでたしめで・・・
―― 又兵衛最低やな!😡😡😡
でも、嘘がバレたら、どうするんでしょうかねえ・・・
又兵衛が最低だとわかったので、
今回は、ここまでにしたいと思います。😂
ぶんぶく茶釜 = タヌキ
だと思っていたのが、
キツネ率が高かったですよね。
アナタも驚かれたのかと思います。
今回は、最後に2つほど、
少し学術的風なものを書いて終わりたいと思います。
・1つ目は、今回のお話で出た、
「地方ごとの違い」をこんな風にまとめてみました。
・「地域ごとの違い」
長崎(三吉) → 言葉の力で偶然の福を得る。
恩知らずでも結果的に福が来る。
高知(商人) → 機知で悪事を阻止。悪意と戦う知恵が勝つ。
新潟(爺さん) → 善意を利用して貪欲に走る。
狐の恩返しを詐欺的に食い物にする。
遠野(爺さん) → 感謝と信仰で福を永続化。理想的な姿。
熊本(又兵衛) → 悪意の極致。死を偽って善意の長者を騙す。
倫理の完全崩壊。
ちょっと難しいかな?
じゃあ、2つ目はね、
何回かやったので、
昔話に関して、こんなコラムを書いてみました。
よかったら、読んでくださいね。
巻末コラム 「昔話は現代の我々を映す鏡」
―― 昔話は、ただの古い物語ではありません。
そこに描かれる人間の欲や知恵、恩や裏切りは、
時代を越えて私たちの姿を映し出します。
狐に騙される者、狐を騙す者 ――
その関係は、現代の社会にも重なります。
善意を信じる人もいれば、悪意でそれを食い物にする者もいます。
遠野の爺さんのように感謝を忘れず生きる姿は理想であり、
熊本の又兵衛のように嘘で人を欺く(あざむく)姿は警告です。
―― 昔話は鏡です。そこに映るのは狐ではなく、
私たち自身の心のありようなのです。
日本昔話研究家
坂本猫馬
いかがだったでしょうか?
アナタのお住まいの地方にしかない、
地方色豊かな昔話がありましたら、
ぜひ、記事にして教えてくださいね。
同じ昔話でも、地方が異なると、
その背後にある、地域の特色や文化、風習など、
そういったものの影響を受けて、
お話が変化していくのは、面白い現象ですね。
また機会がありましたら、
違う日本の昔話で
やってみたいなと思います。
それでは、最後までお読みいただき
ありがとうございました。
―― さようなら!🐯

※ この話は、『日本昔話大成 第6巻 本格昔話5(1978)』
角川書店 関 敬吾(著)
106ページから119ページ 「文福茶釜」より、
引用&参考にさせていただきました。感謝します。
※ 前作までの第1巻は(1979)でしたが、
第6巻は(1978)となっていて謎です。
Amazonの表記と本の奥付(昭和53年)を確認しましたので、
そのまま記載しています。
特典画像:「文福急須」

※今回は、ぶんぶく茶釜のきちんとした画像を
アナタにお見せできなかったので、
お詫び特典として、
茂林寺の写真 (写真AC様)
ぶんぶく茶釜のイラスト(イラストAC様)
よりお借りしましたので、ご覧になってお帰りください。
両サイト様には、いつもステキな画像をお借りして感謝します。



※群馬県にお越しの際は、ぜひ館林市にある
ぶんぶく茶釜で有名な茂林寺へお越しくださいね。
詳しくは、冒頭のリンク先をご覧ください。
群馬県民一同、アナタのお越しをお待ちしております。🙇



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