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kiyofico
ショート) 彼女の狙い
大きめのアクアリウムの中を
極彩色の魚が軽やかに泳いでいる。
「どの魚にしようか?」
彼女に訊ねてみる。
「うーん、あっ!
あれなんか変わってない?」
彼女が指差したのはレジの方、
そこには『店長大西』の名札をぶら下げた
中年の男性がいるだけ。
「え、どれ?」
確かめるように再度訊ねてみる。
「あれだよ
えーと、オオニシ?大西!」
「いや、それ店長さんだから!」
彼女のボケが炸裂したのだと思い
慣れないツッコミをしてみたが
彼女は は? みたいな顔をしている。
すると、その足でレジに向かい
「すみません、大西を欲しいんですけど」
と、大変失礼な事を言い出した。
平謝りする僕に目もくれず
大西は「2600円です」と答えた。
彼女は3000円を出し、お釣りを貰った。
「アクアリウムはお持ちですか?」
大西が訊ねてくる。
「一応ありますけど
家用なので小さいかもしれません」
平然と定例な受け答えが進む。
あの日以来 我が家のアクアリウムには
大西が頭から突き刺さっている。
おそらく、とうに事切れているようだが
彼女が言うには
これからが魚達にとって
良い微生物の出汁が出るらしい。
