“無い”友人スピーチ

   フィクション回。もし友人代表スピーチを任された時はこれを参考にしてみてね。


Case.1「反復横跳び」

   ただいまご紹介にあずかりました、友人の(名前)です。(新郎名)さん、(新婦名)さん、ご結婚誠におめでとうございます。並びにご両家ご親族の方におかれましては、心よりお慶び申し上げます。

   はい(笑)

   緊張しますので、ここからは普段通り(愛称)と呼ばせてください。手紙を読みます。

   (おもむろに手紙を取り出す)

   風の噂で聞いたんですが、お二人は夫婦別姓を選択されるそうですよ。あ、でも、それがホントかどうかの答え合わせは後日にしておきましょう。
   もしかしたらこの場に反対派がいるかもしれませんしね。あくまで仮定、かもしれないという話です。
   おめでたい席ですので、自身の主義主張は一旦横に置いておいて、今日は彼らを祝福しましょうよ。クリスマスは一時停戦するでしょ。それと同じです。

   かく言う私が反対派です(笑)

   まぁー夫婦別姓というのは、長く続いた日本の伝統文化を壊すということになるんですけども、どうも私のような古い人の感覚からすると、二人が一つにならないんじゃないかという懸念の方が大きいわけです。
   名前というのは楔ですから、それが変わらないってのは二人の意識を分けることに繋がって。離婚に対する心理的ハードルも下がってしまうんじゃないかと心配していました。

   ですが、先程チャペルの、主の御前にて誓いを立てるところを見て、余計な心配だったなと反省しました。
   二人は一生一緒でしょう。神に誓うとはそういうことなのですから。姓が違う程度のことで二人が分かたれる事はありません。

   とはいえ日常生活を円滑にするには信仰だけでは解決しないことも出てくるでしょう。そういう時は遠慮なく我々を頼って欲しい。
   抱え込むというのはよくありません。

   後は固定観念に囚われないことですね。男は仕事、女は家事育児、と言った考えはもう前時代的ですからどうぞ捨ててください。互いに思いやり支え合い苦難を乗り越えていってください。

   と言ったところで私のスピーチを終わりにしたいと思いますが、最後に一つだけ。
   皆さん、選挙に行きましょう。未来を変えるのは他でもない私達です。忙しい、面倒臭い、色々理由があるとは思いますが、なるべく行きましょう。

   より輝かしい未来のために。ありがとうございました。結婚おめでとう!

Case.2「元恋人」

   ただいまご紹介にあずかりました、新郎友人の(名前)です。(新郎名)さん、(新婦名)さん、ご結婚誠におめでとうございます。並びにご両家ご親族の方におかれましては、心よりお慶び申し上げます。

   僭越ながらご指名頂戴致しましたので、この時間をお借りしてお二人との思い出をお話したいと思います。
   私新郎側の友人代表としてここに立っている訳ですが、運命のイタズラか、新婦の事もよく知っているんですよね。なのでちょっと新婦のことについても話したいな。

    (新婦愛称)(呼び捨て)(突然)(地雷)、やっぱお前は綺麗だな。昔から花嫁姿が似合うだろうと思っていたけど、想像を遥かに上回るな。最高だ。なんでお前の横にいるのが俺じゃないのか不思議でならないよ。
   (新郎名)は知らないと思うけど、コイツ結構おっちょこちょいでさ。普段がしっかりしているだけについ忘れがちになるんだが、実はちゃんとか弱い女の子なんだぜ。

   その、ふと見せる人間味のある弱さが、なんて言うんだろうな、守ってやりたい、と思わせてくるんだよな。
   (新郎名)もそうなんだろ?わかるよ。

   彼女と初めて会ったのは大学のサークルでした。初めはただの同期だったんですけど、次第に打ち解けていって、気付けばなんでも相談し合える仲になっていました。
   (新婦愛称)、あの時は本当にありがとう。あの時に助けてくれて、支えてくれたおかげで今の自分があると言っても過言ではありません。

   その後、卒業を機に疎遠になっていたのですが、まさかここで再会できるとは思っていませんでした。
   こんな偶然あるんですね。事実は小説よりも奇なりとは、よく言ったものです。

   新郎とは会社の同期として知り合いました。新入社員時代、右も左も分からない中支え合ってきた戦友です。
   そんな戦友に、今後の結婚生活をより豊かにするためのアドバイスを一つ。

   (新婦愛称)は寝起きの機嫌がクソ悪いからあんま刺激しすぎないようにした方が良いぞ。

Case.3「知らない人」

   えー突然ご指名いただきました(名前)と言います。皆さん初めまして、よろしくどうぞ。

   えー(新郎名)?さん、(新婦名)?さん、あー結婚おめでとうございます?

   なんで自分がこの場に立っているのか、未だに理解しきれていないんですけど、せっかくこうした機会をいただいたので、まあ何かしら喋ろうかなと思います。

   あ、簡単に自己紹介しますと、私はお二人とは完全初対面、どころかこの会場にいらっしゃる全ての方と初めましてです。
   そこをフラフラ〜っと歩いてたら突然参列させられまして、流れでここにいます。

   せっかく初見でこの場にいるんで、ミリしら夫婦、やってもいいですか。お二人との無いエピソードを偏見で捏造して話してみます。

   タケシとは幼馴染で、よく一緒に遊んでいました。仲間内では彼をタケシ、と呼ぶのですが、その理由は彼の体型があの国民的アニメに登場する某キャラクターに似ているから、ではなくただただそういうノリです。

   これ、この文だけじゃどっちのキャラクターを指しているのかまだわかんないんですね。歌ヘタの方なのか、糸目の方なのか。もしかしたらそれ以外を思い浮かべた人もいるのかな。

   まあなんでもいいです。

   タケシはほんとにいいやつで、西に疲れた母あれば、行ってその稲の束を負い、南に死にそうな人あれば、言ってこわがらなくてもいいといい、そうだ、あれはよく晴れた夏の日だった、太陽が燦々と輝いていたあの日、しかし私の命は正しく頭を垂れた向日葵のようで、あんなに明るく咲き誇っていたあの頃は既に過去の栄光、この命もはやここまでと諦めたまさにその瞬間、タケシが現れ僕を励ましたのです。

   それは、一滴の活力剤のようでした……。彼の言葉、その一音一音が確かなエネルギーとなって僕の心に染み渡ったのです。
   そのおかげで、今こうして晴れの日にスピーチができるのです。全ての恵みに最大限の感謝を。

   そんなタケシが結婚すると聞いた時は、我がことのように嬉しかった。(新婦名)さん、タケシをよろしくお願いします。
   こいつはほんとに良い奴なんで、結婚生活でもきっと(新婦名)さんをよくサポートしてくれるんじゃないかな。

   どうぞ末永くお幸せに。
   ご清聴ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!