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揺れながら

言葉の処方箋 第4回

不安を感じるのは、
未来を見ようとしている証。


不安になることは、できれば避けたい。

胸の奥がざわつく。
まだ起きていないことを頭の中で何度も繰り返して、呼吸が少し狭くなる。

うまくいかなかったら。
間違っていたら。

でも、気づいていることがある。
不安は、これからを思い描く人のところに訪れる。

この先を考えるから、揺れる。
大切なものがあるから、揺れる。
失いたくないから、揺れる。

揺れることは、弱さではない。
世界を細かく感知している、というサインだ。


不安は、まだ起きていないこの先の未来を、
心が先に感じとってしまうものだ。

ネガティブな出来事を思い浮かべると、
心が早めに動き出す。
その「早めに動き出す力」が、不安というかたちをとる。

つまり、不安は”未来を見ようとする力”の副産物でもある。

何も気にかけていなければ、揺れない。
どうでもいいなら、心は動かない。

不安を感じているとき、あなたの心はすでに「これからの時間」に向かって動いている。


もっとも、不安が強くなりすぎると、それは苦しみになる。

日常が手につかなくなるほどの不安は、一人で抱え続けなくていい。

そのときは、信頼できる誰かや専門家に声をかけることを、どうか選択肢に入れておいてほしい。


不安と願いは、同じ根から生えている。

うまくやりたい。
大切にしたい。
壊したくない。

願いが濃ければ、その影も濃くなる。
不安はその影だ。

あなたが何を大切にしているか——
不安はその本質を映している。


風が吹けば、木は揺れる。

しなやかに揺れながら、根を深く張りつづけている。

折れないのは、揺れないからではない。
揺れることを許しているからだ。


揺れている自分を、責めなくていい。

揺れは、倒れる予兆ではなく、
進む前に体が行う、静かな調整だ。

不安を感じている今は、未来から目を逸らしていない証拠。

だから、無理に消そうとしなくていい。

ただ少し、呼吸を整える。

揺れながら、それでも人は歩く。

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