あんなに欲しかった「家族団らん」が、今ここにあるということ
今でも時々「家族団らん」の中にいると、変な気がする。
あれ?私今、家族団らんしてるよね?って、もう一人の自分が問いかける。
ああ、してる、してる。家族団らんしてる。
そんなものが自分の人生にあるなんて、それを普通に味わう日が来るなんて、子どもの頃は思ったことがなかった。だから、今でも少しだけ戸惑うことがあるのだ。
自分で十分にお金を稼げるようになった26歳の秋、私はすぐに家を出た。
やっと自由になれたと思った。実家にはほとんど寄り付かなかった。
でも、姉に子どもが生まれてからは、姪っ子会いたさで、年末だけは実家に帰っていた。いつも12月31日ギリギリだったけど。
姪っ子Hのことはかわいくて仕方がなくて、写真を家に飾っていたほどだ。
赤ちゃんの頃は服やおもちゃなどいろいろなものを買ってあげたし、バレエを習っていたから、発表会の時には他の子よりも目立つように、かわいくて大きなバルーンや花束を会場に贈ってあげていた。
Hのおかげで、少しだけ実家に帰ることが嫌でなくなり、Hを囲んでみんなが笑っている時は、少しだけ「家族団らん」の中にいるような気がした。
35歳の時、私もようやく結婚した。9年間という長い一人暮らしに終止符を打った。
実家から車で10分かからない場所に家を建てたことや、夫が私の両親を大切にしてくれる人だったこともあり、一人暮らしの時には考えられないほど実家へ行くようになった。
父の自慢の手打ちうどんと、母が揚げたおいしい天ぷらを食べる。
こちらは旅行に行くたびにお土産を持っていく。
パソコンのことがわからない、スマホの使い方がわからないと、ちょっとしたことでも実家へ呼び出された。夫は嫌な顔ひとつしないし、私もだんだん実家へ行くことが嫌ではなくなってきた。
そればかりか、両親に何かしてあげたいと思うようにさえなった。
「家族団らん」は、もう普通のことになりつつあった。
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