世間の評判と矛盾、レジスタントスターチの本当の条件
炊きたての白米が茶碗によそわれて、「おいしそぉ~」と思った次の瞬間に、「これ、血糖値大丈夫かなぁ…」が頭をよぎる。血糖値が高めと言われてから、その一瞬が増えたという方、けっこう多いんじゃないでしょうか。
そんな時に、レジスタントスターチが血糖値上昇を抑制するという話、「冷やご飯にすると血糖値が上がりにくい」。たぶん一度はSNSやテレビで目にしていますよね。
私もいままで何度も見ました。そして実際に、これまでいくつか検証して、動画のほうでもお伝えしてきました。
ただ、回数を重ねるうちに、世間で言われているレジスタントスターチの効果のニュアンスと違いがあるだけでなく、ほとんど法則と言えるような''傾向''があることに気づいたんです。
だから測り直しました。米の種類を変え、冷やし方を変え、皮の有無を変えて、全部で17通り。
測った条件
主食はすべて150g(茶碗一杯強)
朝の空腹時に同条件、単品で
基準は炊き立ての白米150g
「冷やし」=冷蔵庫でひと晩置いて、冷たいまま
「冷凍」=冷凍したあと、電子レンジで熱々に戻して
そもそもレジスタントスターチとは
毛糸を思い浮かべてみて下さい。
生のデンプンは、毛糸がきっちり巻かれた玉の状態。ここに水と熱を加えて炊くと、毛糸がほどけて広がります(糊化)。ほどけた糸には、消化酵素が噛みつきやすい。だから炊きたてのごはんは、スッーーと消化されて血糖値も鋭く上がりやすいです。
ところが冷やすと、ほどけた糸の一部が自分たちで編み直される。
この編み直されたデンプンが、レジスタントスターチ。酵素の歯が立たず、小腸で吸収されないまま大腸まで届きます。
つまり「デンプンだったものが、途中から食物繊維みたいな振る舞いに変わる」。これがレジスタントスターチの正体です。
問題は、それがどこまで実際の血糖値に差を出すのか?
第1段:まず、白米だけで温度を変えてみた
同じ白米150gを、
炊きたて/ひと晩冷蔵して冷たいまま/冷凍してレンジで熱々に。
動かした条件は、温度だけです。

正直、世間で言われているほどの目を見張るような差は、出ませんでした。
下がる方向には動いています。でも「冷やご飯なら安心」と言えるほどの数字からは、かけ離れています。
そして、一度冷凍した白米を再加熱してもレジスタントスターチは残ると、メディアでも言われていますが結果は18%の抑制でした。もちろん間違いではないですが、実際に61mgもスパイクしていると考えると、これも期待外れでした。
しかも冷やした9%より、冷凍レンジの18%のほうが下がっている。順番が逆なんですよね。
ひとまず、白米だけをいじっていても、この話は前に進まない。
そう感じたので、次の手に。
第2段:米の種類を変えたらどうなるのか
私たちが普段食べているお米は、ジャポニカ種です。粒が丸くて短く、炊くとモッチリする。世界にはもうひとつ、インディカ種があります。粒が細長くてパラパラしている。タイのジャスミンライス、インドのバスマティライスがこれです。
私はオーストラリアにいた頃、普通のスーパーの棚にあったので、よく食べていました(まぁ、チャーハンが作りやすいこと)。

結果はきれいに割れました。
バスマティは、何もせず普通に炊いただけで白米より27mgも低い。一方でジャスミンは、白米より、むしろ高い結果となったんです。これにはそれぞれのお米に含まれる、タイプの違うデンプンから読み取ると分かりやすいです。
デンプンにはアミロースとアミロペクチンの2種類があります。
アミロースは枝分かれの少ないまっすぐな糸で、冷えたときに隣の糸ときれいに編み合わさる。アミロペクチンは枝分かれだらけで、編み合わさりにくい。つまりアミロースが多い米ほど、レジスタントスターチができやすいです。
インディカ種はアミロースが多くなりやすい系統ですが、品種の幅が大きい。そしてバスマティは高アミロース、ジャスミンは低アミロース寄りの品種なんです。
「インディカだから効く」ではなく、「バスマティだから効いた」。数字とも整合性がとれます。
ちなみに、冷やしたジャスミンライスはかなり不味いです。パラパラの米は、冷えると極限にパサつきます。
デンプンの構造が違えば、ある程度抑制力はコントロールできそうです。しかしこのバスマティライスの決定的な欠点は(もうお気付きかとは思いますが)、そうです、手に入りません。
しかも日本は国内で数えきれないほどのお米(ジャポニカ米)のブランドがひしめき合っているので、インディカ米(バスマティライス)がそこに割り込む余地はないです。消費者の私たちにとっても、パラパラして固めなお米は和食にも合わず続きません。
では、そこに食物繊維を足したら。
第3段:食物繊維を足してみる
日本で手に入って、食物繊維が残っている主食。玄米と、もち麦入りの白米です。
もち麦は、白米2に対してもち麦1の割合で炊いています。
その前に、この2つが白米とどれだけ違うのか、成分から見ておきます。

正直、思ったより少ないと感じませんか。もち麦入りでも150gあたり3.0g。レタス1個より少ない量です。ただし白米と比べると6倍。しかもカロリーと糖質は、むしろ白米より低いです。
この差が、どこまで血糖値に出たのか。

玄米は、何もせずバスマティに迫る水準まで下がりました。
意外だったのは、もち麦入り白米です。もち麦を入れているのに、炊きたてでは白米とほとんど変わらなかった。ということは、食物繊維を足しただけでは、足りないということです。
では、この2つを冷やしたら。
図解の空欄になっている4つ。これらの結果が一気にレジスタントスターチの本当の姿をあぶり出してくれます。

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