カルロス・ゴーンの逃亡とマダガスカル・クーデター2025とサルコジ裁判の接点
サルコジ元大統領の交友関係を調べていたら、カルロス・ゴーン氏の逃亡に繋がってあらま、びっくりでした。
カルロス・ゴーン氏の事件については読者の皆様のほうがよくご存知と思います。
簡単に説明すると、ゴーン氏は「ルノー・日産・三菱アライアンス」の社長兼最高経営責任者(CEO)を務めていましたが、2018年11月に金融商品取引法違反および特別背任の疑いで起訴拘留されたのち、2019年12月30日、ゴーン氏は保釈条件に違反して日本から逃亡しました。

ゴーン氏は大型のロードケースに隠された状態でプライベートジェットに乗せられ、大阪からイスタンブール、そしてベイルートへと運ばれた。
日本当局は国際逮捕状を発行し、インターポールは赤色通告を発行したが、ゴーン氏が国籍を有するレバノンは同氏の引き渡しを拒否した。
2021年、レバノン当局はゴーン氏に渡航禁止令を発令し、その後、フランス当局もルノー資金の不正使用疑惑に関する独自の国際逮捕状を発行したが、現在公判停止中となっている。
ゴーン氏が「ルノー・日産・三菱アライアンス」の社長になる前のCEOについては以下の記事に書きました。よかったらご覧ください。
ゴーン氏が逮捕された後、2018-2020年の間、ルノー・日産・三菱の暫定CEOを務めたティエリー・ボロレ氏は、2008年からミシュランの副社長でもありました。
ボロレ・グループの一員で、サルコジ氏の大親友のヴァンサン・ボロレ氏のいとこです。

仏ルノー最終赤字1兆9000億円 1〜6月、日産株で損失 - 日本経済新聞
2019年12月30日のカルロス・ゴーン氏の亡命フライトの費用(総額2,000万ドル(約22億円)以上)は、トルコのMNG航空から17万5000ドルの初期送金によって支払われました。
ドバイに本拠を置くアル・ニタク・アル・アクダール・フォー・ゼネラル・トレード・リミテッドとMGNジェット社の間で35万ドルの契約が締結され、12月24日に発行されました。
アル・ニタク・アル・アクダール・フォー・ゼネラル・トレード(Al-Nitaq Al-Akhdhar General Trading)は、米国国防総省(DoD)によって認められた民間軍事装備品サプライヤーの登録簿に記載されており、バグダッドとドバイに住所があります。
アル・ニタク・アル・アクダール・フォー・ゼネラル・トレード・リミテッドと関係あるとされている物流会社SKAインターナショナルCEOのマイク・ダグラス氏(イギリス退役軍人)は、ゴーン氏逃亡の関与を否定。
マイク・ダグラス氏は、2003年にSKAインターナショナルを設立し、米国政府の主要請負業者となった。SKAとは – SKA International Group
「困難な場所で困難な仕事をする」というスローガンを掲げ、SKAはアフガニスタン、ソマリア、イエメンなどの他の国々にも拡大しました。
マダガスカルのセレブ*マミニアイナ・ラバトマンガ氏
ゴーン氏を大阪からイスタンブールへ輸送したカナダのボンバルディア・グローバル・エクスプレスのプライベートジェット機(登録番号TC-TSR)は、マダガスカルのトランス・オーシャン・エアウェイズ(TOA)の所有でした。
ボンバルディア・グローバル・エクスプレスのメーカー、ボンバルディア・エアロスペースは、ボンバルディア・グループの子会社。
TOAの社長はパナマ文書にも登場し、「マミー」の愛称で知られるマミニアイナ・ラバトマンガ氏でした。
2017年にマダガスカルで2番目に裕福な人物としてフォーブス誌に紹介されています。

1990年、ラバトマンガ氏は輸送を専門とする会社、ソディアトを設立しました。現在、同社は石油メンテナンス、建設、プレス、ホスピタリティ、観光、医療、輸出入などの事業を展開する複合企業であり、マダガスカルで最も重要な企業の一つとなっています。
ゴーン氏の逃亡事件では、多数の関係者が逃亡・密出国を手助けしたとみられ、各国で逮捕が相次ぎましたが、ラバトマンガ氏が調査されたかは情報がありません。
ラヴァトマンガ氏は、2019年にセルビア名誉領事に任命され、2023年にはマダガスカルのコートジボワール共和国名誉領事にも任命されていました。
つい最近、ラバトマンガ氏に重大な変化が起きました。
それが上の記事にも書いたマダガスカルのクーデターです。2025年マダガスカル軍事クーデター



マダガスカルのアンドリー・ラジョエリナ大統領(1974年3月30日 - )は、10月12日にフランス軍機で国外の「安全な場所」に避難したと言われています。ラジョエリナ氏はフランスの二重国籍者でした。
軍事筋はロイターに対し、ラジョエリナ氏が12日にフランスの軍用機で出国したと語った。マダガスカルはフランスの旧植民地で、フランスのラジオ局RFIはラジョエリナ氏の国外退去をフランスのマクロン大統領が支援することで合意したと報じた。
ラジョエリナ大統領の側近のひとりだったマミー・ラヴァトマンガ氏はモーリシャスへ逃亡し、そこからさらに某所に亡命しようとしていましたが、10月24日、モーリシャス当局により 横領とマネーロンダリングの容疑で逮捕されました。

彼は、モーリシャス空港当局への汚職、およびマダガスカルからモーリシャスへ送金された資金の性質に関する捜査の対象となっていました。
また、マダガスカルでは、国営水道電力会社ジラマの取締役を務めていた際に公金を横領した容疑で告発されていました。
またアジアにローズウッドを違法に密輸した容疑もかけられており、ラジョエリナ大統領とともに脱税とマネロンで捜査されていたのです。

始めは若者のデモとして始まったかもしれないが、クーデターは脱税とマネーロンダリングの犯人たちを捕らえ、汚職撲滅する作戦だったわけですね。
亡命したラジョエリナ大統領も追跡されていると思われますが、大統領のために軍用機を出す、何かのメリットがフランスにあるのでしょう。
亡命前にラジョエリナ大統領は、2021年のクーデターで逮捕した2人の元フランス軍将校囚人に恩赦を出しており、それが国外脱出を手伝う交換条件だったのだろうと言われています。

ボーイング機のイランへの納入事件
2025年7月、米国の制裁下にあるイラン国内に、イランの航空会社マーハーン航空のロゴをつけたボーイング777-200型機5機が発見されました。
後に、これらの航空機は東南アジア諸国を拠点とし、制裁を回避するために当初はマダガスカルで暫定登録されていたことが明らかになりました。
2025年8月24日汚職対策ユニットによる捜査の結果、22人が「汚職、職権乱用、公文書偽造、共謀、犯罪者隠避、なりすまし、国家安全保障の弱体化」の罪で起訴されました。
2025年10月20日、AFPが入手した公式文書の中で、彼はマダガスカル民間航空局長のヴァレリー・ラモンハベロ氏を含む他の人々と共に、マミー・ラヴァトマンガ氏もこの事件に関与した人物として名前を挙げられています。
さて、ここからまた興味深いことにサルコジ氏の友人に繋がっていくのです。
サルコジ氏友人の犯罪に関与の疑い
ラヴァトマンガ氏は、サルコジ氏の長年の友人パトリック・バルカニー氏の法的スキャンダルにも関与していました。バルカン事件

バルカニー氏はハンガリー、ラトビア、ウクライナのユダヤ人の血を引いている。1983年から1995年、および2001年から2020年まで、31年間ルヴァロワ=ペレ市長を務めた。
この事件は、 1980年代から1990年代にかけてスイスに保管されていた未申告の資金(現在では時効となっている脱税犯罪)に端を発し、高級不動産の購入による脱税に関連したマネーロンダリングの疑い、およびこれらの不動産を税務当局に申告しなかったことに関連したさらなる脱税の疑いにより、2013年にフランスの司法制度の注目を集めました。
2014年に発覚したビグマリオン事件( 2012年大統領選挙におけるニコラ・サルコジ氏の選挙資金に関するもの)を受けて、捜査はバルカニー氏の複数の汚職行為(アフリカにおける国際契約の手数料の支払いや、ルヴァロワ=ペレで締結された公共契約の支払いに関係するもの)も対象に拡大されました。2014年10月バルカニー氏は、「脱税と汚職によるマネーロンダリング」の罪で正式に起訴されました。
ビグマリオン事件は、ニコラ・サルコジ大統領が 2012年フランス大統領選挙において、ビグマリオン社との偽造請求書システムを通じて、過剰な選挙資金を隠蔽しようとしたとされている。このスキャンダルにより、ビグマリオン社に関連する他の事件が明るみに出た。
2016年2月、報道機関は、ルヴァロワ=ペレ市がビグマリオン事件に関与している可能性を示唆する地方監査局の報告書を報じています。
同月、フランス国家金融検察庁(PNF)は、パリ郊外ルヴァロワ=ペレにある複数の不動産を一部はモーリシャスに拠点を置くオフショア企業を巻き込んだ不透明な金融取引を通じて取得したとして、2018年6月から2019年6月にかけてパリ郊外にある(ラヴァトマンガ氏の)不動産4軒を押収しました。
2019年9月バルカニー氏は、懲役4年と公職に就くこと10年の禁固刑を宣告され、その日のうちにパリのラ・サンテ刑務所に収監されました。
2019年10月マネーロンダリングの罪で再び有罪判決を受け、懲役5年と公職追放10年の判決を受けたが、2020年2月、彼の健康状態が「拘留に耐えられない」と判断され、保釈金なしで釈放されました。
サルコジ・カダフィ事件にゴーンは関係ある?
2019年6月L'Expressは、サルコジ・カダフィ事件の重要人物ジアド・タキエディン氏とカルロス・ゴーン氏がパリで同じ住所を共有していることを明らかにしました。

2007年にリビアのカダフィ大佐のフランス訪問を組織したのは、レバノン系フランス人の実業家(武器商人)ジアド・タキエディン氏でした。
2014年3月9日、ゴーン氏の60歳の誕生日の前日に、日産とルノーの提携15周年を祝うため、日産BVがヴェルサイユ宮殿の戦場の広間で63万6000ユーロの晩餐会(非公開)を開催しました。
ゴーン被告、ベルサイユ宮殿での“誕生日会”も日産、ルノー払いか 費用7500万円、仏紙報道(1/2ページ) - zakⅡ
このパーティは非公開だったため、ビデオが2019年頃にYouTubeにUPされたけれど、すぐに削除されたそうです。
154人のゲストのうち、94人はカルロス・ゴーンの家族または個人的な友人で、レバノンのビジネスマン、ブラジルの州知事、米国の上院議員で、24人はルノーと直接仕事上のつながりがあり、3人はルノー・日産の幹部で、その中にはシェリー・ブレア(ルノー取締役)とその夫で元イギリス首相のトニー・ブレア氏、および他の2人のRNMアライアンス幹部が含まれていました。
トニー・ブレア元首相の奥さんはルノーの取締役だったんですねぇ。


どの時点でゴーンとタキエディン氏が知り合ったのかはわかりませんが、パリの住所が同じということは、親しい間柄か共通の元締め的な人物がいるのでしょう。
それはもしかしたら、マダガスカルのマミー・ラヴァトマンガ氏かもしれなせん。
2020年にベイルートで起きた衝撃的な爆発事故では、ゴーン氏のマンションも爆風被害にあったそうです。
サルコジ裁判の重要人物ジアド・タキエディン氏

タキエディン氏はイギリス領ヴァージン諸島の租税回避地にある会社を通じてロンドンのホランドパーク地区にあるウォーリック・ハウスを所有していた。 2013年、タキエディンは「詐欺の疑い」でイギリスへの入国を拒否され、イギリス警察によってフランスへの帰国を強制されていた。
カラチ事件
2020年6月、タキエディン氏は「カラチ事件 (1992年から1997年)の資金面での関与を疑われ、逮捕状が出され、懲役5年の判決を受けましたが、2020年末にはレバノンに逃亡しました。
カラチ事件とは、アゴスタ90B級潜水艦の取得交渉をめぐり、フランスとパキスタンの間で巨額の手数料とキックバックが支払われたことに関係していました。
1992年から1997年にかけて起こった大規模な軍事スキャンダルで、フランソワ・ミッテラン大統領とジャック・シラク大統領が関与していました。
ここから先は
¥ 300
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
