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1-4-① 襲いくる過去、追いかける真実①

*注意*
本作は『ジョジョの奇妙な冒険』および『クレイジー・Dの悪霊的失恋』をもとにした非公式の二次創作です。
原作および出版社とは一切関係ありません
おもいっきりネタバレしています!!!

目次  前書き&注意点  前の話(1-3-⑤ 砕けぬダイヤ⑤)


《2つ目の”鍵”を手に入れよう! それは……”鸚鵡”ッ!》

やはり目つきの悪い絵柄に描かれた白い鳥のイラストが、鳥籠から飛び出すようにコマいっぱいに描かれていた。

(あのホル・ホースって人たちが探している鸚鵡……確かにDIOに調教されて仕えていたって。)

《”鸚鵡”を手に入れれば、未来の代わりに過去を手に入れることができるんだ!
あいつらが手に入れる前に”鸚鵡”を手に入れれば、これでリョンリョンは無敵だよ!》

鳥を涼子と思われる女が抱っこしているイラストになった。
何度見てもこんな目つきの悪い描き方をされるのは気に入らない。

(過去を手に入れることができる? 
あの東方仗助にホル・ホースも鸚鵡も、この本みたいな不思議な力を持っているみたい。
スタンド能力とか言ってたけど……それで過去がわかるっていうこと? 
でも、そんな超能力者みたいなたちを相手に、私が鸚鵡を手に入れるなんてできるのかしら)

《過去を手に入れてから、ホル・ホースと2人きりになって、あいつにきつい一発をくれながら追求してやれ!》

肩に鳥を乗せた涼子が床に尻をついているホル・ホースに両手をあげて、とっちめているイラストになる。

それからページをめくると、

《そうしたら、ずっと知りたかった典明お兄ちゃんの”真実”が目の前にやってくるぞ!》

花京院典明に涼子が抱きつこうとしているようなイラストが浮かんだ。

(典明お兄ちゃん……)
涙が浮かびそうになるのを堪えた。

今までこの漫画本は全て見通して、その通りになってきた。
この不思議な本の通りにすれば、ずっと知りたかった花京院典明の死の真相を知ることができるのかもしれない。いや、できそうだった。

(やろう。私はこの10年ずっと知りたかった。なんとかしてあの人たちより先に鸚鵡を手に入れなきゃッ)

花京院涼子は、漫画本をカバンにしまって、座っていた霊園そばのベンチから立ち上がった。

立っている地面の影が動いた。

ボインゴが、泊まっているホテルの部屋の小さな机の下にうずくまって座っていると、部屋のドアがノックされた。

「おーい、ボインゴ、いるんだろ?」
ホル・ホースの声にドアを開けると、でかいカウボーイ男が立っていて、その横に不思議な髪型の大きめの男が立っている。日本人、まだ若そうだ。
その横から顔を出して挨拶したのが、
「やあ、ボインゴ君」
「……リョーヘイさん……」
派出所で世話になった老警官だった。

逞しい体型の男性3人に、ボインゴをホテルに送ってくれた仮頼宿という若い警官も入ると、ホテルの狭い部屋はいっぱいになった。

ボインゴがホル・ホースとはぐれてから彼は良平の孫の仗助という男と行動を共にしていたんだそうだ。その鸚鵡探しの間に、ボウガンで人を襲う犯罪者を仗助と協力して捕まえたのだという。

ボウガン男は杜王町在住の大学生で、自宅からボウガンに他に動物を射殺した動画も発見されて、容疑は確定的となったが、心神喪失を理由に裁判は長期化しそうという予想だった。
「ボウガンによる怪我人が出なかったのが幸いだったよ」と良平は付け足して、横でホテルの備え付けの鏡で髪を整えている自分の孫を見た。
仗助という男は額に絆創膏を貼っているが、それよりも孫のきている奇抜な服の方が気になるらしく、ジロジロ眺めてはため息をついた。

そのボウガン騒動に巻き込まれて、はるばる日本まで探しにきた鸚鵡が死んでしまったと聞いたのは、どうにも釈然としなかった。
ホル・ホースに確認すると、「おまえ、ト……いつも持ってる漫画本はどうした?」と聞き返された。予言で知ってたはずだろう、と言いたげだった。
トト神を落としたと知らされた男は、なんとも言えない顔になって口をもごもごと動かし、ボインゴを怒鳴ろうとするのをかろうじて堪えてた。
「……大事なもんだろうーがよお……」
良平たちの前がいる手前、スタンドの話はできなかった。

「ったく」とホル・ホースは座っていた椅子から立ち上がり、
「わざわざ教えてもらってすまんね、良平さん」
と向かいの椅子に座っている老警官に礼を言った。
「ボインゴ、お前の漫画本探してくる。またはぐれたら面倒だから部屋で待ってな」
とホル・ホースはボインゴを指さしていい、返事も聞かずに
「お孫さん借りてくぜ、良平さん」と今度は良平に言って、部屋から出ていった。
孫は祖父に怒られそうなことでもあるのか、ニカッと笑って手を振ると、そそくさと後をついていった。

2人が出ていった後、良平はベッドに腰掛けているボインゴに向かって、
「探していた鸚鵡が死んでしまって残念だったね、ボインゴ君。漫画本の方はまだ見つかっていないのかね。」
「う……うん」
ボインゴがうなづくと、
「なら、自分でも探しに行ってみてはどうだい? 大切なものなんだろう?」
と良平が進めた。

ボインゴは少し考えた後に、
「ボ……ボク、何もできないし……無駄……だよ……」
と俯いて答えた。
そんなボインゴを見た良平は、ゆっくり優しい声で話しかけた。
「ボインゴ君。我々警察官の捜査だって全部結果が出るわけじゃあない。結果の出ない聞き込みとか調査とか山ほどあるんだ。君の漫画本も、探しても見つからないかもしれない、でも、探さないと絶対に見つからないんだよ。」
ボインゴがちらっと良平を見上げると、彼は微笑みかけて、
「ダメでも元々。やれることはやってみようじゃあないか。わしらも手伝うよ。」
とボインゴに杜王町の地図を差し出した。

ボインゴは、差し出された地図を見つめると、サンバイザーを下げて、
「わ……わかったよ、リョーヘイさん」
と地図を受け取って立ち上がった。

警官たちと別れてホテルの玄関から出ていくと、「ボインゴ君」と後ろから仮頼宿が声をかけた。
「よかったら、私も漫画本を探すのを手伝うよ。一緒に行こう」
と手を差し出してきた。
ボインゴは地図を握りしめると、「いい……大丈夫……連れが、いるから……」と断って背を向けて歩きだした。

少し歩くと、

キイイイイイイーーーーー

何かの鳴き声がした。

ボインゴが見えていた街並みが変わった。
遠くにピラミッドが見えている。
(ピラミッド?エジプト??? さっきまで日本の杜王町にいたのに?)
よく見るとさっきまでの杜王町の風景も注意すれば見え、ピラミッドと日本の山々が二重写に写っている。眼球の上のコンタクトに、映写機で映像を写したようだった。

首を振って周囲を見渡そうとしたが首が動かなかった。
いや、立って歩いていたはずなのに、ボインゴは椅子に座っていた。
目の前には丸いテーブルが置いてあるが、テーブルの上には料理も飲み物もなく、伏せられたトランプの丸い円形のチップが積まれていた。
(なんだこれは?)
混乱するボインゴは、自分が息荒く汗をかいていることに気づいた。

すると目の前に、ライムが付けられストローの差されたグラスのジュースが現れた。
そのジュースを男が手に持って飲み始める。
男は日本の学生服に学生帽をかぶっている。
ボインゴはその男に見覚えがあった。
(空条承太郎!? でも、見た目が……10年前に会った時そのままだッ!)
その横には褐色の肌に額にターバンをまき、赤い服を纏った男がいた。
(モハメド・アヴドゥル? でも、アイツは、10年前に……)

──「こ……こいつジュースまでッ! い……いつの間にッ!」
ボインゴは、いやボインゴはしゃべったつもりはないのにしゃべっていた。
(この声は、ダービー? 兄の方だ……だいぶ動揺しているけど……今ボクは、ダービーの中にいる? 10年前に承太郎たちと戦っているところに?)

──「『レイズ』するのは、おれの母親の『魂』だ」
タバコを咥えた10年前の承太郎がテーブルに手をついて立ち上がった。
──「……だがダービー……おまえにもお袋の魂に見合ったものを賭けてもらうぜ」
──「てめーにDIOのスタンドの秘密をしゃべってもらう……」

ボインゴは、いや10年前のダービー兄は、後ろにのけぞって椅子から転げ落ちた。
滝のようにダラダラと流れ落ち、ガタガタと体が震える。

ボインゴは10年前DIOのスタンドの秘密は知らなかった。
が、ダービー兄弟は知っていたらしい。
スタンド能力の秘密。それはスタンド使いにとっては一番重要で、誰にも隠しておかなければならない。DIOのスタンド能力を敵を漏らせば仮に戦いの後生き残ったとしても、確実に命はない。
ダービー兄は敗北や承太郎を恐れているのではなく、負けた時のDIOの報復を恐れているのだ。

恐怖に震えるダービー兄、いやボインゴに、目の前の承太郎は凄んで畳み掛ける。
──「さあ! 賭けるか!賭けないのか! ハッキリ言葉に出して言ってもらおうッ!
──「ダービー!」

身体中がガクガクと震える。
ダービーの感覚が伝わっているからなのか、ボインゴも目の前の承太郎が恐ろしくて震えているのか、もはやわからない。
息が浅く過呼吸になっていく。
──「う……う……コ…………」

意識が遠のき、
ボインゴは気を失って倒れた。


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