予定納税とは?納付期限・減額申請・資金繰りへの影響を個人事業主向けにまとめて解説
6月のある日、税務署から「予定納税額の通知書」が届く。開いてみると、思っていなかったタイミングで数十万円の納付を求められている――。個人事業主やフリーランスとして事業をされている方なら、一度はこうした経験をお持ちかもしれません。
「確定申告は3月に済ませたのに、なぜ今また税金を払うのか」「今年は去年ほど利益が出ていないのに、この金額を払わなければいけないのか」。この時期、私たちのもとにも予定納税に関するご相談が多く寄せられます。
結論からお伝えすると、予定納税は「追加の税金」ではなく所得税の前払いです。そして、今年の利益が前年より減りそうな場合には、納付額を減らす「減額申請」という手続きが用意されています。ただし、第1期分の減額申請の期限は7月15日。この記事の公開時点では、期限まであとわずかです。
この記事では、予定納税の仕組み、2026年(令和8年)の期限、減額申請の使いどころ、そして資金繰りへの影響までを整理してお伝えします。
予定納税とは――所得税の「前払い」制度
予定納税とは、前年分の所得税の金額をもとに、その年の所得税の一部をあらかじめ納付する制度です。
具体的には、前年分の申告納税額などをもとに計算した「予定納税基準額」が15万円以上になる方が対象です。対象になると、税務署から6月中旬ごろに「予定納税額の通知書」が送られてきます(e-Taxを利用している方には電子データで通知される場合があります)。
納付は年2回に分かれます。
第1期分:7月1日〜7月31日(予定納税基準額の3分の1)
第2期分:11月1日〜11月30日(予定納税基準額の3分の1)
2026年(令和8年)分の第1期の納期限は、2026年7月31日(金)です。
残りの3分の1に相当する部分は、翌年の確定申告のときに精算します。予定納税で納めた金額は確定申告時の税額から差し引かれ、納めすぎていた場合には還付されます。つまり、トータルで見れば「損をする」制度ではありません。ただし、手元資金が先に出ていくという点で、資金繰りには確実に影響します。
なお、予定納税は個人の所得税の制度です。法人の場合はこれに似た仕組みとして法人税の「中間申告・中間納付」がありますが、期限や計算方法が異なりますので、本記事では個人の予定納税に絞ってお話しします。

「今年は利益が減りそう」なら減額申請を検討する
予定納税の金額は、あくまで前年の実績をもとに機械的に計算されたものです。前年に大きな利益が出た方ほど、予定納税額も大きくなります。
しかし、事業の状況は毎年同じではありません。「大口の取引先との契約が終了した」「原価や人件費が上がって利益が圧迫されている」「体調を崩して稼働を減らしている」――こうした事情で今年の見込み利益が前年を下回りそうな場合、前年基準の予定納税をそのまま納めるのは資金繰り上つらいものがあります。
そこで用意されているのが「予定納税額の減額申請」です。
その年の6月30日時点の状況で見積もった「申告納税見積額」が、通知された「予定納税基準額」よりも少なくなると見込まれる場合に、税務署へ減額申請書を提出できます。承認されれば、見積額をもとにした金額まで予定納税額が減額されます。
減額申請が認められる主なケースとしては、次のようなものが挙げられます。
廃業・休業・失業をした場合
業況不振などにより、今年の所得が前年より明らかに少なくなると見込まれる場合
災害・盗難・横領による損害を受けた場合
多額の医療費の支出、扶養家族の増加など、所得控除が大きく増える見込みの場合
ここで重要なのが期限です。
第1期分・第2期分の減額申請:7月15日まで(2026年は7月15日・水曜日)
第2期分のみの減額申請:11月15日まで(10月31日時点の状況で見積り)
手続きとしては、「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」に、今年の所得や税額の見積りとその計算根拠を記載し、所轄の税務署に書面またはe-Taxで提出します。見積りの根拠となる資料(帳簿や売上の状況が分かるものなど)をもとに記載する必要があるため、日々の記帳がきちんとできているかどうかが、ここでも効いてきます。
なお、減額申請はあくまで「見積り」にもとづく手続きです。実際の年間所得が見積りを上回れば、翌年の確定申告で差額を納めることになります。「とにかく低く見積もっておけばよい」というものではなく、合理的な根拠にもとづいた見積りが求められる点にはご注意ください。
減額申請をしない場合の選択肢と、納付しない場合のリスク
「利益は前年並みかそれ以上に出そうだ」という場合は、減額申請の対象にはなりませんので、期限までに納付することになります。
納付方法は複数用意されています。振替納税(口座引き落とし)、e-Taxによるダイレクト納付やインターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(QRコード)、金融機関・税務署の窓口での納付などです。振替納税を利用している方は引き落とし日に残高が不足しないよう、事前に口座残高の確認をおすすめします(2026年分の振替日は国税庁の公表情報をご確認ください。未確認(要・最新情報の確認))。
注意したいのは、納期限までに納付しなかった場合、延滞税がかかる可能性があることです。延滞税の割合は年によって見直されるため、最新の割合は国税庁のウェブサイトでご確認ください。「どうせ確定申告で精算されるから」と放置してよいものではなく、期限内の対応が原則です。
資金繰りが厳しく一括での納付が難しい場合には、税務署に相談することで納税の猶予等の制度が使える場合もあります。放置せず、早めに動くことが大切です。
予定納税を「資金繰りイベント」として年間計画に組み込む
予定納税で経営者の方がつまずきやすいのは、税額の計算そのものよりも、「忘れたころにやってくる」という点です。
3月の確定申告、7月の予定納税第1期、11月の第2期。個人事業主の方であれば、これに消費税の中間納付や住民税・事業税の納付も加わってきます。それぞれの金額とタイミングをあらかじめ年間の資金繰り表に落とし込んでおけば、通知書が届いてから慌てる必要はなくなります。
また、「今年は利益が減りそうだ」という判断は、6月30日時点の損益がタイムリーに把握できていて初めて可能になります。試算表が数ヶ月遅れでしか出てこない状態では、減額申請の期限である7月15日までに合理的な見積りを立てることは困難です。月次の数字が早く正確に締まる体制づくりは、こうした場面で効いてきます。
判断に迷ったら、早めに専門家へ
予定納税そのものはシンプルな制度ですが、「減額申請をすべきかどうか」「見積額をいくらにするか」「納税資金をどう確保するか」といった判断は、事業の状況全体を見ながら行う必要があります。顧問税理士がいる方は、通知書が届いた時点で一度相談されることをおすすめします。
「顧問税理士がいない」「今の税理士には相談しづらい」という方は、税理士の紹介サービスを利用するのも一つの方法です。ビズプラでは、相場より抑えた料金で、提案力のある税理士を無料でご紹介しています。予定納税や納税資金の相談はもちろん、月次の数字を早く把握できる体制づくりまで、事業の状況に合わせてお手伝いできる税理士をお探しします。
▶ 無料で税理士を紹介してもらう:https://www.bizplatform.co.jp/bp_lp001/
※本記事は2026年7月時点の一般的な情報にもとづいています。税率・期限・手続きの詳細は変更される場合がありますので、最新の情報は国税庁など各機関の公式情報をご確認ください。個別の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。


