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社長の操縦席 「二つのエンジン」

操縦席に座る社長の目の前には、様々な計器が広がっています。
前回お話しした航空機関士の仕事はデジタル化され、今ではその機能がすべて計器の中に埋め込まれています。さらに現代の航空機にはオートパイロット(自動操縦)機能が搭載されていて、目的地まで機体を誘導してくれます。AIが中小企業の経営を支える存在になりつつある今、経営の世界でも同じことが起きようとしています。
計器の話は次回以降に譲るとして、今回はまず、操縦席から窓の外に見える「二つのエンジン」の話をしましょう。



飛行機を飛ばす二つの力

当然のことながら、左右のエンジンなしに飛行機は空へ舞い上がれません。
私は中小企業の推進力を、この左右のエンジンに見立てています。

  • 左エンジン=商品力

  • 右エンジン=人間力

商品力とは、その会社のウリとなる商品・製品・技術やサービスのことです。人間力とは、社長をはじめとする社員さん一人ひとりの力です。

元々、中小企業に大きな資本力はありません。会社を前へ進める推進力は、この二つに尽きると私は考えています。

そして、飛行機と同じように、どちらかのエンジンに問題が起きても、もう一方がカバーしながら飛び続けられる。商品力が磨かれれば人間力も高まり、人間力が上がれば商品力も伸びていく。この二つは互いに支え合い、高め合いながら推進力を増していくものです。


でこぼこ滑走路のおんぼろ飛行機

少し想像してみてください。

でこぼこ滑走路に駐機している、まだ飛んだことのないおんぼろ飛行機を。

商品力も人間力も、まだ発展途上です。助走を始めると、滑走路には穴ぼこがあちこちに潜んでいる。一つひとつに気を取られていては、車輪がはまってこけてしまう。 だから社長は大空を見上げて操縦桿を握り、思い切り引いていく。そして飛行機はふわりと大空へ舞い上がっていく。

中小企業のスタートアップとは、こんな感じだと私は思っています。


空に上がっても、試練は続く

ひとたび空へ飛び立っても、困難がなくなるわけではありません。

前方には積乱雲が立ちはだかり、稲光が走ることもある。高い山脈が行く手を遮り、大きく迂回しなければならないこともある。

私自身、安定を失って失速していく飛行機の立て直しを、幾度となく経験してきました。錐もみ状態で墜落していく飛行機の操縦席で、社長と一緒に必死に格闘したこともあります。

燃料が尽きかけた機体は、滑空しながら着陸できる場所を探すしかありません。機体をオーバーホール(大規模修繕)しながら、なんとか再び飛び立つための燃料も確保しなければならない。そんな修羅場を、社長と共に乗り越えてきました。

再び大空へ飛び立てた飛行機もあります。残念ながら墜落してしまった飛行機も、二度と飛び上がれなかった飛行機もあります。

順調な飛行だけを続けられないのが、中小企業経営の現実です。だからこそ社長は、計器をにらみ、左右のエンジンの状態を確かめながら、どんな局面でもしっかり前を向いて操縦し続けなければならないのです。


これから書いていくこと

次回からは、操縦席に並ぶ「計器」と操縦席に座るための知識等の話に入っていきます。

社長が毎日見るべき数字とは何か。判断を支える情報をどう整理するか。そして、操縦席に座るために身につけておきたい知識や考え方とは何か。

私がこれまでお客様と共に歩んできた経験をもとに、一つずつお伝えしていきます。

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