(思考整理)「成長し続ける地下アイドル」だけが正解なのだろうか
先日、「地下アイドルは“成長している実感”で応援されているのかもしれない」というnoteを書いたのだが、今日のFC限定ライブでちょっとそれだけじゃないなと思ったのでその自己反駁的なテーマ。
前回は、大型フェスやサーキットに出たり、少しずつワンマン会場を大きくする。そういった“成長のナラティブ”が、ヲタクの熱量維持に繋がっているのではないか、という内容だった。
実際、自分自身もそういう感覚は無くなってはなくて、「このグループはどこに向かっているのか」「次はどんな凄い景色を見せてくれるのか」等の“前進・成長している感覚”に、ヲタクは感情移入していると思っている。
ただ、今日のFC限定ライブを観て気づいた点があったので整理してみたい。
①「成長」だけではない「更新」と「深耕」
テーマとしたグループは、3年後武道館という目標を掲げている。ただ一方で、ライブの活動スタイル自体はかなりホーム中心、というのは前回の通り。
自社箱、ほぼ同じ曜日と時間での定期公演、安定した客層。
武道館を目標としつつも対バンや大型サーキットへの出演がほぼ無い。そこに少し引っかかりを感じていた。
しかしながら、今日感じたのは、このグループは、“成長”だけではなく、“更新”と“深耕”を重視しているのかもしれない、と思った。
これは、長く(5年以上)続いてるグループ全般にも、もしかしたら言えるかもしれない。
②「新規獲得」以上に「深く、長く残るファン」を重視している?
前回のnoteでは、対バンや大型イベント出演による「成長の可視化」が地下アイドルには重要なのではないか、と書いた。
ただ今回のライブを観て、それだけが正解でもない気がした。
自分の仕事である個人顧客向け営業の目線で考えると、売上を上げるには「新規顧客を獲得すること」「既存顧客にリピーターになってもらう」のどちらかが基本。
後者については、ビジネス用語で言えば、LTV(顧客生涯価値)や、カスタマージャーニーを重視することに近いと思う。
つまり、多くの人に一回だけ来てもらうより、好きになった人にたくさん長く通ってもらう。
ファンクラブ施策やホーム中心のライブ文化って、まさにその方向性だなと。
自社箱でのライブ本数を増やす、イベントで限定感を作る、コミュニティを強化する。そうやって「深く好きになってもらう」ことを重視しているように見える。
④ホーム中心の現場、実はアイドル側の労働環境が良いのでは?
アイドル側の労働環境を考えた時、対バン文化や拡大型の運営って、アイドル側の負荷もかなり大きいのではと思う。
移動や長時間拘束、慣れない楽屋、アウェー環境、等。
一方、ホーム中心なら、客層もある程度固定され、極端に変なファンも入りづらい。楽屋も毎回同じ。
それはアイドルもかなり安心して活動しやすいのでは無いだろうか。
⑤アイドルは成長・拡大を目指す。ただそれは「持続可能」なのだろうか?
現在の地下アイドルシーンは、超レッドオーシャン。新しいグループが日々たくさん生まれては消えていく。
だからこそ「長く続けられること」自体にはとても大きな価値があると思う。
毎週安心して通える、メンバーが無理なく活動できる、現場の空気が安定している。
成長を求めたが故にどこかで限界点を迎えて破綻するのではなく、爆発的な拡大はしないかもしれないが破綻もしない。
それはある意味、持続可能なアイドルの一つの形なのかも。
⑥入れ替わる存在である「ヲタク」を受け入れる場所
一方で、ヲタクはずっと高い熱量を維持できるわけではない。生活環境も変わるし、使える時間やお金も変わる。趣味嗜好も変わる。飽きることもあるだろう。
その点で見れば、緩やかにヲタクが入れ替わっていくと考える方が自然であり、その中で「今いるヲタクの満足度を深くする」「戻ってきたくなった時に安心して帰って来られる場所を作る」という方向性は、アイドルが長く続くための方法論なのかもしれない。
⑦それでも、武道館という夢は残る
ただ、やはり少し気になるのは、そのグループが「3年後に武道館」という目標を掲げていることだ。
ホーム型の持続可能な運営と、巨大な拡大目標。この二つは、やや矛盾して見える。
ただ、その矛盾を抱えながらバランスを取ることが地下アイドル運営のリアルなのかもしれない。あくまでも想像。
無理に拡大しすぎれば壊れるし、閉じすぎれば停滞してしまう。
その間で、“更新”を続けながら、少しずつ成長しようとしている。
「持続している地下アイドル」って、そういう絶妙なバランスの上で成り立ってるのかもしれない。
ヲタクはアイドルが少しでも長く存在し、少しずつでもその成長に長い間伴走しつづけられれば、それだけでも幸せではないだろうか。
