見出し画像

プロンプトと“転写”——AIに“自分の思考”を写し込む方法(生成AIプロンプトの教科書17)

 生成AIは、誰にでも使える。だからこそ、出てくる答えも、どこか“誰のものでもない”文章になりがちだ。
 その文章、どこかで読んだことがある気がする。誰が言っても成立しそうな語り。

 でも、本当に価値があるのは、「その人にしか言えない言葉」ではないか?

 プロンプトというのは、「問いを投げる技術」であると同時に、「自分の視点をAIに“転写”する技術」でもある。
 つまり、AIに“あなたの視点”を持たせることができれば、出力される文章は、まるで“もうひとりの自分”が書いたようなものになっていく。

第一ステップ:「思考パターン」の転写
 まずは、自分の考え方のクセをAIに教えてしまう。

私はよく、「物事の裏にある構造」を見てから話す癖があります。表面的な説明より、「なぜそうなるのか」「それを他に応用するとどうなるか」を考えたがるタイプです。この視点をベースに、以下のテーマについて文章を組み立ててください。

——このように“考え方の傾向”を明示すると、AIはそれをベースに文を再構成するようになる。つまり、AIが“自分っぽく”語りはじめる。

第二ステップ:「文体」の転写
次に、自分の語り口調や言葉の選び方を写し込む。

以下は私の過去の文章です。(※ここに自作の一部を貼る)
この文体やテンポを模倣して、次のテーマについて文章を書いてください。読者は30代のビジネスパーソンを想定しています。

——これだけで、AIは文章のリズム・言い回し・比喩の傾向まで真似てくる。これはまさに、AIがあなたの“口調”で喋るということ。

第三ステップ:「価値観」の転写
そして最後に、自分の「ものの見方」をAIにインストールする。

私は、「効率よりも意図」「成果よりも意味」を重視する考え方をしています。物事を判断する際も、「それが人間的であるか」を基準にすることが多いです。この価値観をベースに、次の問いに答えてください。

——AIはこの段階になると、単に知識を返すのではなく、“あなたが言いそうなこと”を考え始める。つまり、思考が“似てくる”のだ。

 この一連の工程が、「プロンプトによる自己転写(self imprinting)」の基本である。
 これは単なる個性の模倣ではない。AIに“自分の脳のレンズ”をかけさせる行為なのだ。

さらに、これを応用すれば、「自分×他人」のハイブリッド人格を作ることもできる。

プロンプト例:

私の語り口(やや砕けた口調、比喩多め)をベースに、橘玲さんのような論理構成(事実→構造→仮説→皮肉)をミックスしてください。そのうえで「AIと人間の未来」についてエッセイを書いてください。

——こうして、“自分では書けないが、自分らしい”文章が出力される。これはもう、AIによる“自己拡張”だ。

 人間は「アウトプット」でしか、自分の思考を確認できない。
 ならば、AIに“自分の思考”を転写し、外に出して見てみることで、気づかなかった癖や、可能性に出会える。

 プロンプトとは、情報を引き出す道具ではない。“自分という器”をAIに移植するための言語インターフェースでもある。
 あなたがその気になれば、AIは“あなた以上にあなたらしい存在”になれるかもしれない。

 次回は、「プロンプトと“誤解”——意図がズレたとき、どう修正し、深めていくか?」へ。
 AIとの対話はときに噛み合わない。でも、それは終わりではなく始まりだ。“ズレ”から始まる深い問いの作法、見ていきましょう。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集