「客観的に見る」とはどういうことか?~あなたの知らない無意識バイアス
私たちは「自分のことは自分が一番よく知っている」と思い込んでいる。しかし、実際には人間の脳は無意識のうちに様々な思い込みやバイアスを生み出し、それらが私たちの自己認識を大きく歪めているのだ。前回はとくに女性に焦点を当てて、「自分を正しく知る」ことの大切さに触れたが、ここでもう少し突っ込んで考えてみたい。
「客観的に見る」とは何を意味するのだろうか。
たとえば、職場で仕事がうまくいかないとき、多くの人は「上司が厳しすぎる」「同僚が非協力的だ」と周囲の要因に原因を求めがちだ。しかし、本当にそれだけが理由なのか、データをもとに検証することが必要だ。
自分の作業スピードはどうか、提出物は期限通りか、コミュニケーションに問題はないか。ここで大切なのは、感情ではなく数字や証拠を基に判断するという姿勢だ。
他方で、個人の内面にも目を向けたい。
人間は「自分は正しい」と思いたい生き物だ。この傾向が強まると、「自分は間違っていない。問題は周囲だ」というバイアスに陥りがちで、これを心理学では「自己防衛機制」と呼ぶこともある。女性であれば、周囲の視線や評価を気にしやすく、なおさら「自分のせいではない」という心理が働きやすいだろう。しかし、そのままでは成長のチャンスを見逃してしまう。
一方で、「過小評価バイアス」に陥るケースもある。
たとえば、「私には魅力なんてない」「どんなに頑張っても報われない」と思い込んでいると、やがてその思い込みが自己実現的な予言となり、実力や魅力を発揮する前に可能性を自ら閉ざしてしまう恐れがある。いわば、気づかないうちに自分を縛っている「見えない鎖」のようなものだ。だからこそ、まずは自分の長所や実績を正しく確認し、「自分の努力を客観的に評価できる目」を育てることが重要になる。
「客観的に見る」とは、他人の目になりきること、あるいは数字やデータを活用することにほかならない。
自分の主観的な感情や偏見は、ときに私たちの判断を曇らせる。その先にあるのが、これまでに紹介してきた「ダニング=クルーガー効果」や「確証バイアス」「自信過剰」というワナだ。自分を正しく認識するには、それらの罠に落ちていないかを点検し、むしろ積極的に周囲の声やデータに耳を傾ける姿勢が欠かせない。
「客観的に見る」とは、自分にとって都合の悪い情報もしっかり取り込み、検証することだ。そして自分の成果や能力を過小評価していないか、あるいは過大評価していないかを、絶えずチェックする癖をつける。それができれば、心理学の罠に振り回されず、より自由で豊かな生き方が可能になるはずだ。
