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なめられない女性ための自分"軸"磨き

 前回のコラムでは、“しなやかな強さ”を身につけるために何が必要かを大まかに見渡しました。今回は、その核心ともいえる「自分軸」の磨き方について考えていきたいと思います。
 外部からの評価や一時的なムードに振り回されず、自分らしく活躍する女性は、どのようにしてその軸を育んでいるのでしょうか。

 まず強調したいのは、どれほど時代が変化しても、私たちを取り巻く社会には常に“他人の視線”が存在するという事実です。SNSの発達によって、この“視線”は以前にも増して鋭敏になり、しかも拡張性を帯びています。誰かがある瞬間に放ったコメントが大量の「いいね」を獲得してバズる一方、少しでも異質だと思われると否定的な言葉があっという間に拡散されてしまう。こうした状況の中で、「他人からどう見られているか」を過剰に気にしてしまう女性は少なくありません。

 しかし、ここで押さえておきたいのが、心理学における「内在的コントロール感(Locus of Control)」の概念です。これは、自分が置かれた状況や未来をコントロールできるかどうかについての感覚を示すもので、内在型の人は「結果は自分の行動や選択によって変えられる」と考え、外在型の人は「世の中の出来事は運や他人の都合で決まる」と捉えがちだと言われます。しなやかに生きる女性の多くは、内在的コントロール感が比較的高い傾向にあります。

 たとえば、仕事でミスをして上司から叱責された際、「運が悪かった」「周囲のサポートが足りないせいだ」と考える人と、「今回は自分が事前にもっとチェックすれば結果が変わったかもしれない」と捉える人とでは、次の行動がまるで違います。前者は自分にはどうしようもないと思い込み、モチベーションを失いやすい。
 一方、後者は次回に向けた改善策を自発的に探ろうとするため、結果的に成長速度が上がり、“なめられない”存在感を身につけることへとつながるのです。

 では、どうすれば内在的コントロール感を高められるのでしょう。

 多くのバズる記事が取り上げる手法として、「自己対話を増やす」方法があります。1日の終わりに、ノートやアプリに向かって「今日の出来事」「それに対して自分がした行動」「本来取り得た選択肢」などを書き出してみるのです。言語化することで、自分の意志が介在できる場面が意外に多かったことに気づきやすくなります
「あのとき、別の言い方をすればもっと相手は納得したかも」
「意外と自分の意見を通せる余地があったかも」
といった発見が、自分軸を形成するうえで大切な材料になる。

 同時に大事なのは、「逃げてもいい場面」と「戦うべき場面」をきちんと見極めることです。ときには合わない環境から距離を置く決断が得策なこともあるでしょう。すべてを正面から受け止め、つねに完璧にこなさなければならないと思い込むと、自分を追い込みすぎてしまう。
 ここでも“しなやかさ”の考え方が生きてきます。「どうしても合わない職場なら転職を考えてもいい」「他人からの批判のすべてを真正面で受け止める必要はない」と自分に許可を与えることで、視野が広がり、選択肢が増えていくのです。

 女性が“なめられない”ためには、「自分の強み」を把握することも欠かせません。これは決して“才能”ばかりを意味するのではなく、自分が得意な分野や好きなこと、人より少しだけ上手にできる作業などを洗い出す作業です。心理学では「ストレングス探究」という呼び方をすることもあり、ポジティブ心理学(※1)の分野では、自分の強みを認識し、それを活かすことで幸福感や達成感が高まるとされています。
 いまの時代、SNSでその強みを発信し、共感や応援を得ることが比較的容易になっています。自分の強みが周囲に伝われば、軽視されるどころか「頼れる存在」として位置づけられる可能性が高くなります

 ただし、強みをアピールする際には「鼻にかける」ような態度は逆効果です。人間は、自慢話に対して本能的にアレルギー反応を起こしやすい生き物です。そこで意識したいのが、謙虚さと具体性。
 たとえば、「私、コミュニケーション能力が高いんです!」と言うよりも、「私、これまでSNSの運用を担当してきたんですが、フォロワーが1年で3倍に増えました」と具体的な実績と取り組み内容を淡々と示す方が、よほど説得力があります。そうすれば自然に「この人はできる」と周囲に伝わり、“なめられない”地位を確立しやすくなるでしょう。

 なめられない存在感を築くには、自己表現の方法も大きなカギを握ります。たとえば、新たに学んだスキルや資格を軽くSNSに投稿してみるとか、興味を持ったテーマで小さなオンライン勉強会を開いてみるなど、積極的なアウトプットが思わぬ反響を生むことがあります。特にオンライン上では、多様な価値観の人々がいるので、自分が「これくらい普通」と思うことでも「まさに探していた情報だ!」と喜ぶ人が現れるのは珍しくない。こうした成功体験は、あなたの内在的コントロール感をさらに底上げしてくれるはずです。

 また、今回も境界線(バウンダリー)の話に触れますが、これは第1回とも密接に絡む話題でありながら、より深く考えていくべきテーマだと思います。
 自分を大切に扱う人間関係を築くには、時に「ノー」を言う勇気が不可欠です。たとえば、同僚から「急ぎの仕事だけどやっておいて」と丸投げされそうになったとき、どんなに忙しくても引き受けてしまいがちな女性は多いでしょう。しかし、それが自分の負担を超えていたり、不条理な要求だったりするなら、毅然と断る選択をしたほうがいい。それによって一時的に嫌な顔をされても、結局のところ、あなたが“なめられない”存在へと成長するための大切なステップになるはずです。

 ここで最後に強調したいのは、「自分の成長を楽しむ」姿勢です。“なめられない女性”を目指すプロセスは、他人からの評価だけを気にするものではなく、自分自身がどこまでできるかを試すワクワク感でもあると捉えてみてください。
 新しいプロジェクトへの挑戦や、社外セミナーへの参加、あるいは副業や趣味の延長線上での活動など、興味を持ったことに積極的に飛び込むことで、自己効力感がさらに高まり、自分軸はますます強固になっていくのです。

 この連載第2回では、「自分軸を磨く」ことが“なめられない”生き方の土台になるというお話をしました。
 内在的コントロール感を持ち、好きなことを強みに変え、必要以上に他人の視線に惑わされない。そんな生き方は、情報が氾濫する今の時代だからこそ、一層輝きを放つのではないでしょうか。

 次回は、実践的なコミュニケーション術や周囲との関係づくりをさらに深掘りし、あなたが社会の中で堂々と羽ばたくためのヒントを探っていきたいと思います。どうぞ楽しみにしていてください。


※1 ポジティブ心理学
1998年心理学者マーティン・セリグマン教授(ペンシルベニア大学)がアメリカ心理学会の会長就任演説で提唱。「PERMA」という理論を提唱しており、これはPositive Emotion(ポジティブ感情)、Engagement(エンゲージメント)、Relationships(関係性)、Meaning(意味・意義)、Achievement(達成)の頭文字をとったもの。

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