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『SNS疲れ』が少し軽くなる瞬間

 気づけば、毎日のようにスマホを開いてはSNSを眺めている。
 朝の電車の中、仕事の合間、夜眠る前のベッドの中。
 そこには誰かの笑顔、旅行先の風景、美しく彩られた食卓が並んでいる。スクロールする指先は止まらず、気づけば30分、1時間が溶けてしまう。
 画面を閉じたあと、胸の奥に残るのは不思議な疲労感だ。

 「どうして私はこんなに疲れてしまうのだろう」
 ――そう感じたことはないだろうか。

 SNSは一見、つながりを広げるための道具に見える。
 だが同時に、絶え間ない比較を強いる仕組みでもある。
 友人の昇進報告、同僚の華やかな結婚式、知らない誰かの充実したライフスタイル。それらを見続けるうちに、気づかぬうちに「自分は足りない」と思い込んでしまう。

 疲労の正体は、この無意識の比較なのだ。

 しかし、SNSから完全に離れるのは難しい。
 仕事で必要なこともあるし、友人の近況を知るのも楽しい。だから大切なのは、上手に距離を取ることだろう。

 たとえば、見終わったあとに「心が軽くなる人」だけをフォローリストに残す。逆に、見るたびに焦燥感をかき立てられる投稿は思い切って手放す。

 SNSの中にも選択の余地はある。
 まるで、冷蔵庫の中に甘いお菓子と新鮮な野菜が並んでいるようなものだ。どちらを口にするかで、心の栄養状態は大きく変わる。

 また、SNSで流れてくる情報を「舞台」と捉える視点も有効だ。
 舞台の上でライトを浴びているのは、その人の人生のほんの一部にすぎない。舞台袖や楽屋には、疲れた顔や散らかった日常が隠れている。私たちは舞台だけを見て、自分の裏側と比べてしまうから疲れるのだ。

 舞台裏があることを想像すれば、心の重さは少し和らぐだろう。

 そして、もうひとつの方法は「発信する側」に回ってみることだ。
 見るだけでは比較に引きずられやすいが、自分が小さな体験を言葉にしてシェアすると、SNSは承認を奪う場所から、思いを分かち合う場所へと変わる。疲れを正直に吐き出してもいいし、誰かの役に立ちそうな学びを書いてみてもいい。
 そのやりとりが、画面越しの孤独を少しずつ溶かしていく。

 SNSに疲れた心が軽くなる瞬間は、意外にも「自分の選び方」を意識したときに訪れる。
 誰をフォローするか、どんな気持ちで眺めるか、どのように発信するか。
 その主体性を取り戻した瞬間、SNSは敵ではなく味方に変わる。

 本当の幸せは、数字では測れない。

 フォロワーの数や「いいね」の数に一喜一憂するのではなく、画面を閉じたあとに自分の心がどれだけ軽くなっているか。
 それこそが、SNSと付き合ううえでの本当の尺度なのかもしれない。


前回の #数字では測れないシリーズ は…

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