テンペラで描かれる静寂【アンドリュー・ワイエス展】を明るーい友達と見た日。
久しぶりに友達と美術展へ。毎度楽しみを倍増してくれるから一緒に行ける日が待ち遠しかった。


展覧会名
東京都美術館開館100周年記念
アンドリュー・ワイエス展
会場
東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
会期
2026年4月28日(火)~7月5日(日)
開室時間
9:30―17:30
休室日
月曜日
6月29日(月)は開室

アンドリュー・ワイエスは1917年、アメリカのペンシルヴェニア州に生まれる。私はこの州に3年間住んだことがある。特徴は、ドイツ系移民が多いこと。その影響は肌で感じた。「真面目」「プライド」「静けさ」こんな言葉が浮かぶ。

冬は川も氷るような寒さの地域。アメリカ東部らしい、4つに分かれた枠の小さな窓。
幼少期に病弱だった彼は、自分のペースで生きることを強いられ、孤独と創造の世界で生きてきた。
父の突然の事故死を経験し、「死」を意識しながら、創作活動を静かにつづけた。
「人間として大切にするもの」。人、自然への愛。生産性、目立つことは脇に置いて、家族、妻、友人を愛した。

近所でみた氷。ワイエスの日常は芸術であふれていた。ところで、ワイエスの絵は水彩画。一見、油絵のような立体感がある。その技術は、テンペラ。古代からある技法で、顔料を卵黄などで練って使う。卵黄テンペラは乾きが早く、薄い層を重ねながら絵を完成させる。

白い椅子に光が当たっている。画面に奥行きがある。観察を重ね、でもテンペラは早く乾くからその一瞬を記憶に留める。毎日のように絵を描き続けたワイエスの技。
ちなみに、「不在を強調するように、誰も座っていない椅子に強く光が当たっている」ということらしい。

白の画家、ワイエスがコントラストに使うのが茶系の色。白は際立つが素朴で柔らかい。暗い印象の茶系ばかりの中に白が「キリッ」と個性を魅せる。
特別なことは起きない。ワイエスの周りには人の生活、自然の流れがある。足の不自由な気丈な女性。風になびく髪、ドアの外の生命力が強そうな木、ドアの中の部屋の穏やかさと暗い影。これらの小道具を使い、日常のワンショットが芸術へ。

ミュージアムショップでポストカードを選ぶとき、友達がニコニコしながら「どうするー。どれにしようかな!」と明るく声を掛けてくれる。一人で鑑賞し終えたら、ちょっと寂しい気持ちになっていたかも。
ここから4時間以上一気におしゃべりして、「またねー」と別れた。
