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無人島転生 第7話         「畑づくりで発覚した現代人の農業知識ゼロ問題」

2か月ほど経った日の朝。
「毎日同じ食べ物、飽きてきたよね」
朝食の準備をしていると、気が合うように同じことを言う。
「最近、果物ばっかり食べてるよね」
「そうですね」
ユミも同意した。
「栄養バランスが心配です。ビタミンは取れてますが、他の栄養素が…」
「魚も取ってるじゃん」
タケシが言った。
「でも、野菜がないな」
「米も食べてない」
「野菜…」
アヤが考え込んだ。
「確かに、野菜不足は深刻な問題ですね」
四人で顔を見合わせた。
「野菜作らない?」
私が提案した。
「畑を作って、野菜を育てるの」
「畑?」
タケシが首をかしげた。
「農業って、俺たちにできるのか?」
「やってみましょう」
ユミが乗り気になった。
「新鮮な野菜が食べられれば、健康面でも安心です」
「でも、農業って難しそう…」
アヤさんが心配そうに言った。
「種はどうするんですか? 肥料は? 水やりは?」
「あー…」
私たちは顔を見合わせた。確かに、農業について何も知らない。
「まあ、なんとかなるかな」
私は楽観的に答えた。

「家は洞窟の方が機能的だったけど、しっかり作れたんだし、畑も大丈夫でしょ」
こうして、四人の農業プロジェクトが始まった。
まず、種の問題から取り組むことにした。
「種って、どこで手に入るの?」
私が素朴な疑問を口にした。
「ホームセンターで買う?」
「ホームセンターないから」
タケシがツッコんだ。
「Amazon?」
「ネットもないから」
「じゃあ、どうするの?」
私たちは困り果てた。現代人の農業知識の貧弱さが、早くも露呈した。
「野生の植物の種を使えばいいんじゃない?」
アヤさんが提案した。
「この島にも、食べられる植物があるでしょうし」
「なるほど」
ユミが頷いた。
「でも、どの植物の種が野菜になるんでしょう?」
「うーん…」

私たちは島を歩き回って、食べられそうな植物を探した。
「これ、キャベツじゃない?」
私が大きな葉っぱの植物を指した。
「どう見ても雑草でしょ」
タケシがツッコんだ。
「でも、葉っぱが丸いし…」
「キャベツはこんな形じゃないよ」
「じゃあ、これはレタス?」
「それも雑草」
「これは?」
「だから雑草だって」

私たちは、野菜と雑草の区別がつかなかった。
「野菜の見分け方、全然わからない…」
「現代人って、こんなに無知だったんだ」
「スーパーで買うのに慣れすぎてた」
結局、それらしい植物の種をいくつか集めることにした。
「とりあえず、これらを植えてみよう」
「何が育つかは、お楽しみ」
次の問題は、畑の場所だった。
「どこに畑を作る?」
「日当たりが良くて、水はけも良い場所」
ユミが専門的なことを言った。
「水はけ?」
「雨が降った時に、水が溜まらない場所です」
「なるほど」

私たちは島中を歩き回って、畑に適した場所を探した。
「ここはどう?」
私が平らな場所を指した。
「日当たりは良いけど、ちょっと低いかな」
「じゃあ、こっちは?」
「今度は日当たりが悪い」
「こっちは?」
「石だらけ」
なかなか良い場所が見つからない。
「完璧な場所って、ないんだね」
「じゃあ、そこそこ良い場所で妥協する?」
結局、聖なる泉の東側の、やや高台になった場所を選んだ。
「ここなら、まあまあかな」
「よし、開墾するぞ」
タケシが意気込んだ。
「開墾って、何するの?」
私が聞いた。
「草を刈って、土を耕して…」
「土を耕すって、どうやって?」
「鍬で…」
「鍬ないよ」
また、道具の問題にぶつかった。
「石で代用する?」
「手で掘る?」
「魔法使えば?」
私が提案した。
「前回の温泉掘削で、土を柔らかくする魔法覚えたし」
「でも、前回は泥になっちゃったじゃない」
「今度はもっと慎重にやるよ」
私は集中して、地面に魔法をかけた。土を少しだけ柔らかくするイメージで…
「どうかな?」
地面を触ってみると、確かに掘りやすくなっている。
「おお、今度はうまくいったじゃん」
「でも、草が…」
地面の草も一緒に柔らかくなって、ぐにゃぐにゃしている。
「これ、どうやって取り除くの?」
「手で引っこ抜く?」
草取りは、想像以上に大変だった。
「根っこが深い…」
「全然抜けない」
「こんなに大変だったんだ」
私たちは汗だくになって草取りを続けた。
「農業って、こんなにしんどいの?」
「農家の人、すごいなあ」
「現代人、弱すぎ…」
2時間かけて、ようやく小さな畑ができた。
「やっと終わった…」
「でも、小さくない?」
畑の大きさは、2メートル×3メートル程度。とても小さい。
「これで野菜足りる?」
「まあ、最初だからこんなもんでしょ」

次は、種まきだった。
「どうやって植えるの?」
「穴を掘って、種を入れて、土をかける?」
「間隔は?」
「深さは?」
また、誰も知らないことばかり。
「適当でいいんじゃない?」
「農業って、案外適当なのかも」
私たちは、なんとなく種を植えた。
「ここに、これを」
「こっちに、これを」
「これは何の種だっけ?」
「わからない。多分野菜」
種まきも、なんとなく終わった。
「次は水やりでしょ」
「どのくらいあげればいいの?」
「たっぷり?」
「でも、あげすぎると腐るかも」
「じゃあ、適量」
「適量ってどのくらい?」
また困った。
「とりあえず、少しずつあげてみよう」
川から水を運んできて、畑にかけた。
「これくらいかな」
「もうちょっと?」
「いや、十分でしょ」
水やりも、なんとなく終わった。
「これで畑の完成?」
「簡単じゃん」
「農業って、こんなに楽だったんだ」
私たちは、すっかり農業をなめていた。

翌日、畑の様子を見に行った。
「どうかな?」
「芽、出てる?」
畑を覗いてみると…
「何も出てない」
「まだ一日だからじゃない?」
「そうかも」
三日後、また見に行った。
「今度はどう?」
「…何も出てない」
「おかしいな」
一週間後…
「まだ何も出てない」
「種、腐ったのかな?」
「水やりすぎた?」
「それとも足りなかった?」
私たちは困惑した。
「農業って、こんなに難しいの?」
その時、畑の隅に小さな芽を発見した。
「あ、芽が出てる」
「本当?」
「やった! 農業成功」
私たちは喜んだ。でも、よく見ると…
「これ、雑草じゃない?」
「え?」
「どう見ても雑草」
「野菜の芽じゃないの?」
「野菜と雑草の区別、つかない…」

結局、私たちが植えた種は何も芽を出さず、雑草だけが元気に育った。
「完全に失敗…」
「野菜の種じゃなかったのかも」
「最初から雑草の種だった?」
「農業、甘く見すぎてた」
畑作り第二弾を開始することになった。
「今度は、もっと慎重にやろう」
「種から見直し」
今度は、果物の種を使うことにした。
「リンゴの種とか、確実に食べ物になるでしょ」
「なるほど、それは良いアイデア」

果物を食べた後の種を集めた。
「リンゴの種」
「オレンジの種」
「何かわからない果物の種」
今度こそ、確実に食べ物になる種だった。
「でも、果物の木って、大きくなるんじゃない?」
タケシが疑問を呈した。
「畑に植えても大丈夫?」
「うーん…」
私たちは考え込んだ。
「果樹園を作る?」
「でも、実がなるまで何年かかるの?」
「リンゴの木って、3年? 5年?」
「そんなに待てない」
また困った。
「もっと早く育つ野菜はないの?」
「ラディッシュとか、早いって聞いたことある」
「ラディッシュって何?」
「大根の仲間?」
「この島にある?」

また島中を探索することになった。
「ラディッシュっぽい植物、ない?」
「これは?」
「どう見ても草」
「これは?」
「石」
「これは?」
「アリ」
全然見つからない。
「諦めて、果物の種にする?」
「でも、すぐには食べられない」
「じゃあ、どうする?」
その時、ユミが提案した。
「野草を育ててみませんか?」
「野草?」
「食べられる野草を、畑で栽培するんです」
「それって野菜?」
「野菜の定義って、よくわからないけど、食べられれば同じでしょ」
「なるほど」

私たちは、食べられる野草を探すことにした。
「これ、美味しそう」
「でも、毒があったら危険」
「安全な野草って、どれ?」
「タンポポは食べられるって聞いたことある」
「タンポポ? あの黄色い花の?」
「そう。サラダにできるらしい」
「本当?」
タンポポを探してみると、意外とたくさん見つかった。
「これなら安全そう」
「でも、苦そう…」
実際に食べてみると、確かに苦かった。
「うえー、苦い」
「でも、食べられる」
「これを畑で育てよう」
タンポポの種を集めて、新しい畑に植えた。
「今度はうまくいくかな」
「タンポポなら、雑草だから強いでしょ」
数日後、タンポポの芽が出始めた。
「やった! 芽が出てる」
「今度は成功?」
でも、問題が発生した。
「これ、畑のタンポポ? それとも野生のタンポポ?」
畑の周りにも、野生のタンポポがたくさん生えていた。
「区別つかない…」
「畑のタンポポの方が、立派?」
「よくわからない」

結局、畑のタンポポも野生のタンポポも、同じようなものだった。
「これって、農業と言えるの?」
「野草取りと変わらない…」
「でも、食べられるからいいんじゃない?」
私たちは、タンポポサラダを作ってみた。
「うーん、苦い」
「でも、野菜っぽい」
「ドレッシングがあれば…」
「ドレッシングの作り方、知ってる?」
「オリーブオイルと酢?」
「オリーブオイルないよ」
「酢もない」
「塩だけ?」
塩をかけたタンポポサラダは、想像以上に苦かった。
「まずい…」
「でも、栄養はありそう」
「健康に良さそう」
「我慢して食べる?」
畑作り第三弾では、もっと美味しい野菜に挑戦することにした。
「今度は、魔法を活用してみよう」
私が提案した。
「植物成長促進魔法とか、できるかも」
「面白そうですね」
ユミが乗り気になった。
「でも、魔法って、いつも予想外の結果になるよね」
アヤさんが心配そうに言った。
「今度は慎重にやるよ」
私は集中して、畑に向かって魔法をかけた。植物が早く大きく育つイメージで…
「どうかな?」
最初は何も変化がなかった。でも、数時間後…
「うわあああ!」
畑の植物が異常に成長していた。でも、育ったのは野菜ではなく、雑草だった。
「雑草だけ巨大化してる」
「なんで野菜じゃないの?」
雑草が2メートルを超える高さに成長して、畑がジャングルみたいになった。
「魔法って、狙った通りにいかない…」
「雑草の方が強いのかな」
「これ、どうやって処理する?」
巨大雑草の除去は、非常に大変だった。
「固すぎて切れない」
「根っこも巨大」
「魔法で小さくできない?」

私は逆の魔法を試してみたが、うまくいかなかった。
「魔法って、元に戻すのは難しいのかも」
結局、タケシの強化魔法で作った道具で、少しずつ切り倒した。
「疲れた…」
「農業って、こんなに大変だったんだ」
「現代人には無理なのかも」
でも、諦めるわけにはいかない。
「もう一回、挑戦してみよう」
「今度は、魔法なしで」
「地道にやろう」
畑作り第四弾では、基本に戻ることにした。
「まず、土作りから」
ユミが提案した。
「良い土じゃないと、野菜は育たない」
「良い土って、どんな土?」
「栄養がある土」
「栄養って、どうやって増やすの?」
「肥料」
「肥料って、どうやって作るの?」
「うーん…」
また、誰も知らないことばかり。
「動物の糞?」
「動物いないよ」
「植物の腐ったやつ?」
「コンポスト?」
「コンポストって何?」
現代人の農業知識の無さが、またしても露呈した。
「とりあえず、葉っぱを土に混ぜてみる?」
「それで栄養になるかな?」
「わからないけど、やってみよう」
落ち葉を集めて、土に混ぜた。
「これで良い土?」
「多分」

今度は、確実に食べられる種を植えることにした。
「島で取れた果物の種」
「これなら間違いない」
でも、果物の種は発芽するまで時間がかかった。
「まだ芽が出ない」
「果物って、時間かかるのかも」
「野菜の方が早いって言うけど…」
「野菜の種がない」
また振り出しに戻った。
その時、アヤさんが良いアイデアを思いついた。
「野菜の切れ端を植えてみませんか?」
「切れ端?」
「根っこの部分とか、芽が出るかもしれません」

私たちは、これまで食べたものを思い出した。
「でも、野菜食べてないよね」
「果物ばっかり」
「じゃあ、果物の枝を植えてみる?」
「挿し木?」
「やってみよう」
果物の枝を切って、土に挿した。
「これで育つかな?」
「わからないけど、希望を持とう」
そして、数週間後…
「芽が出てる!」
「本当?」
果物の枝から、小さな芽が出ていた。
「やった! 成功」
「これで果物が取れる?」
「でも、実がなるまで何年かかるの?」
「気長に待とう」

私たちの農業プロジェクトは、まだまだ続く。
野菜不足は解決していないが、少しずつ進歩している。
「農業って、本当に奥が深いんだね」
「現代人って、農業を舐めすぎてた」
「でも、やりがいがある」
「明日も頑張ろう」
手作り農業で、私たちの島生活はさらに充実していく。

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