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無人島転生 第8話         「釣りは魚との知恵比べは人間の完敗」

良く晴れたの朝、私は今までの畑作りを振り返っていた。
「挿し木が成功したのは良いけど、実がなるまで何年かかるんだろう…」
野菜不足は相変わらず解決していない。タンポポサラダは苦すぎて、とても毎日食べる気にはなれない。
「タンパク質も足りないよね」
朝食の準備をしていると、ユミが心配そうな顔をしていた。
「やっぱり、栄養バランスが悪いですね」
「そうだね。果物ばっかりじゃなあ」
タケシも同意した。
「たまには肉とか魚とか食いたいよな」

「魚…」
アヤが呟いた。
「そうだ、海にはたくさん魚がいるじゃないですか」
四人で海を見ると、確かに透明な水の中を色とりどりの魚が泳いでいる。
「あんなにいるのに、取れないんだよな」
「前に素手で捕まえようとして、全然ダメだったもんね」
私は思い出した。魚は思ったより素早くて、手では全く捕まえられなかった。

「釣りをしてみませんか?」
ユミが提案した。
「釣り?」
「釣り竿を作って、餌で魚を釣るんです」
「おお、それは良いアイデアだな」
タケシが乗り気になった。
「釣りなら俺にも覚えがある。子供の頃、親父と一緒に…」
「本当ですか?」
「ああ、任せとけ」
こうして、四人の釣りプロジェクトが始まった。
まず、釣り竿作りから開始した。
「釣り竿って、どうやって作るの?」
私が聞いた。
「竹を使えばいいんじゃない?」
「この島に竹ある?」
「あの細い木は?」
私たちは島を歩き回って、釣り竿に使えそうな材料を探した。
「これどう?」
私がしなやかそうな枝を指した。
「ちょっと太くない?」
「じゃあ、これは?」
「今度は細すぎる」
「これは?」
「曲がってる」
なかなか適当な材料が見つからない。
「釣り竿って、こんなに条件が厳しいの?」
「長さ、太さ、しなやかさ、強度…」
タケシがうんちくを語った。
「俺の知識だと、3メートルくらいで、適度に曲がって…」
「タケシ、詳しいですね」
「子供の頃の記憶だけどな」

結局、それなりに良さそうな枝を見つけた。
「これならどうかな?」
「まあ、こんなもんでしょ」
次は糸の問題だった。
「釣り糸はどうする?」
「糸って、何で作る?」
「植物の繊維?」
「蜘蛛の糸?」
「蜘蛛の糸って、取れるの?」
私たちは困り果てた。現代だったら釣具店で買えばいいが、ここは無人島。
「服の糸をほどく?」
「でも、服がボロボロになっちゃう」
「他に方法は…」
その時、ユミが良いアイデアを思いついた。
「髪の毛を編んで糸にしませんか?」
「髪の毛?」
「髪の毛って意外と強いんです。何本か編めば、釣り糸になるかも」
「なるほど」
私たちは髪の毛を少しずつ集めて、編んで糸を作った。
「これで釣り糸の完成?」
「強度は大丈夫かな?」
「やってみなきゃわからないでしょ」

次は針の問題だった。
「釣り針はどうする?」
「針って、金属じゃないと…」
「この島に金属ある?」
「ないでしょ」
また困った。
「骨を削って針にする?」
「魚の骨しかないけど、魚を釣るのに魚の骨使うって、なんか変」
「石を削る?」
「石の針で魚釣れるかな?」
「とりあえず、やってみよう」
タケシの強化魔法で、石を削って針っぽい形にした。
「これでどうだ」
「針というより、ただの尖った石…」
「でも、他に方法ないし」

最後は餌の問題だった。
「餌は何にする?」
「ミミズ?」
「この島にミミズいる?」
「虫?」
「虫、取れる?」
私たちは虫探しを始めた。
「あ、いた」
小さな虫を発見したが、捕まえるのが大変だった。
「逃げた」
「素早い」
「虫取り網があれば…」
「虫取り網もないよ」
結局、果物の切れ端を餌にすることにした。
「魚って果物食べるかな?」
「わからないけど、他にないし」
こうして、手作り釣り道具が完成した。
「釣り竿、釣り糸、釣り針、餌…一応揃ったね」
「これで魚釣れるかな?」
「やってみよう」

海岸に移動して、釣りを開始した。
「どこで釣る?」
「深いところの方が良いって聞いたことある」
「岩場の方が魚いそう」
結局、岩場の近くで釣ることにした。
「釣り方って、どうやるんだっけ?」
タケシが首をひねった。
「え? 釣りに詳しいんじゃなかったの?」
「子供の頃の記憶が曖昧で…」
「えー」
「とりあえず、餌をつけて海に投げ入れる?」
「まあ、基本はそうでしょ」
私は石の針に果物の切れ端をつけて、海に投げ入れた。
「これでどうかな?」
「魚、食いつくかな?」
私たちは期待して待った。
5分後…
「まだ釣れない」
「まあ、釣りは根気よく待つものでしょ」
10分後…
「まだ?」
「気長に待とう」
30分後…
「全然釣れない」
「おかしいな」
1時間後…
「一匹も釣れない」
「なんで?」
私たちは困惑した。
「餌が悪いのかな?」
「魚、果物食べないのかも」
「じゃあ、他の餌試してみる?」

今度は虫を餌にしてみた。やっと捕まえた小さな虫を針につける。
「これならどうかな?」
また待ったが、やっぱり釣れない。
「虫でもダメ?」
「釣り場が悪いのかも」
場所を変えて、砂浜の方で試してみた。
でも、結果は同じ。一匹も釣れない。
「なんで釣れないんだろう?」
その時、海の中を覗いてみると、魚はたくさん泳いでいる。
「魚はいるのに、釣れない」
「なんで?」
タケシが考え込んだ。
「もしかして、釣り針が大きすぎるのかも」
「大きすぎる?」
「魚の口に入らないくらい大きいとか」
確かに、石を削って作った針は、かなり大きかった。
「小さな針を作り直す?」
「でも、石でこれより小さく作るのは難しい」
「魔法で何とかならない?」
私が提案した。
「火魔法で石を熱して、細かく加工するとか」
「やってみよう」
私は集中して、石に火魔法をかけた。石が熱くなって、少し柔らかくなった。
「今のうちに削って…」
でも、石が熱すぎて触れない。
「熱すぎる」
「冷めるまで待つ?」
「でも、冷めたら硬くなっちゃう」
結局、うまくいかなかった。
「魔法でも難しい」
「やっぱり道具の問題かな」
その時、ユミが違う視点を提示した。

「もしかして、魚が警戒してるのかもしれません」
「警戒?」
「私たちが海に近づくと、魚が逃げてるような気がします」
言われてみれば、確かにそうかもしれない。
「魚って、そんなに警戒心強いの?」
「野生動物ですから、当然だと思います」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「遠くから釣る?」
「でも、釣り糸短いよ」
「隠れて釣る?」
「どこに隠れるの?」
私たちは岩陰に隠れて釣ってみた。
でも、やっぱり釣れない。
「隠れてもダメ?」
「音かな?」
「音?」
「話し声で魚が逃げてるとか」
「じゃあ、静かに釣ってみよう」
私たちは声を出さずに、静かに釣りを続けた。
でも、結果は同じ。
「静かにしてもダメ」
「何が原因なんだろう?」
その時、アヤさんが重要なことに気づいた。
「もしかして、釣り糸が見えてるのかもしれません」
「見えてる?」
「髪の毛で作った糸、結構目立つような…」
確かに、黒い髪の毛を編んだ糸は、透明な海水の中で目立っていた。
「魚に糸がバレてる?」
「バレてるから食いつかない?」
「魚って、そんなに賢いの?」
「意外と警戒心強いのかもしれません」

私たちは糸を目立たなくする方法を考えた。
「透明な糸が作れればいいんだけど」
「植物の繊維だと、もう少し目立たないかも」
植物の繊維で糸を作り直してみた。
「これならどうかな?」
「少しは目立たなくなったかも」
でも、やっぱり釣れない。
「植物の糸でもダメ?」
私たちは頭を抱えた。
「釣りって、こんなに難しいの?」
「テレビで見ると簡単そうなのに」
「現実は厳しい」

その時、魚引き寄せ魔法を試してみることにした。
「魚を引き寄せる魔法、できるかな?」
私が提案した。
「面白そうですね」
ユミが乗り気になった。
「でも、魚限定の魔法なんてできるの?」
アヤさんが疑問を呈した。
「やってみなきゃわからないでしょ」
私は集中して、海に向かって魔法をかけた。魚が寄ってくるイメージで…
「どうかな?」
最初は何も変化がなかった。でも、しばらくすると…
「あ、何か来る」
海の中から、何かがたくさん寄ってきた。
「魚?」
「やった! 魔法成功」
私たちは喜んだ。でも、よく見ると…
「カニ?」
「ヒトデ?」
寄ってきたのは魚ではなく、カニとヒトデとエビだった。
「魚じゃない…」
「なんでカニとヒトデなの?」
「魚限定魔法じゃなかったのかも」
「海の生き物引き寄せ魔法になってた?」
でも、カニやエビも食べられる。
「これはこれで食材になるよね」
「カニ美味しそう」
「エビも良いね」
私たちはカニとエビを捕まえることにした。
「素手で捕まえられるかな?」
「魚より遅そうだから、大丈夫でしょ」
でも、カニとエビも意外と素早かった。
「逃げた」
「ハサミで挟まれた」
「痛い」

結局、捕まえられたのは小さなカニ数匹だけだった。
「これで足りる?」
「一人一匹も無理…」
「でも、魚よりはマシ」
カニを茹でて食べてみた。
「美味しい」
「久しぶりにタンパク質取れた」
「でも、量が少なすぎる」
「もっと効率的に取る方法はないかな?」
その時、タケシが提案した。
「罠を作ってみるか?」
「罠?」
「魚が入ったら出られない仕掛けを作るんだ」
「それは良いアイデアですね」
ユミが賛成した。
「どんな罠?」
「えーっと…」
タケシが考え込んだ。
「竹でカゴを作って、中に餌を入れておく?」
「魚が入ったら、どうやって出られなくするの?」
「うーん…」
また、具体的な方法がわからない。
「とりあえず、カゴを作ってみよう」
竹がないので、木の枝でカゴっぽいものを作った。
「これでどうかな?」
「カゴというより、ただの枝の束…」
「でも、他に材料ないし」
中に果物の切れ端を入れて、海に沈めた。
「これで魚が入ってくれるかな?」
「どのくらい待てばいいの?」
「一晩くらい?」
翌日、罠を引き上げてみた。
「どうかな?」
「何か入ってる?」
恐る恐る覗いてみると…
「何も入ってない」
「え?」
「餌もない」
「餌、食べられてる?」
「でも魚は入ってない」
「どういうこと?」
謎だった。餌は食べられているのに、魚は入っていない。
「魚が賢すぎる?」
「餌だけ取って、逃げられてる?」
「罠の設計が甘いのかも」
私たちは罠を改良することにした。
「入口を小さくして、出にくくする?」
「でも、入口が小さすぎると、魚が入れない」
「難しいバランス」
何度も試行錯誤したが、うまくいかなかった。
「魚って、思ったより頭良い」
「人間を舐めてる?」
「完全に負けてる」

釣りプロジェクトは、人間側の完敗だった。
「魚に完敗…」
「現代人って、魚より馬鹿なの?」
「いや、魚が賢すぎるんだよ」
でも、全くの無駄ではなかった。カニとエビは取れたし、魔法の新しい使い方も覚えた。
「カニ引き寄せ魔法は成功したよね」
「エビも美味しかった」
「魚は無理でも、他の海産物なら何とかなるかも」
「明日は貝取りに戻ろうか?」
「貝なら動かないから、取れるぞ」
私たちの海産物プロジェクトは、魚釣りから貝取りに方向転換した。
「魚との知恵比べは、人間の完敗だったね」
「でも、諦めない」
「いつか必ず魚を釣ってやる」
釣りは失敗したが、私たちの挑戦は続く。

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