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♧ before story ♧meet again–the moment time moved–

※フィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません
6,582 文字

~ Reading BGM ~
Jung Kook - Closer to You
BTS - House of Cards
Jung Kook - Somebody
BTS - Stay Gold
BTS - For Youth

✽ 私の頭の中のお話 ✽
♧ before story ♧
meet again
–the moment time moved–
ーーーーーーーーーーーー

肌を刺すような空気の冷たさに身震いし、僕は握り締めた彼女の手を、迷わず自分のコートのポケットに引き入れた
はらはらと空を漂う雪と凍てついた空気が触れ合い、透明な音が耳の奥でかすかに鳴っている

こんなにも静かな夜なのに
僕の鼓動だけがやけにうるさかった

『あ、あの…グク?』
彼女の戸惑った声が、冬の暗闇に白い息となって溶けていく
ポケットの中で、僕の手のひらに包まれた彼女の手の柔らかな感触が、強く握れば壊れてしまいそうなほど、いじらしくてたまらなくなった

“やっぱりちいせぇ手…”

彼女の指先は驚くほど冷たくて、僕の手のひらの熱だけがやけに際立ち、その温度差に胸の奥がチリリと焼けるような感覚が走る
『グク…やっぱり私……』
何かを言いかけた彼女の指が逃げようとした瞬間、僕はその細い指を、ポケットの奥で深く絡めるようにして握り直した
指先から彼女の戸惑いが伝わってくるけれど、今の僕にはそれを汲み取る余裕なんてひとかけらもない

『…もう、俺から逃げねぇって言っただろ』
『え?』
低い声は自分に言い聞かせるように夜の闇に沈み、彼女に届いたのかさえ分からない

『…乗って』
大通りで捕まえたtaxiに乗るよう促した
閉ざされた車内
外の喧騒が遠ざかり、代わりに2人分の重い鼓動が狭い空間に満ちていく
隣に座る彼女がどこかへ消えてしまわないように、僕は何度も、何度も、握った手を確かめるように握り直した
この指の間をすり抜けていった
2年半という空白を、今
この瞬間の体温で無理やり埋めていくみたいに――

窓の外を流れる夜の街の光が、彼女の横顔を淡く照らす
あの頃のあどけなさが薄れ、ほんの少し大人びて見える彼女の輪郭をなぞるように見つめながら、僕は心の奥で、獲物を捕らえたみたいな必死さで呟いた

“やっとだ…やっと見つけた”

――

taxiを降りると、さっきまでの賑やかさが嘘みたいに、驚くほど静かな住宅街が広がっていた
夜の闇に浮かぶ、清潔感のある白い低層マンション
過剰な装飾を削ぎ落としたその建物は、ひっそりと、けれど凛とした佇まいでそこに存在していた
繋いだままの手を引かれ、セキュリティのキーボタンに彼の指先が触れる
冷たい夜風が止み、建物の影に入ると彼の体温が、さらに色濃く伝わってきた

『あ、あの、ここって…?』
『俺の家……どうする?帰る?』
エントランスの淡い光の下
立ち止まって私を見つめる彼の目が…
緩むことのない繋いだ彼の手が…
”逃がす気なんてさらさらない”って、そう痛いほど伝えてくる

『お家って…い、いいの?』
『だめなら連れてきてねぇ』
低く、迷いのない声
そのぶっきらぼうな響きの中に、この2年半、私が彼を傷つけ苦しめた痛みが――
そんな彼の言葉にならない熱が混ざっている気がして、私は小さく息を呑む

『そ、そうだけど……』
『行くぞ』
2階へ続く静かな廊下を進み、ひとつのドアの前で足が止まり、彼の指先が暗証番号を入力すると、乾いた電子音が廊下に響いた
🔑ピピッピッ…ガチャ
解錠の音とともに、重厚なドアがゆっくりと内側へ開く

先に足を踏み入れた彼の広くて逞しい背中
あの日、私の記憶の中で止まっていた彼よりもずっと、ずっと大きく見える

“…グクだ”

その背中を見つめた瞬間、胸の奥で何かがほどけるように揺れた
2年半の空白が、キュウニに現実の重みを持って押し寄せてくる

ドアの先に足を踏み入れた瞬間
――きっともう後戻りなんてできない
そんな予感が胸の奥で静かに灯った

――

わずかに開いた隙間から、彼が好んでつけていた、ルームフレグランスの懐かしくて切ない香りがふっと鼻をかすめた
『…入んねぇの?』
振り返った彼の瞳が、夜の闇よりも深い色で私を捉えたまま離さない
『床、フローリングで冷えるから…これ、使って』
差し出されたのは、彼には少し小さすぎるようにも見える、薄いパープル地に白いドットのルームシューズ
『あ、ありがと…』
それに足を踏み入れた瞬間――

背後から、逃げ道を塞ぐように彼の腕がそっと回り、私はすっぽりとその胸の中に収まった
不意に重なった体温と、懐かしい甘くてさわやかな香り
胸の奥で心臓が大きく跳ねる

『sumi……会いたかった』

耳元で囁く、低く柔らかな声
首筋を撫でる熱い息に、私の身体は抗う術もなく反応してしまう
私を包む腕に力がこもり、背中越しに伝わるのは、どくどくと速く打ち付ける彼の激しい鼓動

『ほんとに…sumiだよね?
……今、ここにいるよな?』

私の肩に顔を埋めたまま漏れる、縋るような、擦れた小さな声
彼の大きな身体が震えるたびに、私の胸が鋭くも、そして鈍くも痛む
私は何も言えなくて、堪えていた涙が静かに溢れた

『泣くなよ…頼むから』
私の涙に気づいた彼が、さらに深く顔を埋め強く抱きしめる
『ごめんなさい……っ』
謝ることしかできない私を、彼は拒絶することなく受け止める
その腕に縋るようにしがみつくと、彼の体温がじんわりと胸に染みていく
『謝んなって…さみぃだろ?部屋、行こう』
背後から包んでいた腕がゆっくりと緩み、今度は私の手を、指を絡めるようにしっかり握り、そのまま導かれるように、リビングへと歩き出した

『ソファ、座ってて』
『ありがとう……』
促されるまま腰を下ろし、改めて室内を見渡す
余計なもののない整った空間
大きな物干しには洗濯物が等間隔に並び、微かに揺れている
その丁寧な並び方に、几帳面な彼の手つきがそのまま残っているようで、思わず胸が温かくなって頬が緩んだ

“ふふっ🤭さすがA型”

広々としたリビングには、最新の大きなテレビ
身体を鍛えるための無骨なマシンと、どこか見覚えのあるゆったりとしたソファ

"あっこれ…宿舎のソファだ😳
懐かしい…なぁ…"

もう何年も前のソファなのに、いまも綺麗なまま
時が経っても、手元にあるものを大切にする、芯にある優しさは、あの頃と少しも変わっていない
部屋の一角には、きちんと整えられたPCデスク
この空間に凝縮された、彼の“日常”に包まれて、なんだか胸の奥がほわほわ温かくなった

ふと彼が立つキッチンに目を向けると、見たこともないような洒落た調味料やお酒のビンが並び、洗った食器の置き方までも計算されたように整っていて、思わず笑みがこぼれた

”モデルルームみたい😳ふふっ♡……あ、
マグカップ…お揃いなんだ…”

食器棚の片隅に並ぶ、色違いのマグカップ
そして――
ソファの隅に置かれた、場違いなくらい大きなキティちゃんのぬいぐるみ

”このルームシューズもだけど…詰めが甘いのよ
チョン・ジョングクさんって🤭”

胸の奥が、ほんの少しだけきゅっと縮んだ
女性がいた形跡を消しているようで
消しきれていない――

ううん、もしかしたら、わざと残していたんじゃないかと思わせるその“隙”に、さっきまで張り詰めていた心が、少しずつ柔らかな温度を取り戻していく

"勘違いしちゃだめよ😊ね?sumi…"

――

『はい、紅茶…熱いから気をつけろよ?』
『ありがとう…』
差し出したマグカップを両手で包み込む彼女の指先は、まだ少し震えてる
目の前に座る彼女を、僕は何度も瞬きを繰り返しながら、食い入るように見つめた

“夢じゃ…ねぇよな……消えたりしねぇよな”

『紅茶、いただいたら…私、やっぱり帰るね😊』
俯いたまま、逃げるように早口で彼女がそう言ったあと、まだ熱いはずの紅茶を無理やり喉に流し込もうとして、熱さにぎゅっと右目をつぶる

“嫌だ…絶対、離さねぇ“

その痛々しい横顔に、胸の奥がざわついて無意識に手を伸ばす
ビクッ💥
彼女が大きく肩を揺らし、僕の手を拒むように身をすくめた
『ふ、触れないで…っほんとにだめなの…』
『帰んなよ…ずっと、ここに居ればいいだろ…?』
『…なに言ってんの?ここにいたら、私…ほんとに後戻りできなくなっちゃうの
だから、早く帰らなきゃ…』

今にも消えてしまいそうな、泣き出しそうな小さな声で、彼女が必死に紡ぐ言葉が胸に刺さって一瞬、呼吸が止まる

だけどもう
“物分かりの良い奴”の振りなんてできやしない

“絶対…どこにも行かせねぇ”

『帰さない』
『…帰るの』
『俺、お前のこと離す気ねぇから』
『……かえ…っ』

『ぜってぇ!離さねぇ』

自分でも驚くほど大きな声が、部屋の静寂を切り裂いた
抑えてきた感情が、堰を切ったみたいに一気に溢れ出す

"この2年半、俺がどれだけお前を探したと思ってる
いまこの手を離したら…そしたらまた
失うかもしれねぇだろーが!"

不安も恐怖も焦りも、全部ひっくるめて
叫ぶように吐き出しそうになる言葉を必死で飲み込んだ

『でも私…グクのこと傷つけた
すごく酷いことをしたの…だから、だからね?
私はここにいちゃいけない』
彼女の膝の上にポタポタと落ちる涙のその一粒一粒が、愛しくてたまらない
なのに、心臓を引きちぎられるほどに苦しくてたまらない

『な、なぁ…なんで?
俺が一緒にいたいって言ってんじゃん
…んでダメなんだよっ!』
『だって…』
『なぁ…なんでいなくなった?
どんなに探しても、どこにもいなくて…なんで
俺の前から、黙って消えたんだよ!』
ずっと喉の奥に押し込んでいた想いと問いが、熱を帯びて溢れ出し、もう止められない
胸の奥が焼けるみたいに痛くて、声が震えているのにそれでも…言葉が止まらない

“あの日からずっと
俺はお前の答えが欲しかった…”

『それは…っくるし…くて…いたくて…っ…たえったえられな……、にげたの…グクからわたし…っ…にげ…たっ』
泣きじゃくり、嗚咽で言葉がちぎれながらも、それでも必死に絞り出された彼女のその告白が、僕の胸を深くえぐってくる

痛い
胸の奥で、何かが軋むように鳴り響く
あぁ…痛すぎて、息なんて吸えやしない

考えるより先に、心が身体が動いてた
震える肩を力任せに引き寄せ、小さな身体をすっぽりと腕の中に包み込むように抱きしめた
抵抗する隙なんて与えない
壊さないように、ただただ…強く、強く抱き締めた

『……もういいから、もういい』
耳元でそう囁きながら、背中に腕を回し、何度も何度も抱き締め直す
途切れ途切れの苦しそうな嗚咽を、なんとかしてやりたくて、胸の中に閉じ込めるように必死で抱きしめた
『にげっ…たの…ぐく…っ…から』
『…いんだよ、それで』
震える彼女の頭に、そっと顎を乗せて目を閉じた

『苦しくてどうしようもなかったんだろ?
…なら、逃げて正解だった、それでよかった
お前はなんも悪くねぇよ…なぁ、sumi』

腕の中で、子供みたいに泣きじゃくるその小さな身体を抱きしめながら、僕の胸の奥がじんわり熱くなる

ずっと、こうして抱きしめたかったんだ
ずっと、触れたかったんだ

ずっと…守ってやりたかった

『もういい…お前は悪くねぇ
だから、もうどこにも行くな』

その言葉は命令でも、懇願でもなくて…
ただの僕の“本音”だ

――

腕の中で震える呼吸を繰り返す彼女を、ただ静かに、壊さないように抱き締めた
喉の奥を焼くような焦燥感も、激しく波打っていた鼓動も、彼女の温もりを確かめるうちに、ゆっくりと熱を帯びたまま落ち着きを取り戻してく

しばらくして、彼女の嗚咽が小さく震える吐息に変わった気がして、僕はゆっくりと口を開いた
『sumi?少し落ち着いた?』
『ぐく…』
『ん?』
少しだけ腕の力を緩め、彼女の顔を覗き込むように視線を合わせた
まだ涙を溜めた薄茶色の瞳が、不安げに僕を見上げてる

『ずっと探してた…お前のこと
やっと見つけたんだよ…やっと』
『グク』
『頼むから…いなくならないで』
その言葉に肩をびくっと震わせたあと、彼女は小さくゆっくり息を吐き、掠れる声を絞り出す

『ごめんなさい…私ね?
ずっとグクの負担になってることが辛かった
もう…迷惑かけたくなかったから』
『迷惑なんて一度も思ったことねぇよ…
あーぁーぁ💦あいっし…相変わらず泣き虫だなぁ』
まぶたに涙を溢れさせ、下唇を噛みしめながら僕を見るその瞳に、胸がぎゅぅっと締め付けられる
同時に、どうしようもないほどの愛おしさが込み上げてくる
『ンハァッ♡…ここは変わらず、ぷにぷにだな😚』
頬を伝う涙を親指で何度も拭い、指先で柔らかな頬をツンと突くと、可愛い彼女のほっぺがほんの少しだけ膨らんだ

“俺の大好きな、その顔だ”

『ぷにぷには、嫌だってば( ⸝⸝⸝⩌⤚⩌*)』
『ㅋㅋㅋ』
思わず頬が緩んで小さく笑うと、ふわっと空気が解けた
抱き締めたままの腕の中で、彼女が少し身じろぎをするその微かな動きに、胸の奥がざわついた

泣いて、笑って、こうして僕の腕の中にいる
それだけなのに――
胸の奥が、どうしようもなく熱い

『sumi……お前に触れたくてたまんねぇ』

心臓の奥を直接掴まれたような彼の言葉に、私の身体は一瞬で、石のように硬直した
あまりにストレートな熱に、頭が真っ白になっていく
『ご、ごめんなさい…』
思わず口をついて出た言葉に、彼が少しだけ眉にしわを寄せた
『いまなんに謝った?…家にきたこと?』
『…お、お酒も飲んでたし、つい変なこと言って引き留めちゃって💦今さら…だし、私、グクの今の状況とか……先のこととかそんなの
何も考えてなくて…だからっ』
しどろもどろに言い訳を並べる私を遮るように、彼の低い声が落ちてくる

『お前、なんの話ししてんの?』
『だって、彼女とか…悪いし💦冷静に考えたらいて当然だし…?私は、ほら🥹
そんな器用に遊べるタイプじゃないし…だから
やっぱり帰らなきゃ😊今日はありが…っ』
自分に言い聞かせるように早口でまくしたてると、両手で肩を掴んだ彼が、逃げ場を塞ぐように顔を覗き込んできた

『誰とも付き合ってねぇよ!俺にはお前しかっ!
家にあげたのだってsumi、お前だけだから…』
一言一言をじっくりと噛み締めるように、彼の低い声が鼓膜を揺らす
『お前しか…俺は、
お前がいてくれれば他はどうだっていんだよ』

”嘘…ふふっ🤭そんな綺麗な嘘も
つけちゃうようになったのね……”

私を見つめる彼の目が、あまりに真実味を帯びていてついついその言葉を信じてしまいそうな自分に怖くなる
『私、ずっと後悔してるの…グクから逃げたこと
ずっとずっとグクのこと…忘れようとして必死に仕事して、あー!やっと忘れられたぁっ(๑•̀ㅁ•́๑)
なんて思ったら…
キュウニまたグクの顔がチラつくの…😮‍💨』
胸の奥底に溜まっていた澱が、一気に溢れ出して止められない

『さっさと忘れて遊んじゃおうって思ったし、もう平気だって何度も何度も思ったの(๐•̆ ·̭ •̆๐)
なのにね?
キュウニ…キュウニ出てくるの…
グクの声も体温も匂いまで…いつまでも覚えてる
なに?なんで?なんで邪魔するの?って‥
グクはもうずっとずーーーーっと
私なんかの手の届かない所にいるし
どんなに想ったってもう届くはずなんてないの…
そんなことわかってる、わかってるの
なのに…なのに、どうしても忘れられなくて…
私、グクのこと…忘れたいのに、忘れられないの』
堪えることができなくなって泣き出す私を、彼は何も言わずにただその広い胸の中に閉じ込めた

『…何も考えなくていい
理由も、過去も、全部もうどうだっていい……
だから、戻ってこい
俺は何も変わってねぇから…
あの頃と変わらず、ずっとお前のことを愛してる』
『でも…っ』
『”でも”じゃねぇの…どこにも行くな
俺がお前といたいんだ』
また私を包む彼の腕の力がぐっと強くなる

『私…』
『……あっち行こ?』
『で、でも…』

『sumi…愛してる』

これ以上、お前に拒絶の言葉を紡がせたりしない

――

潤んだ瞳から溢れる涙を指先でそっと拭い、熱を帯びてぽってりと色づいた唇を、親指でゆっくりなぞる
『っ……ふぁ…ッ…』
唇の隙間から、甘く切ない吐息が漏れる
その瞬間、僕はたまらず顔を近づけ彼女の唇を塞いだ
触れるだけの、優しくて深い口づけ…

わずかたった5秒

止まっていた2年半の時間が一気に動き出すような
永遠にも感じるほど、僕には長い5秒間だった

──この先は18禁描写が含まれるためPが必要です
無理のない範囲で続きを楽しんでもらえたら嬉しいです

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