4年で5000万円払う前に。“世界トップ大学×学費5分の1”の香港が外される理由
白人圏に混ざることが「正統な英語教育」なのか。教授陣・IELTS基準・大学ランキングを見れば、アジア=英語が弱いという前提は成立しません。
学費が高い=良い教育、という思い込みはどこから来たのか。香港の大学は世界トップ水準、授業は完全英語、それでも候補にすら上がらない。その違和感を、冷静に分解します。
こんにちは、教育移住4回のリアル孟母ベティです。
香港には2009-2020年の12年間住みました。
娘2人も香港生まれです。
そんな私が、日本国内のインターナショナルスクールに通う親子と話していると、進学先の候補はだいたい決まっています。そのことに違和感を覚えています。
アメリカ
カナダ
オーストラリア
イギリス
でも、ここで一つ、ずっと気になっていることがあります。
なぜ、香港がほぼ出てこないのか。
しかも、香港大学 や
香港理工大学 のような
世界ランキング・研究力・英語環境が揃った大学があるにもかかわらず、です。

ここで一度、感情を脇に置いて「数字」を見てみよう
香港を進学先から外している理由が
「なんとなく不安」「イメージが湧かない」なら、
一度、数字で整理してみてほしいのです。
① 世界大学ランキング(2024–2025年水準)
香港大学(HKU)
▶ 世界 26位前後
(QS / THE いずれでも30位圏内常連)香港理工大学(PolyU)
▶ 世界 60〜70位前後
工学・デザイン・ホスピタリティ分野は世界トップクラス
参考までに、日本の大学を並べると:
東京大学:世界 28位前後
京都大学:世界 46位前後
早稲田・慶應:100〜200位台
つまりHKUは「東大と同格帯」
PolyUも「旧帝大〜難関国立クラス」
それでも
「香港だから候補に入らない」
と判断する根拠、どこにありますか?
② 学費:北米と比べると“現実的すぎる”
香港の学費(留学生・年間)
香港大学:
約 180〜220万円/年香港理工大学:
約 170〜210万円/年
一方で…
アメリカ私立大学
学費+諸費用:
700〜1,200万円/年4年間総額:
3,000〜5,000万円超
カナダ・イギリス
年間 400〜700万円
為替次第でさらに上振れ
香港は
「世界トップ大学 × 学費3分の1〜5分の1」
という、異常にコスパのいいゾーン。
③ 卒業後の進路:実は北米より“分岐点が多い”
ここも誤解されがち。
アメリカ/カナダ
→ 卒業=就職ではない
→ 就労ビザは超・狭き門香港
→ 卒業後IANGビザあり
→ アジア圏での就職・大学院進学に強い
→ 欧米大学院への進学実績も多数
つまり香港は、
アメリカ一本賭け、ではない
アジア・欧米どちらにも枝が伸びる
「逃げ道のある進学先」
でもあります。
④ 英語環境:ネイティブ幻想を壊す現実
香港の大学の授業言語は完全英語。
教授陣の学位取得先を見ると:
スタンフォード
MIT
オックスフォード
ケンブリッジ
ハーバード
…が普通に並びます。
学生の英語力も、
IELTS 7.0〜7.5がボリュームゾーン。
「西洋人に囲まれないと英語が伸びない」
「アジア=英語が弱い」
この前提、数字的には成立していません。
香港が「英語だけで生活できる場所」になった“本当の理由”
香港について
「英語が通じるよね」
で終わらせてしまうのは、やっぱり雑だと思っています。
香港は
偶然英語が残った場所ではありません。
戦略的に、英語を残し続けた場所です。
英語は“文化”ではなく“経済インフラ”
香港にとって、
英語はアイデンティティでも教養でもなく、
経済を回すためのインフラです。
なぜか。
香港は昔から、
・株式市場を持ち
・国際金融のハブであり
・世界企業のアジア本社を集め
・高度人材を呼び込み続ける必要がある都市
だからです。
株式市場 × 英語はセット
香港には、
アジア最大級の株式市場があります。
・上場企業
・投資家
・監査法人
・弁護士
・コンサル
・金融機関
これらが一つの言語で高速に動く必要がある。
その言語が、英語。
法律文書
決算資料
IR
契約書
紛争解決
これらが中国語ローカルだけで回る都市に、
グローバルマネーは集まりません。
だから香港は、
英語が「使える」ではなく
英語で「完結する」設計
を何十年も維持してきました。
世界企業のアジア本社を呼ぶための条件
香港がやってきたことは、シンプルです。
英語で
働けて
契約できて
生活できて
子どもを教育できる
この条件を、都市レベルで整えた。
だから
・外資系企業
・多国籍企業
・研究者
・金融人材
・大学教員
が、言語の不安なく来られる。
英語は
「外国人に優しいから」
ではありません。
外国人が“即戦力で働ける”ためです。
大学が英語なのも、同じ理由
香港の大学が
・授業完全英語
・論文英語
・評価基準英語
なのは、植民地の歴史と教育理念だけではありません。
世界中から研究者と学生を集めたいから。
教授陣の多くが
英米トップ大学出身。
学生も
アジア・欧州・中東・北米から集まる。
ここで英語が共通言語でなければ、
大学ランキングも研究力も維持できない。
だから香港の大学は、
・英語=学術言語
・中国語=地域言語
という切り分けが、制度として完成しています。
英語だけで生活できる、は本当か?
結論は変わりません。
YES。しかも、かなり現実的。
というかうちの夫は香港に英語だけで20年以上住んでいました。
・病院:英語対応が標準
・銀行:英語で口座・投資・融資
・行政:英語で完結
・不動産:英語契約が正式
・公共交通:英語表示・英語案内
これは
「観光地だから英語が通じる」
とは次元が違います。
金融都市として必要だったから整えた英語環境です。
英語+αが“足せる”構造
もう一つ、教育的に重要な点。
香港では、
・英語を思考と言語の軸にし
・必要に応じて
広東語/普通話を“足す”
この順番が成立します。
これは
CALP(学術言語能力)を英語で育てやすい構造。
英語が
「学校だけ」
「家庭だけ」
ではなく、
社会全体で使われている
この違いは大きい。
なぜ日本の親はここを見落とすのか
日本のインターナショナルスクール界隈には、
いまだに強い前提があります。
・英語=西洋
・英語=白人社会
・英語=アメリカ/イギリス
でも、現実の英語はもう
誰の母語かではなく、どの市場で使われているか。
金融
研究
学術
ビジネス
この分野で、
英語が“生きた言語”として回っている場所。
香港は、完全にそこに入っています。
大学生という年齢だからこそ合理的
小学生なら慎重でいい。
中学生もわかる。
外部の政治思想とかの影響受けちゃいますよね。
でも、大学生です。
・自分で判断できる
・情報を取れる
・距離を取れる
その年齢で、
英語が制度言語の都市で学ぶ
これはリスクではなく、
世界に出る前の実地訓練です。
英語は「学ぶ言語」ではなく「使う言語」
香港の強さはここです。
英語は
・評価される科目
・勉強対象
ではなく、
交渉し、契約し、責任を負う言語。
それを
生活と学業の両方で体験できる。
だから私は思います。
香港を
「アジアだから」
「なんとなく不安だから」
で外すのは、
教育戦略としても、進学戦略としても、もったいない。
英語は、
どこで学ぶかではなく
どの経済圏で使うか。
香港は、その現実を
一番わかりやすく見せてくれる都市です。
それでも香港が選ばれない理由は、たぶん“物語”
ランキングも
学費も
進路の現実も
英語環境も
数字だけ見れば、
香港は「外す理由が見当たらない」進学先です。
それでも選ばれないとしたら、理由は一つ。
西洋に行くほうが
ちゃんとグローバルっぽい、という物語
私は、その物語に
何千万払う意味が本当にあるのか、
親として一度、問い直したいと思っています。
理由①「政治リスク」が過剰に語られすぎている
香港の話になると、必ず出てくるのが「政治的に大丈夫なの?」という声。
ここ、私はかなり冷静に見ています。
確かに、小学生〜中学生が日常的に政治思想の影響を受けやすい環境に置かれるなら、慎重になるのは理解できます。
でも、大学生ですよ?
18歳以上で、自分で情報を取り、選び、距離を取れる年齢です。
授業は英語、教授は世界中から集まった研究者。
少なくとも
「大学進学」という文脈で考えるなら、
政治思想が日常生活や学術の自由を直接侵食している、という実感は私は持っていません。
むしろ今の香港は、
社会はすでに「落ち着いてしまった」
不確実性が日常化している分、治安は安定
生活上のリスクはかなり低い
正直に言えば、
台湾 留学のほうが、
地政学的リスクは読みにくいと感じる人もいるはずです。
台湾の教育の質は非常に高い。
でも「もしも」が起きたときの影響は、香港より大きい可能性もある。
理由②「英語圏=西洋」という思い込み
ここが、いちばん根深いところだと思っています。
日本のインターナショナルスクール界隈には、
どこかにこんな前提が残っていませんか?
・正統な英語教育は、白人圏
・ネイティブに囲まれることが価値
・西洋に混ざる=グローバル
これ、ネイティブ信仰です。
香港の大学は、
教授陣は英米豪トップ大出身者だらけ
授業は完全英語
学生は多国籍(しかも超優秀)
でも「アジア」というだけで、
無意識にランクを下げてしまっていないか。
英語で学ぶことと、
白人社会に混ざることは、イコールではありません。
理由③「高い学費=良い教育」という錯覚
もう一つ、誰も口にしないけれど確実にある理由。
何千万もかけてアメリカの大学に行くこと自体が、
教育投資として“成功物語”になっている。
でも現実を見ましょう。
アメリカ・カナダでの大卒就職は、想像以上に狭き門
ビザ・就労資格・競争、どれも厳しい
卒業=その国で働ける、ではない
一方、香港は、
アジアの金融・研究・ビジネスのハブ
国際企業・研究機関が集積
学費は北米より現実的
7年納税すれば永住権獲得
それでも「選択肢にすら上がらない」。
それは合理性ではなく、
物語で進路を決めているからかもしれません。
香港は「唯一解」ではない。でも「外す理由」も薄い
私は、こう思っています。
香港進学が正解、とは言いません。
でも、
世界水準の大学があり
英語で学べて
生活リスクが比較的低く
卒業後の進路の分岐点も多い
この条件が揃っている場所を、
「アジアだから」という理由だけで外すのは、
かなりもったいない。
戦略的に香港を使った家庭
香港ローカルで育てた家庭
英語全振り/多言語設計をした家庭
を、Yurikoさんと一緒に掘り下げていきます。
机上の空論ではなく、
「実際にどうだったか」を語れる人たちの声をお届けしますね。
日本のインターナショナルスクールにいる親子が、
進学先を考えるとき。
香港を
「行くべき場所」にしなくてもいい。
でも、「考えもしない場所」にはしないでほしい。
そのための前哨戦として、今日はこの問いを投げておきます。
本当に、それはリスクですか?
それとも、思い込みですか?
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