10代の恋は、打ち切りドラマのように。
あの頃の僕は、夢中になって周りが見えないくらい恋焦がれていたのかもしれない。
彼女と出会ったのは、女子校の学園祭だった。
友達の女子校の学祭は知り合いがいないと入れない招待制だった。
だからのその子にファミレスで何度も奢りながら、ようやく連れて行ってもらった記憶がある。
その友達いわく、女子校だと男は3割増しに見えるから
「マジでイケメン扱いされるよ。」と言っていた。
「どうせ盛ってるだろ。」
そう思っていた。
……でも、本当だった。
友達と歩いているだけで、
「彼氏なの?」
「えー!かっこいい!」
そんな声があちこちから飛んできた。
今思えば、あの日だけは松潤にでもなった気分だった。
そんな浮かれた空気の中で、彼女と出会った。
友達が少しその場を離れた隙に、
「ちょっといい?」
そう言って話しかけてきた。
彼女は二つ下の一年生。
積極的な子で、気づけば周りに気づかれないよう僕の携帯を取り、自分の番号へワンギリしていた。
ぼんやりしていた僕は、気づけば連絡先を手に入れていた。
ANNA SUIのスイドリームの香りが印象的だった。
年下とは思えないくらい大人びていた。
髪も巻いていて、キラキラしている彼女に釘付けになっていた。
「うちの高校なら校則違反だな。」
そんなことを考えながら、余裕なフリをしていた。
別れ際、小声で連絡してねと言われ、お互い周りにバレないように笑顔で手を振った。
……と思ったが、振り返ると友達がいた。
「ねえ、今さあ一年と話してなかった?」
悪い笑顔の友達が戻ってきて、拡散し始めた。
「ねぇ、みんな聞いて!
こいつ一年と連絡先交換して鼻の下伸ばしてるんだけど!」
その一言で、
「ロリコン!」
「キモい!」
「帰れー!」
さっきまでの人気者は、一瞬で転落した。
逃げるように僕は、その場を去り、友達にてへぺろして成果を手に帰った。
自分のクラスでも何故かすぐ噂になり、誰がつけ始めたか分からないが、当たり前のようにみんなから「ロリコンマン」と呼ばれるようになっていた。
僕は全然気にしなかった。
少しは気にしたほうが良かったかもしれない。
彼女とのやり取りが毎日楽しかった。
夜は携帯で電話をして、
タイミングを合わせて家の子機を使い、長電話をした。
週末によくデートをした。
お互い少しだけ束縛するフリをして、
恋人ごっこみたいな時間を楽しんでいた。
彼女は自由な子だった。
「減るもんじゃないんだから。
付き合ってみて嫌なら別れればいいじゃん。」
そんなことを言ってくる女の子だった。
夏祭りのデートで2人きりになった時に、
「今ここでキスしても良いよ。」
彼女はそう言った。
僕はドキドキが止まらなかった。
男から告白するのがかっこいいと思っていたのに、
気付けば
「よろしくお願いします。」
と返事をして、
彼女の瞳に吸い込まれるように、リードされ彼女と初めてキスをした。

そんな彼女の意外な一面が分かったのが記念日のデートだ。
ショッピングモールで、彼女へのプレゼントを2人で選んでると、500円のアクセサリーを手に取り、
「これ買ってもいい?」
と少し遠慮がちに聞いてきた。
「当たり前じゃん。」
少しだけ格好つけた自分がいた。
積極的だけどピュアな彼女がまだそこにいた。
もし20代で出会っていたら、
きっと100倍くらいお金を使わされていた気がする。
ただ別れは突然だった。
何気なく彼女にメールを送る。
返ってきたのは、
「このアドレスは存在しません。」
LINEもSNSもなかった時代。
僕は鈍感で変化に気づいてなかったのかもしれない。
あの頃の恋は、メールアドレス一つで終わることがあった。
僕が経験した恋はまるで最終回を迎える前に終わってしまった、打ち切りドラマのようだった。
綺麗な思い出として残っている。
……とはいえ、
当時みんなから「ロリコンマン」と呼ばれていたことまで思い出すと、
やっぱり少し可笑しい、10代の恋だった。
何故か学祭に連れて行ってくれた、友達も僕のことをしばらくロリコンマンと呼んでいた。

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