Deoleo S.A.の概要とオリーブオイル業界の動向
スペインに本社を置くDeoleo S.A.(デオレオ)は、世界トップクラスのオリーブオイル企業です。グローバルに広く展開し、Bertolli(ベルトーリ)、Carbonell(カルボネル)、Carapelli(カラペリ)といった国際的に著名なブランドを擁しており、自社ブランドのオリーブオイルや食用油のブレンド・ボトリングに注力しています。現在、デオレオはプライベートエクイティファンドのCVCキャピタル・パートナーズが約57%の株式を保有する筆頭株主で、企業再建と成長戦略の下で事業を展開しています。

デオレオの現状戦略と注力領域
デオレオは近年、事業再編と財務基盤強化を経て、新たな成長戦略「EVOO-lution(エボリューション)2025–2028」を打ち出しました。これは社名にも掲げるEVOO(Extra Virgin Olive Oil=高品質オリーブオイル)の進化を意味し、約3,200万ユーロのEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の増加を2028年までに実現するロードマップとなっています。EVOO-lution戦略では、大きく二つの柱を据えています。第一の柱は「トップラインの成長」施策で、主力ブランドの強化と戦略市場での拡大によって約1,300万ユーロのEBITDA増を目指すものです。具体的には、北米市場で400万ユーロ、インド市場で200万ユーロ、イノベーション分野(オリーブ以外の隣接カテゴリーへの展開)で300万ユーロ、その他地域で400万ユーロの寄与を見込んでいます。隣接カテゴリーへの展開とは、食卓用オリーブ(テーブルオリーブ)、ビネガー(酢)、アボカドオイルなど、オリーブオイル周辺の食品分野へ製品ラインナップを広げる戦略です。第二の柱は「オペレーション改善」施策で、購買戦略の見直しや組織効率化によって約1,900万ユーロのEBITDA増を図ります。特に原材料となるオリーブの調達コストは総コストの8割に及ぶため、財務体質強化により調達面での交渉力を高め、原料価格の変動に対応することが重要とされています。
この戦略において、デオレオは重点地域としてアメリカ合衆国とインドを挙げています。米国では、東海岸でBertolliブランドの強みを活かしつつ、オリーブオイル消費が伸びしろのある中西部・南部にも販売拡大する計画です。具体策として、米国消費者の嗜好に合わせた製品イノベーションの投入、営業チームの増強、そして系統立てた販路拡大プランの実行という3つの柱を掲げています。インドでは、自社ブランドFigaro(フィガロ)で市場シェア80%を握り、特にオリーブオイルの化粧品用途という新市場を開拓した実績があります。デオレオはインドにおいて販売拠点(流通網)を現在の25万か所から45万か所へ拡大し、新たに現地チームを15名以上増員するなど攻勢を強める計画です。インドでのオリーブオイル需要はまだ伝統がない市場ながら、「髪や肌に塗るオイル」という用途に焦点を当てた戦略が奏功し、デオレオにとって世界で2番目に高い粗利益率の事業ユニットに成長しました。これはデオレオのイノベーション能力の一例であり、同社は他国でもこうした新用途や健康志向に訴える施策を拡充したい考えです。
また、デオレオは持続可能性(サステナビリティ)を事業戦略に統合して推進しています。例えば2030年までに取り扱うオリーブオイルの70%を持続可能な生産認証のものにする目標を掲げ(2024年時点では39%)、環境配慮型のオリーブ栽培・搾油を支援しています。さらに環境評価機関EcoVadisのプラチナ認証(上位1%企業)を獲得し、オリーブ農園が1リットルのオイル生産あたり最大10.7kgのCO2を吸収し得るという調査も強調するなど、サステナビリティ面で業界リーダーを目指す姿勢を示しています。こうしたESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みも、今後のブランド価値向上と価格プレミアム獲得に資すると期待されます。
以上のように、デオレオの現行戦略はブランド価値の最大化、重点市場(米・印など)でのシェア拡大、製品ポートフォリオの周辺拡張(オリーブ関連食品)と原料調達・オペレーション効率の改善に焦点が当てられています。これらは同社の中核事業であるオリーブオイルの収益力強化に直結する分野であり、逆に言えば、それ以外の領域はノンコア(非中核)として整理・縮小の方向にあることが示唆されます。
デオレオのノンコア事業
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