介護を辞めた今だから言えること。オムツ交換で「手袋なし」と言われた日
介護の仕事を辞めたからこそ、今なら言えることがあります。
これは、私が以前働いていた介護現場で実際に経験したことです。
私がいた現場では、少なくとも4年ほど前から、介護で使用する手袋をキッチン用手袋(あの薄いヤツぶかぶか)に変更していました。
理由は、コストが安いから。
しかも、両手ではなく片手だけ。
「少しでも経費を抑えたい」
その気持ちは、経営側からすれば分からなくもありません。
でも、問題はここからでした。
倉庫にある物品がよくなくなるのか、手袋などの物品を出せるのは社員だけ。
当然、社員がいない時間帯もあります。
そして、そんな時にオムツ交換などの排泄介助に回ることがあります。
そこで言われるのが、
「手袋がないなら、そのままやって」
ということ。
……いや、ちょっと待ってください。
排泄介助ですよ?
便が大量に出ていたら?
オムツから便が漏れていたら?
衣類やベッドまで汚染されていたら?
それでも「手袋なしでやって、手を洗えば大丈夫」。
私は、この状況が本当に怖かった。
介護職員だって人間です。
利用者さんの感染を防ぐことも大切ですが、同時に介護職員自身を感染から守ることも必要です。
そして、排泄介助のあとに適切な手袋を使用することは、介護士自身だけではなく、他の利用者さんへの感染を防ぐ意味でも重要です。
「手を洗えば大丈夫」
私は、そんな簡単な話ではないと思っています。
もちろん、介護現場にはお金の問題があります。
物品にもコストがかかります。
人手不足もあります。
私は介護の仕事を長くやってきたので、現場が大変なのは分かっています。
だからこそ、余計に悲しくなりました。
利用者さんの尊厳を守ろう。
感染対策をしよう。
介護士自身の身を守ろう。
そう言いながら、実際の現場では「手袋がないから、そのまま」ということが起きている。
私は、こういうことの積み重ねもあって、心がどんどん疲れていきました。
そして、鬱になりました。
その後、双極性障害とも向き合うことになりました。
もちろん、病気になった原因を「この出来事だけ」と決めつけることはできません。
でも、長年の介護現場で感じてきたストレスや、「これで本当にいいのか」と疑問を抱えながら働き続けたことが、自分の心に大きな負担になっていたことは間違いありません。
今、介護の仕事を離れて思います。
「あの時、もっと声を上げてもよかったんじゃないか」
「おかしいと思ったことを、おかしいと言ってもよかったんじゃないか」
そう思うことがあります。
介護士は、利用者さんを守る仕事です。
でも、介護士自身も守られなければいけません。
利用者さんのためにも。
介護士のためにも。
私は介護を辞めました。
だからこそ、今なら言えます。
介護職員が安心して働ける環境を作ることも、結果的には利用者さんを守ることにつながる。
「手を洗えば大丈夫」で終わらせてはいけないことが、介護現場にはまだまだあるのではないでしょうか。
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