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#4 ボーナスステージ 精読難問研究会|ドイツ語が読める人の頭の中を知る ー精読で「戻らない訳」を習得しようー

ニーナです!精読を楽しんでいただけているでしょうか?
今日は「少し難しい文章も、丁寧に精読すれば読めるはずだ」ということを体験していただこうと思います。
単語の意味は後からで構いません。精読の考え方ができれば、少なくとも文の構造(動詞は?主語は?)がわかるはずです。読解にチャレンジしてみましょう!

📖Der Pflege des Gedichtes widmen sich in Japan nicht nur, wie heutzutage bei uns, einige wenige Literaten, sondern – von Bauern bis zum Kaiser  aufwärts – mehr oder minder alle Schichten des Volkes.

出典:Ulenbrook, Jan. “Nachwort” from Haiku : Japanischer Dreizeiler.  Reclam, 1995, p.237.
 Used with permission by Reclam.

では手書き精読ノートを見てみましょう。みなさんのノートも似たような形になりましたか?

今回の文の戻らない訳ときれいめな訳を確認しましょう。以下がひとつの例です。

📖Der Pflege des Gedichtes widmen sich in Japan nicht nur, wie heutzutage  bei uns, einige wenige Literaten, sondern – von Bauern bis zum Kaiser  aufwärts – mehr oder minder alle Schichten des Volkes.

戻らない訳:手入れには|詩の|献身している|日本では|(~だけでなく)|今日の私たちのところのように|いくらかの少数の文芸家だけでなく、|農民から天皇にいたるまで|多かれ少なかれ|すべての層が|市民の。

きれいな訳:日本における詩作の涵養は、今日の西洋のように限られた少数の文芸家に限られるものではなく、農民から天皇に至るまで、社会のほぼあらゆる階層に及んでいる。

出典:Ulenbrook, Jan. “Nachwort” from Haiku : Japanischer Dreizeiler. Reclam, 1995, p.237.
Used with permission by Reclam.

今回の精読のポイントは以下のような点でした。

  • 文頭 der Pflege は女性3格

  • 動詞 widmen sich4 3 自身を3に献身させる

  • 主語(1格)は2つに分かれている、 einige wenige Literaten と alle Schichten (des Volkes)

  • nicht nur A, sondern (auch) B AだけでなくBも 
    今回のAは ,,einige wenige Literaten”、Bは ,,alle Schichten des Volkes”

  • wie heutzutage bei uns は挿入句。「今日の我々の場合のように(一部の文芸家のみではなく)」、この場合の「uns(我々)」は「著者ドイツ人がいるドイツにおいて」あるいは「欧州において」

  • von A bis (zu) B AからBまで

  • mehr oder minder 多かれ少なかれ

この文におけるよくあるミス(つまづきポイント)をランキングにするなら、以下でしょうか。
1位:文頭にある der Pflege を1格だと思い込んでしまう(女性名詞だから
         der で1格はありえない!)
2位:(動詞 widmen を見つけられたとしても)挿入句で迷子になり、主語1
            格を見つけられない
3位:bei uns の uns を単に「私たちのところ」と訳しただけでは意味がよく
         わかりにくい

「動詞を中心に文が作られていく」つまり「動詞が王様である(動詞は命令を出している)」ということが分かれば、動詞 widmen で辞書を引いたときに sich4 widmen 3 (自身を3に献身させる)が見つけられるかもしれません。やはり辞書を引きまくり、動詞の命令を見つけていくことが読解にはとても大事なのです。
今回の文は、2格や挿入句があるので少し分かりにくい文かもしれません。文の「骨格(動詞→主語まわり)」だけを残し、簡単にすると以下のようになるはずです。

  • Der Pflege des Gedichtes widmen sich in Japan nicht nur einige wenige Literaten, sondern alle Schichten des Volkes.

訳:日本における詩作の涵養は、限られた少数の文芸家に限られるものではなく、ほぼあらゆる階層に及んでいる。

いかがでしたか。一見難しそうに見える文も、ゆっくり丁寧に分解していけば立ち向かえるはずなのです。そしてそのときに頼りになるのが「辞書」です。かならず辞書を引いて、面倒がらずに1つの文に30分でも1時間でも悩んで、答えを考えるトレーニング、「精読」をしてみてほしいです。
さらには、ドイツ語を書くためにもまずはドイツ語の文としての骨格を把握し、日本語に訳せることが大切です。このような読解の力が、たとえば独検1級の大問7の「和文独訳」を解くための基礎になっていくはずなのです。

独検HP 1級 過去問題サンプルより https://www.dokken.or.jp/study/sample.html#1kyu

さて、私の精読のおはなしはこれで終わりになります。4週間ありがとうございました!なにか新しい気づきがひとつでもあれば嬉しく思います。私にとって精読を伝えることは、もはやドイツ語にかかわる者としての人生のミッションだとさえ思っています。全てのドイツ語学習者にこの技術を知ってほしいです。遠回りに見えて、地味に見えて、いちばん着実で、確実な近道だからです。だからこそ私は惜しみなく伝えていきたいし、もっと多くの人と共有したいです。

私は(公財)日独協会でドイツ語講座をいくつか担当しています。そのうちのひとつに、「精読×音読道場 ~DW Top-Thema を読もう~」があります。この講座では、Deutsche Welle の提供する教材 Top-Thema (https://learngerman.dw.com/de/top-thema/s-55861562) ひとつを一カ月かけてみんなで「精読」しています。今回共有したこの技術「精読」について、引き続き一緒に勉強していきませんか。

DW Top-Thema にはとてもよい教材が揃っています

精読×音読道場 ~DW Top-Thema を読もう~」は、1か月単位(3回)での受講が可能です。まずはお気軽に、予定が合う月にでも、勉強しに来てみてください!心からお待ちしております。

日独協会ドイツ語講座はこちらをご覧ください:https://www.jdg.or.jp/deutschkurs/

あるいはぜひ、私が YouTube で毎月行っている精読会のライブにも遊びに来てください。コメントで参加して、実際に一緒に試してみてください。ひとつでも新しい発見があれば嬉しいです。

以上です。今月は一緒に勉強してくださり、ありがとうございました。みなさんのドイツ語学習に、「精読」が活きますように!みなさんと一緒にドイツ語を勉強できる日を楽しみにしております!

この記事を書いた人:
ニーナ(セキザワユカ)


公益財団法人日独協会ドイツ語講師。筑波大学人文学類卒業、会社員経験や在ドイツ日本国大使館勤務などを経て、現在筑波大学大学院在学中(言語学専攻)。1995年生まれ、栃木県出身。 ドイツ語の上達支援アドバイスやゲーテ試験・独検対策が得意。YouTubeチャンネル「ドイツ語だいすきクラブ」は登録者19,000人を超える。 資格:Goethe-Zertifikat C2、ドイツ語技能検定試験1級(二次試験満点)

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