見出し画像

星間航路の片隅で - 第3話「赤色の灯火」

アルテミス号は、謎のシグナルの発信源を求め、航路を外れて星間空間を進んでいた。
座標を辿ると、やがて遠くに赤く輝く小さな光が見え始める。

「赤色矮星…だな。」
操縦席のキャプテン、ヴァンスが呟く。
赤色矮星は、太陽よりもずっと小さく冷たい恒星で、その寿命は数千億年にも及ぶ。銀河系で最も多い星の種類だが、人類の植民はほとんど進んでいない。

近づくにつれ、赤い光の周囲に小さな輪郭が見えてきた。
「惑星…いや、人工物?」
リオが目を凝らす。センサーが拾ったのは、赤色矮星の極めて近くを公転する構造物だった。恒星からの放射線に晒されながらも、外殻は反射素材で覆われ、熱を逃がす放熱板が広がっている。

通信士のセリアが、再び信号を受信する。
「シグナル強度上昇。パルサー信号に似ているけど、周波数が徐々に変化してる。」
まるで誰かが意図的にこちらに合わせてきているようだった。

「歓迎されてる…のか?」
そう呟いた瞬間、アルテミス号の外壁に、赤色の光がゆっくりと流れるように走った。
それはまるで、深宇宙の闇に浮かぶ“灯火”が道案内をしているかのようだった。

この先に待つのは救いか、それとも罠か。
アルテミス号は赤い光の道を進み始めた。

いいなと思ったら応援しよう!