2回の配球が、4回の勝負を決めた。ファイターズが逃した先制機 4/29 ファイターズ振り返り
※本記事では、NPB+で確認できる打球データ・打球チャートを参照しながら振り返っています。
この日は0-3で敗戦。その中で今日の試合を振り返るうえで大事なのは4回表の1アウト1,3塁だろう。
ファイターズはこの回、レイエスと郡司の連打に相手守備の乱れも絡み、先制のチャンスを作った。1死一、三塁。打席にはカストロ、続いて野村。スコアレスの中で、ここは試合を動かせる場面だった。
しかし結果は、カストロが初球を二飛。野村は初球を見逃し、2球目を三ゴロ。最大のチャンスは、わずか3球で終わった。
ここの伏線は2回表の1順目の配球に現れていたのではないだろうか。わかりやすくまとめていこう。
カストロの場合
2回表:外への意識づけ
2回表、カストロは5球目のフォーシーム147.3km/hをレフト前へ運んだ。
結果だけ見ればヒット。
しかし、打球内容を見ると少し違って見える。
打球速度:135.0km/h
角度:2度
飛距離:18.9m
結果:左安打
安打ではあるが、長打性の強い打球ではなかった。
ここで高橋光成と西武バッテリーが得た情報は、単に「打たれた」ではなく、次のようなものだったのではないか。
カストロは外の球に対応できる。
ただし、外中心に攻めることで、意識を外へ寄せることはできる。
つまり2回の外攻めは、失敗ではなく、4回への情報収集でもあった。
4回表:外の意識を作ったうえで、初球を打たせる
そして4回表。
1死一、三塁の場面で、カストロは初球の厳しいインコースのフォーシーム150.0km/hに手を出して二飛。
打球速度:83.5km/h
角度:41度
飛距離:41.1m
結果:二飛
三塁走者は動けない。
球数も使わせていない。
危険な打球にもなっていない。
ここで重要なのは、初球フォーシームが「ただストライクを取りにいった1球」には見えないことだ。
2回にアウトコースを見せ、カストロの意識を外へ寄せる。
そのうえで、4回の勝負所では初球から打たせる。
厳しいインコースに手を出した結果、打球は力なく上がり、内野フライになった。
これは「カストロが早打ちした」というより、
初球から手を出しやすい打者に、初球で打たせたい打球を打たせた場面
と見る方が自然だと思う。
野村佑希の場合
2回表:低めを強く意識させる
野村の第1打席も、4回につながっていた。
2回表、高橋は配球チャートの半分より下を4球続けた。
最後はフォーク141.5km/hで遊併殺。
ただし、ここも結果だけでは見えない部分がある。
打球速度:160.8km/h
角度:-7度
飛距離:5.2m
結果:ゲッツー
打球速度だけならかなり強い。
しかし角度は-7度。完全に地面に刺さっている。
ここで高橋側が得た情報は、こうだったはずだ。
野村は強く打てる。
ただし、角度を殺せばゴロで処理できる。
さらに、低めを強く意識させることができる。
2回のフォーク併殺は、ただのアウトではない。
野村の頭に「低め」「落ちる球」「ゴロ」という残像を残した打席だった。
4回表:低めの残像を使いながら、高めのフォーシームで処理
そして4回表。
野村にはフォークを投げていない。
初球、2球目とも150.6km/hのフォーシームだった。
ただ、2回に低め中心で攻められ、フォークで併殺を取られている以上、野村の頭には低めの変化球の残像がある。
そこにストレートを続けられた。
そして高めに構えた2球目を打って三ゴロ。
打球速度:119.9km/h
角度:0度
飛距離:13.4m
結果:三ゴロ
2回は強いゴロ。
4回は弱いゴロ。
ここが大きい。
高橋は野村に対して、ただ「強く打たせて角度を殺した」だけではない。
4回の勝負所では、そもそも強い打球にさせていない。
つまり、4回表は単なる拙攻ではない。
2回に見せた攻め方を、4回の勝負所で高橋光成に使われた場面
だったのではないか。
しかし、ファイターズ打線も捉え始める。7回表の大飛球3本は忘れなられない。
カストロは打球速度155.3km/h、角度26度、飛距離107.6mの右直。
野村佑希は164.2km/h、角度33度、飛距離116.7mの中飛。
マルティネスも168.7km/h、角度32度、飛距離120.0mの中飛。
数字だけを見れば、どれもホームラン未遂、方向によっては入っていてもおかしくなかったと言いたくなる打球だった。実際、高橋光成はこの7回限りで降板している。西武側から見ても、もう一巡させるには危険な兆候が出ていたのだろう。故に継投策に入り、篠原→甲斐野の前に抑えられた。
試合数も重ねて、相手チームの対策も進んでいる。その中でどう対応していくのか。日々の成長を見守っていきたい。
