守備型で入り、攻撃型へ変える。敗戦に残ったファイターズの柔軟性 5/30 ファイターズ振り返り
5月30日の巨人戦は、日本ハムが3-5で敗れた。
両軍ともに9安打。数字だけを見れば、決して一方的に押し込まれた試合ではなかった。ただ、試合の主導権は序盤に巨人へ渡った。先発の有原航平は1回に先制を許し、2回には連続本塁打。3回にも失策と盗塁を絡められて4点目を失った。
その後、中盤以降に立て直し、7回まで投げ切った。終盤にはカストロ、郡司裕也、清宮幸太郎の一打で1点ずつ返した。それでも、届かなかった。
この試合を「序盤の4失点が重かった」とまとめることはできる。もちろん、それは間違いではない。ただ、もう少し違う角度から見るなら、この敗戦にはチームの形が見えた試合でもあったように思う。
ファイターズは、最初に組んだオーダーに縛られていなかった。
この日のスタメンは、守備を強く意識した並びだった。試合後の新庄剛志監督のコメントを見ると、有原が内野ゴロを多く打たせることを想定し、低めに集めて右打者を詰まらせる。その前提で、点をやらないオーダーを組んだ意図があったように受け取れる。
つまり、この日の守備型オーダーは、単なる消極策ではなかったのだと思う。
有原の本来像に合わせた設計だったのではないか。
低めに集めてゴロを打たせる。内野で処理し、余計な失点を防ぐ。交流戦、しかも巨人の救援陣を考えれば、序盤から大量点を奪いにいくよりも、まず試合を壊さないことを優先する考え方は十分に理解できる。
ただし、その設計は、有原が本来に近い投球が出来てこそ。
この日の有原は、序盤に変化球が浮いた。詰まらせて内野で拾うはずだった打球が、外野へ飛び、スタンドまで運ばれた。守備型で入ったこと自体が悪かったというより、守備型で入る前提だった投球が、序盤に想定から少し外れてしまった。そこに、この試合の難しさがあったように思う。
その中でも大事なのは、ベンチが試合の中でチームの性格を変えようとしていたことだ。
6回には山縣秀に代えて細川凌平。7回には五十幡亮汰に代えてカストロ、梅林優貴に代えて野村佑希。守備型で入った試合を、展開に応じて攻撃型へ寄せていったように見えた。
そして、その交代がただの形だけで終わらなかった。
7回、代打カストロがソロ本塁打。続く野村も中前打で出塁した。8回には郡司が大勢からソロ本塁打。9回には水野達稀、万波中正が四球でつなぎ、清宮が適時打を放った。
結果としては届かなかった。だが、終盤に反撃の形は作った。
最初から攻撃型で殴りにいくのではなく、先発投手の特性に合わせて守備型で入る。そして試合展開、相手投手、点差を見ながら、途中から攻撃型へ変えていく。これは、単なる代打策というより、チーム全体の可変性として見てもいいのではないか。
もちろん、これを過大評価してはいけない。
新庄監督は、巨人戦について「七回までに勝っておかないと難しい」といった趣旨の見方も示している。つまり、終盤に反撃できたことは収穫でも、本来はそこまでに主導権を握る必要があった。守備型から攻撃型へ変えられる柔軟性は武器になり得る。しかし、その可変性は序盤の4失点を帳消しにできるものではない。
もう一つ、この試合で考えたいのは、有原の昇格の意味である。
試合後のコメントを見る限り、新庄監督が「状態が良いから強く推して上げた」と単純に言い切れる昇格には、私には見えなかった。むしろ、本来の有原とはまだ違うとしながらも、優勝を考えれば戻ってもらわなければならない投手だという必要性を語っていたように感じた。
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このニュアンスは、清水大暉へのコメントと対比するとより見えやすい。
清水については、監督が明確に「あのイメージで上げた」と語り、球速やクイックの部分にも具体的に触れていた。つまり、清水は今のボール、今の状態に対する評価が昇格理由として見えやすかった。
一方、有原は少し違って見える。
有原の登板は、今すぐ完成形として一軍に戻したというより、チーム全体で描いている復帰プロセスの途中にあったのではないか。二軍での調整、梅林とのバッテリー、優勝を見据えた戦力構想。その複数の事情が重なった中で、一度一軍で現在地を確認する意味合いもあったように感じる。
梅林が昇格時に、自分の打撃状態が良かったからではなく、有原がいるから呼ばれたという趣旨の言葉を残していたことも、その見方を補強しているように思う。もちろん、内部の判断までは分からない。ただ、有原一人の昇格というより、二軍で組んできたバッテリーごと一軍に持ち込んだ形にも見えた。
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※是非皆さんの意見も聞きたいです。
守備型で入り、攻撃型へ変える。
有原の本来像に合わせて試合を設計し、想定が崩れれば途中から形を変える。結果は敗戦だったが、ベンチは最初の形に固執していたわけではないように見えた。
この試合で見えたのは、守備型オーダーの成功や失敗だけではない。
先発投手の復帰過程、守備重視の入り方、代打を使った攻撃型への移行。そのすべてを含めて、ファイターズが試合中にチームの姿を変えようとしていたことだ。
ただし、その可変性を勝ちに変えるには条件がある。
試合が壊れ切る前に、持ちこたえること。
終盤に反撃の形を作れるからこそ、序盤の失点をどこまで抑えられるかがより重くなる。今日の敗戦は、その現実を突きつけた試合でもあった。
守備型で入り、攻撃型へ変えられるチームになりつつある。
あとは、その変化が勝敗に届く時間帯まで、試合を残せるか。
敗戦の中に見えた収穫と課題は、そこにあったように思う。
