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ある日、それは4月のはじめ...

うすのろ日記 2026.4.1(水) April is here.


都会のビルの狭間でも海の匂いがする。
湿気を帯びた風が南西方向から吹いてくる日、その匂いが顕著になる。
まだ雨が降り出す前、窓を開けて外の様子を伺うと、堂島川を行く観光船につられてきたのか、その時、海の匂いがした。
それは南国の海を思わせる鼻をくすぐるような潮風を含んだ匂いではなく、どこか魚の群れを連想させる匂いであった。
雨が降り始めて、その匂いはやんだ。

薄曇りの空、鳥待月とりまちづきが始まる。
しかし、今の私が時鳥ほととぎすの声を聞くことはこの先ないのだろうなと思う。
その代わり、名も知らぬ鳥がマンションの周りを旋回している。
「キキキキッキー」という猿の鳴き声にも似た鳴き方をしている。
どこからきて、どこに行く鳥たちなのだろう。
マンションの周りにも、どこからか来た人たちの引越しトラックが何台も横付けされている。その分、去っていく人もいるのだろう。
どこからかくる人、どこかに去る人、何かを始める人、何かをやめる人、
何かに希望を見出す人、何かを諦める人…春は悲喜交々だ。

以前、もう数年前になると思うが、とても気持ちのいいお天気の気持ちのいい場所でぼんやりと過ごしている時に、「このまま眠るように死んでもいいなぁ」と思うことがあるというふうなことをここに書いた記憶がある。
そういったシチュエーションはもう何年も感じたことがなかったが、今日お昼ごはんを食べて、ソファで横になりかすかに聞こえる雨の音と、近くの工事現場から聞こえる穴を掘る音などが聞こえてきて、眠くなってうとうとしている時に、ふとその思いが蘇った。心地よい心境であった。
これは決して自殺願望などではない。そんなことを思うほど気持ちいい状態だということだ。
歳を重ねると、そんな状態にはなかなかなれない。
常にどこかが痛いし、常に何かを憂いでいるし、常に明日のことを考え込んだりしている。今日はそれがまったくない状態だということだ。

雨で始まる四月、なかなかいい。



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イトカズ 読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。