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それ、仮契約じゃなくて契約ですよ

不動産には仮契約はあるのか?

某住宅会社から「今、仮契約をすれば坪単価を固定できます」と言われることがあります。
それってお得なんでしょうか?

SNSで「みんな⚪︎⚪︎工務店さんみたいに仮契約があればいいのに」という危険な投稿を見ましたので、注意喚起します。

不動産には仮契約はありません。それ契約です。

土地も間取りも決まっていない。
最終金額も分からない。
それでも先に100万円を払えば、将来の値上げを避けられる、しかも解約すれば返金されるから損はない。

ここだけ聞けば、早く契約した方が得に見えますよね。契約のハードルも下がります。
これは素晴らしい会社でしょうか?

いや、逆です。その会社大丈夫ですか?

契約書に署名し、まとまった金額を払い、その後に設計や見積もりを進めるなら契約書に「仮」と付いていても、単なる予約ではありません。
契約は、書類の名前ではなく中身で判断されます。「仮契約」と書かれていても、建物を建てることや代金を払うことに合意し、100万円を支払ったなら、もうそれは契約です。
それをキチンと説明せず会社全体で推奨する会社は不誠実ではないでしょうか?

「仮契約」は安全地帯ではない

宅建業法に、「仮契約なら自由に白紙へ戻せる」という特別な制度があるわけではありません。

お堅い話をきちんとすると、民法上の請負契約は、建築会社が仕事を完成させることを約束し、施主がその結果に報酬を払うことを約束すれば成立します。
書類の表紙に「仮契約」と書こうが、それは民法上の契約です。

だからあちこちで問題に

契約後に営業担当や設計士が動き、図面や見積書を作れば、解約時に設計費や調査費などを差し引かれる可能性があります。
注文者は工事完成前なら契約を解除できますが、民法641条では請負人に生じた損害を賠償することが前提です。

「いつでもやめられる」と「無料で白紙に戻せる」は、まったく別の話です。
ここがそもそもあちこちで揉めている原因です。

そもそも坪単価が胡散臭い

間取りも面積も仕様も決まっていない段階で、坪単価だけを固定して何が決まったのでしょうか。
そもそも坪単価固定って何?
どのプランでも大きさに比例して価格が均一のわけがありません。

焼肉屋の食べ放題と一緒で、必ず業者がどんなプランでも損をしない価格を設定し、それを勝手に「坪単価」と言っているだけです。
極端な話ですが、基礎や外壁の大きさもプランによっては大きく変わるからです。

家の総額は、建物の大きさ、設備、オプション、付帯工事、地盤改良、外構工事で変わります。
坪単価が据え置かれていても、打ち合わせが進むたびにチョコチョコ総額が上がれば、支払額は普通に増えます。

それ、お得なのか?

まだ何を建てるか決まっていないのに、価格だけを固定したように見せる。
それって、お得な家づくりなのでしょうか。

住宅会社にとっては、先に100万円を払わせれば、客を他社へ行きにくくできます。結果として交渉を優位に勧める作戦かもしれません。
施主側には「ここまで進めたのだから」という心理が生まれ、しかも解約や返金の不安も出てくるので、キャンセルがしにくくなります。

「値上げ前に坪単価押さえましょう」は、親切な案内に見えて、早い段階で客を囲い込む営業手法なだけです。
それは誠実な営業スタイルだと思いますか?

とりあえず印鑑は危険⚠️

本来、住宅の契約は、どんな家が建つのか、いくらかかるのか、希望がどこまで実現できるのかを確認してから納得して結ぶものです。

消費者契約法では、重要な条件について事実と異なる説明をして誤認させた場合や、有利な部分だけを説明して不利益な事実を伝えなかった場合、契約を取り消せる場合があります。

見るべきなのは「仮だから大丈夫」という営業トークではありません。

一生に一度の買い物を、後悔なくするためには、私たち消費者もきちんとした知識をつけて武装する必要があります。

その仮契約、契約ですよ。

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