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オラ、ハーレムだぞ、うれし涙流せや、コラ

  目次

 黒神烈火は目の下に青い縦線を浮かび上がらせながらあぐらをかいていた。

「レッカ様、どうぞお召し上がりくださいませ。ずっとオークどもに囲まれていたので、たいしたものがないのがとても心苦しいですが……」
「……キニスンナ」
「レッカさまぁ、お酌します~」
「……オウ」
「レッカさま、はい、あ~ん」
「……モグモグ。ウマイヨ」
「レッカ様ってすっごく逞しいんですね。えーい、ひっついちゃえ♪」
「……ハハハ、コヤツメ」

 ぷにょん、と腕に柔らかい感触。
 四人のエルフ女子に囲まれて、ささやかながら心づくしの宴をエンジョイする烈火であった。
 なんか知んないけどロリコンが途中でばっくれやがったので、しゃーねえから烈火は一人でオンディーナを攻囲するオークどもを片っ端から千切って鼻毛千切って鼻毛して徹底的に殲滅しつくしたのち螺旋階段が生えてる巨樹を守っていたエルフ騎士たちと出会い「人族の勇者よ、なんと礼を言えば良いものか」とかなんとか言われるところまでは問題なかった。むしろ絶好調だった。ビンビンだった。
 彼らに案内されて、あのーなんかメルヘンなツリーハウス的なもののひとつで歓待を受けることになったのであった。
 望んでいたことであった。むしろ酒池肉林。あよわくば酒池肉林。なにはなくとも酒池肉林。

 そこにやってきたのはモヒカンの集団であった。

 …………。

 そこにやってきたのはモヒカンの集団であった。

「なんでだァァァァァァァァッッ!!!!!!!」
「きゃっ、どうかなさいましたかレッカ様?」

 いやいや。いやいやいやいやいや。おかしいでしょうコレ。どうなってんのコレ。この世界モヒカンフィルター解除されてんじゃおまへんのコレ。え? あれ? つまり何? どゆこと? 俺は? この世界に来てから? 強い奴と人外にしか会ってなかったってこと?
 思い出す。
 オーク(フォルムが人外)。
 ガキ(強い)。
 貧乳エルフ(?)。
 パイオツ(でかい)(じゃなかった強い)。
 ロリコン(強い)。
 エルフ騎士(たぶん強い)。

「シャーリィとかいうガキ以外モヒカンフィルター正常機能してたァァァァァァァァッッ!!!!!!!」
「あれ? レッカさま、シャーリィ殿下にお会いしたの?」
「かわいいよねー、シャーリィ殿下」
「ウン、ソダネ……」

 その時、戸口から男たちが入ってきた。全員、緑や青などの寒色系の髪だった。
 甲冑は脱いでいたが、さっき会ったエルフ騎士たちだ。モヒカン化していない。つまり相応の実力者ということだ。

「なんと、シャーリィ殿下に会われたのか。ご無事なのか?」
「あー? 無事無事。なんか俺と同じ感じで召喚されてきた連中が守ってっから」
「召喚……!? つまり、貴殿はその、異界の英雄、ということか!?」
「あー、そうそう、で、チートでハーレムすっからそこんとこよろしく。ちくしょうスマホとかあれば!!!! スマホさえ持ってきてればなんかすごい魔法道具だコラとか言って大金でうっぱらえたのに!!!!! ちくわすら持ってねえ!!!!!」
「何を言っとるのかよくわからんが、そうか、本当に召喚なされたのか……ううむ、主筋のお言葉を疑ってしまったな。それで、殿下は今どちらに?」
「多分そのへんいんじゃねえの? この、この街、えーと、オンデマンド? だかには来てるはずだぜ」
「すぐにお迎えを!」
「はぁーい♪」

 モヒカンの一人が駈け出して行った。
 烈火は木の器になみなみと注がれた、芳香を放つ透明な液体をぐいと一気飲みした。
 ほのかな甘みに一瞬果汁かなと錯覚するが、直後に食道や胃がぼわっと熱くなり、全身の血管がぎゅいんぎゅいんと音を立てんばかりに血を循環させ始める。
 脳みそが綿になってしまったような感覚に、烈火は酔いしれた。エルフの作った酒か。烈火はあんまし酒とか飲まないので良し悪しはわからないが、たぶん美味いんじゃねこれ。

「レッカさま、はい、あ~ん」

 凶悪なご面相のモヒカンが優しい目をして木製のフォークっぽいものに刺さった、見た目お好み焼きみたいな感じのものの切れ端を差し出してくる。
 腕にひっついてるモヒカンとは違い、表情筋の浮き出た頬を少し赤らめている。恥らっているのだ。モヒカンが。
 正気度チェックに失敗! 烈火はSAN値がD3下がった!
 眼の下の縦線が長くなる!

「……ワーイ、イタダキマース」

 相手の姿を必死に意識の外に追いやり、お好み焼き(仮)にパクつく。
 肉と野菜を粉ものの生地で挟んだ感じのなんかだった。香辛料の効いた肉の濃厚な旨みと、軽く塩茹でされた葉菜の食感、そして生地の持つかすかな甘さが口の中で渾然と混ざり合う。

「うまし!!!!」
「えへへ~、ありがとうございます~」

 モヒカンが両頬に手を当ててくねくねしている!
 途端に食道を下降中だったお好み焼きめいたなんかが逆流しそうになるのをどうにか飲み下した。全身に脂汗を浮かべながら、烈火はこのわけのわからない拷問に耐えた!

【続く】

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