見出し画像

【LAWドキュメント72時間】冤罪はこうして作られる

冤罪とは、一般的には、刑事事件において、犯罪を行っていないにもかかわらず、有罪の判決が確定した場合のことをいいます。

判決が確定していなくとも、犯罪を行っていないにもかかわらず、有罪の判決が言い渡されたり、被疑者として取り調べられたり逮捕された際などに、冤罪であると言うこともあります。

これまで、有罪判決が確定した後の再審によって無罪となった事例があります。これなどは、典型的な冤罪事件であるといえるでしょう。

判決は、裁判官により言い渡されます。

裁判官は、法廷に提出された証拠によって事実認定を行います(証拠裁判主義・刑事訴訟法317条に「事実認定は、証拠による。」と規定されています。)。

刑事訴訟では、冤罪が起きないように心掛けられてはいますが、人間が過去の事実を裁判に提出された証拠限りで判断する以上、そこに誤りが入ることは避けることはできません。

現に、裁判は三審制がひかれ、第1審と第2審で有罪無罪の判断が違うことがあります。

もちろん、冤罪が生じることが仕方ないと考えられているわけではなく、裁判官による慎重な判断や、「疑わしきは被告人の利益に」の理念に基づき刑事訴訟は運営されるべきものとされています。


■テキスト:「冤罪はこうして作られる」(講談社現代新書)小田中聰樹(著)

[ 内容 ]
無実の者が、ある日突然に「犯人」にされる。
警察はなぜ「犯人」を作り出すのか。
裁判官はなぜウソを見抜けないのか。
今も冤罪を生み続けている日本の刑事司法の構造的欠陥をえぐる。

[ 目次 ]
●他人の悲劇ではない
●なぜ虚偽自白をするのか
●アリバイを握りつぶす
●代用監獄で何がおこなわれるのか
●見込み捜査の危険性
●警察スパイの違法性
●鑑定を無条件に信頼
●棒読み自白の録音テープ
●都合の悪い証拠は無視
●裁判官はなぜ誤るのか
●誤判の蔭に誤鑑定あり
●冤罪を防ぐために

[ 問題提起 ]
冤罪が起こるという事実を知ってはいても、それがどのくらいの頻度で起こるのか、またどの様な人がその犠牲者になるのかは少しも知らなかったし、わざわざ知ろうともしなかった。

日本の警察の検挙率は高いが、いったいその何パーセントが冤罪なのかを考えると恐ろしくなる。

この本は冤罪がなぜ起こるのか、また起こった冤罪がなぜもっと簡単に発見できないのかを、実際に起こった二つの事件を参考にしながら書いてある。

[ 結論 ]
主に「冤罪の作られ方」が詳しく書かれ、捜査官、検察官、裁判官の問題点が上げられている。

その問題の部分が多く、二つ目の布川事件の章にはいるときには、少し気分が暗くなる。

しかし、第七章の「冤罪を防ぐために」では、その予防手段や弁護士、裁判官などの取り組みも少し書かれていて少し安心できた。

しかし、冤罪が起こる原因が主に「強制させられた自白」にあることだけにこだわって、他の原因についてはほとんど書かれていないのが、なんだか物足りない気がする。

他の本である程度冤罪について学んだ読者にとっては、本書はつまらない本と感じられるだろう。

この本で述べられている冤罪が生まれるメカニズムは、他書でもよく取り上げられている常識的なものばかりであり、本書から目新しい冤罪の原因を学ぶことはできないからである。

しかしそれは裏を返せば、本書が、これまでの冤罪に関する議論をきれいに分類し総まとめした有益な基本書であることを意味することにもなる。

このような性質からして、この本一冊で冤罪に関する議論の勘所を的確におさえることができる。

これから冤罪について学びたいという読者はまずこの本から入ると良いと思う。

[ コメント ]
この本を読み終えたら、秋山賢三『裁判官はなぜ誤るのか』や、浜田寿美男『自白の心理学』に進まれることをお勧めします。

いいなと思ったら応援しよう!