【わたしとあなた】おだやかな気持ちになりたくて海を見に行くときがある

たったひとつの答え
を
すぐに
導き出す
のではなくて
それぞれの
解釈
や
未知の考え方
に
時間
をかけて
出会える
ような
そういった
場所
になれたら
意外な言葉の組み合わせ
から
想像したことのない風景へ
普段のコミュニケーション
や
理論の組み立て方
から
少し離れた言葉
によって
自分自身で蓋をしていた感情
を
思い出させてくれる
つくる人
も
うけとる人
も
未知の感じ方
や
考え方
に
時間
をかけて
出会える
ように
どこか遠くへ
あるいは
どこまでも
深い場所へ
と
連れていかれるような
感覚になれる
そんな
言葉たち
と
触れ合いたい
■短歌「リモート・シーケンス」(20首)/初谷むい

あなたさえいれば 世界が 燃えていてわたしの心だと気づくまで !
・
・
世界は壊れかけているのかも ぎりぎりで耐えているのかも まあいっかー
いつか楽にしてくれるきれいな言葉 どうしよう 秘色色の夜のこと
紙パック飲料にする力加減 わたしずっとやさしくなんてなかったね
これは夢ですか ? ・ はやく ・ はい、 光です。 ・ はやく冗談を言わなくちゃ
白線渡りのさいごをどうしていたかとか そういうことがこわいままです
木立がゆっくり揺れるイメージ 頼りにしてるってこういうことかもなあ
ねむたいねーねむたいねーと言い合えば羽化だって止められると思ってた
声を電波に乗せる。 まばたきに音はないが、 わたしたちはそれがわかる。
何が欲しかったんだろう、 と 瑪瑙 あとになって思うかもしれないけれど
あなた以外がどんなにすてきだったって……///晩年に愛するはずの音楽
わるいひとになるのはきっと楽かもね こんばんはあ、 と地下鉄が来る
喩えるなら夢の速さ あなたがぐちゃっとさせたわたしの心が好きだった
溺れましょうかで溺れたわけがないでしょう ゆっくり顔を見せてごらんよ
空間に発語が足されて ・ わらう ・ 笑う ・ 世界は二人のためにあるから
クリスタル しょうがないなあ プリズム このままここにいるからねー
わたしたち歌 おたがいの喉が飽きるまで歌って証明してみせようよ
聴いていた音楽が盛り上がって おっ と思う むかしむかしあるところで
一途な人生 あなたにわたしの名前を書いてもなーんの意味もないのはいいね
・
・
/何にもいらないよ 道は見えないけど目の前は見えて それがあなただった
水平線
と
向かいあう
とき
波
を
感じる
とき
何もかもが
赦されて
また
自分
を
新しく
創められ
そうな
そんな
気がする
■海を見るような眼をわれに向け語れる言葉なべて詩となる/今井恵子『分散和音』
「風。そしてあなたがねむる数万の夜へわたしはシーツをかける」
(笹井宏之『てんとろり』より)
「わたしの自転車だけ倒れてるのに似てたあなたを抱き起こす海のそこ」
(雪舟えま『たんぽるぽる』より)
「横にいるわたしはあなたのかなしみの一部となりて川鵜みている」
(江戸雪『昼の夢の終わり』より)
「うぬぼれていいよ わたしが踵までやわらかいのはあなたのためと」
(佐藤真由美『恋する歌音』より)
「わかるとこに/かぎおいといて/ ゆめですか//わたしはわたし/あなたのものだ」
(今橋愛『O脚の膝』より)
「うまく言えたためしがないなそのままのあなたにもわたしにも吹く風」
(中山文花「音を聴かない」『上終歌会』より)
