映画『顔を捨てた男』| 外見と内面。どっちが人を形づくるのか。
星4
★★★★☆
ネタバレなし感想
顔に腫瘍ができる神経線維腫症を患う主人公・エドワードが、ある治療で腫瘍のない顔を手に入れる。
新たな容姿で、別人として人生を歩み始めるが……というストーリー。
事前情報をあまり入れずに観たけれど、それがかえってよかった。
“外見”をテーマの中心に据えながら、人間の本質について問いかけてくるという点では、『サブスタンス』と重なる部分もある。
ただし、こちらはホラーではないので、グロテスクな描写はなく、苦手な人も観やすいと思う。
ネタバレあり感想
俳優さんたちの演技が光る
内向的で優しいエドワードと、裕福で自信をつけたガイ(=エドワード)。そしてオズワルドへの嫉妬でメンタル崩壊するガイ?エドワード?。セバスチャン・スタンさんの繊細な演技がよかった。
イングリッド役のレナーテ・レインスヴェも大好きな女優さん。『わたしは最悪。』で有名になった方。ナチュラルで、飄々としていて、でもすごく人間くさい感じ。バランスが絶妙。
外見が変わっても、人生は思うようには変わらない──
疾患があった頃のエドワードは、内向的で陰のように生きていた。けれど、顔の腫瘍を取り除き「ガイ」という別人として再出発し、不動産会社で成功し、裕福な暮らしを手に入れる。さらに、隣人だったイングリッドとも恋愛関係に。でも、その幸せは長く続かない。
オズワルドの登場
同じ疾患を持ちながらも明るく社交的な男・オズワルドの登場。ガイ(=エドワード)は彼への嫉妬に苦しみ、エドワードの心は崩れていく。
そんな中、オズワルドに嫌悪感を示した人物を思わず刺してしまう場面が象徴的だった。オズワルドと同化しているが故、自分に対する嫌悪感とごちゃ混ぜになったのだと思う。
“顔”を捨てて、手に入れたはずの理想。
だけど、見た目が変わっても、ほんとうの自分からは逃げられない──そんな切なさと虚しさが、静かに心に残る映画だった
