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那覇検察審査会が議決に託した思い「沖縄問題の解決ため互いに切磋琢磨して」「同様な事件が繰り返されることについての懸念、危機感が強くある」 佐喜眞氏の上限超の寄付問題で 

22年の沖縄県知事選挙に立候補した佐喜眞淳氏(現・宜野湾市長)の政治団体「佐喜眞アツシ後援会」が法律の上限を超える寄付を受け取っていた問題で、沖縄の有権者で構成された那覇地検検察審査会は23年10月に不起訴相当の処分を下していたものの、「リーダーを目指そうという者が(中略)検察審査会の審査の対象となるといった事態を招来しないようにしていただきたい」と沖縄県民の声を代弁するとともに、今後も同様の事件が繰り返される危機感を表明していたことがわかった。

◆県知事選挙の候補者として自覚に乏しい

検察審査会は結論としては不起訴相当とした。しかし、「安易に収支報告書の記載を訂正すればこと足りるという姿勢が見られ、自らの責任において解決するという意欲に欠け、 他人任せであり、県知事選挙の候補者とその後援会幹部という自覚に乏しい、 杜撰な対応を行ったとの印象が拭えない」と今回の件を批判している。その上で、佐喜眞氏らを含む沖縄県内において政治活動を行っている関係者に「一言申し上げたい」と付言している。

◆他県以上に問題解決能力の高い、 有能なリーダーが求められる

沖縄が置かれている政治的に厳しい状況は基地問題だけでなく経済や教育問題など多方面に課題が山積されているだけでなく複合的な要因が絡み合っているので安易に解決はできないとした上で「少し厳しい言い方になるが、 他県以上に問題解決能力の高い、 有能なリーダーが求められると言っても過言ではない沖縄の社会において、 リーダーを目指そうという者が、 素人でもインターネット等によって容易に情報収集が可能な法規制に反したという嫌疑で、 検察審査会の審査の対象となるといった事態を招来しないようにしていただきたい」と、沖縄県の政治家やその関係者に対して強い警告をしている。

現在は宜野湾市長の佐喜眞淳氏(本人公式Xより)

◆再発の強い危機感

政治団体の収支の透明性の確保は癒着の防止し、参政権を適切に行使できるよう保障することから「本件を通じて垣間見えた県内政治関係者の現状を踏まえると、今後も同様な事件が繰り返されることについての懸念 危機感が強くある」と同様の事件が起こる危機感が強くあるとし「反省の機会を付与し体制整備や能力向上の契機とするよう、 公益の代表者としての役割を踏まえ、 実質的な働きかけを行うようお願いしたい」と注文を付けている。

◆上限の2倍の寄付

22年9月に行われた沖縄県知事選挙において、「佐喜眞アツシ後援会」(以下、後援会)は、政治資金規正法で定められている上限である150万円を超える300万円の寄付を、2019年に佐喜眞氏自身から受け取っていた。この問題を神戸学院大学の上脇教授が刑事告発をしたが不起訴となったため、検察審査会に申し立てを行っていた。佐喜眞氏は自民党と公明党の公認候補として知事選に立候補していたが、現職の玉城デニー氏に敗れた。

上脇教授のコメント

「規正法違反事件で検察審査会が不起訴相当と結論づける場合、私の経験では、その結論とその理由を簡潔に書いて、それで終わり、というものが一般的です。しかし、本件では苦言が詳述されていました。アメリカ言いなりの日本政府が沖縄県民に米軍基地を押し付けているがゆえに経済発展も阻害されていますので、他県以上に政治家には問題解決能力が求められます。にもかかわらず、規正法違反で刑事告発されたのですから、そんな政治家に対し憤らざるを得なかったからこそ、苦言が述べられたのでしょう。」

今回、那覇検察審査会が出した議決は、沖縄の政治家だけでなく、裏金問題をはじめとして「政治とカネ」問題が後を絶たない日本の政治全体にも警告を通ずるように思う。

沖縄では、7月実施の参議院選挙においても、22年の県知事選挙同様、自公が推す候補である元那覇市議の奥間亮氏と、オール沖縄が推す沖縄大学教授の高良沙哉氏の構図で、選挙戦が行われる。那覇検察審査会の思いを、両候補者やその関係者は胸に刻んで選挙戦に挑んでもらいたい。

那覇検察審査会が出した議決要旨

(個人名については筆者がアルファベットに置き換え)

本件不起訴記録及び審査申立書等を精査し、慎重に審査した結果、 当検察審査会は、 検察官がした不起訴処分の裁定を覆すに足りる証拠がないので、 上記趣旨のとおり議決する。

なお、当検察審査会は、本件の内容や経過等を踏まえ、 一般市民の率直な感覚に基づいて、次のとおり意見を述べる。

政治家や後援会関係者が関与する金銭の授受等については、 公職選挙法などの法令の内容を詳細に把握していないとしても、 禁止や制約の事項が設けられ、それを犯した場合は処罰され、 その結果、 じ後の政治活動に多大な影響を及ぼす可能性があることから、政治家や後援会関係者においては慎重な対応がなされているものと考えるのが一般的である。

佐喜眞淳氏の公式Xより

ましてや、被疑者佐喜眞淳は県内市町村の首長を経験するなどしたベテランの政治家、 被疑者A及び被疑者Bは、 後援会活動を通じて、長年佐喜眞淳の政治活動を支えてきた者であり、いずれの被疑者も、これまでの経歴からすれば、 公職選挙法や政治資金規正法などの関係法令に関する一定程度の専門的知識を有するものと考えるのが通常であろう。

しかしながら、一件記録を見る限りにおいて、被疑者らの有する知識は豊富とは言い難く、 安易に収支報告書の記載を訂正すればこと足りるという姿勢が見られ、自らの責任において解決するという意欲に欠け、他人任せであり、県知事選挙の候補者とその後援会幹部という自覚に乏しい、 杜撰な対応を行ったとの印象が拭えない。

そこで、被疑者らを含む沖縄県内において政治活動を行う方々に一言申し上げたい。 当検察審査会の存する沖縄県は、 特有の歴史的経緯や地理的状況も相俟って、 基地問題のみならず、 経済問題や教育問題など多方面に課題が山積しており、早急な対応が必要であるのに、 それらの課題は、 複合的要因が絡み合っており、いずれも難易度が高く、 安易に解決できるものとはなっていない。

少し厳しい言い方になるが、他県以上に問題解決能力の高い、 有能なリーダーが求められると言っても過言ではない沖縄の社会において、リーダーを目指そうという者が、 素人でもインターネット等によって容易に情報収集が可能な法規制に反したという嫌疑で、 検察審査会の審査の対象となるといった事態を招来しないようにしていただきたい。 そして、一件記録から伺える県内政治関係者の状況の改善を図り、 沖縄の抱える問題を解決するため、 主義主張や立場を超えて、互いに切磋琢磨して能力伸長に努められるよう、県内の機運を高めていただきたいというのが、県内の有権者で構成された当検察審査会の思いで
ある。

本事案の内容等に鑑みて、 検察官が、 本件被疑者らを不起訴処分とした結論については、当検察審査会においても妥当なものと考える。 しかしながら、 本件の場合、政治資金規正法違反という直接的な被害者が存在しない事件類型であり、一定の行政目的のために設けられた取り締まりのための規定だとしても、その実質が、 後援会の収支内容の透明性を確保することにより、 特定人との過度の癒着を防止し、国民の有する参政権が適切に行使できるよう保障するところにあるとするならば、 国民が有する参政権の実質的な保障機能という公益的な法益が侵害されている事件とも考えられるところであって、 県内に居住する有権者から構成される当検察審査会としては、本件を通じて垣間見えた県内政治関係者の現状を踏まえると、今後も同様な事件が繰り返されることについての懸念、危機感が強くある。

そのような観点から、 検察官に対しては、 本件のような事案においては、 実質的な影響力の有無の観点も加味した上で、 裏付け捜査を行うに当たっては、政党関係者を含めて幅広く捜査を行っていただき、これらを通じて、起訴するか否かは別として、 厳正に対処する姿勢を示していただくことにより、県内の政治関係者に対して、 反省の機会を付与し、体制整備や能力向上の契機とするよう、 公益の代表者としての役割を踏まえ、 実質的な働きかけを行うようお願いしたいと考えるものである。


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