「裏金づくりは証拠上明らか」検察が認定も不起訴、だから検察審査会に申し立て 裏金819万円の馳浩石川県知事を
24年12月に東京地検が不起訴処分していた元自民党所属の国会議員だった馳浩石川県知事ら4人が、起訴相当を求めて東京検察審査会に申し立てをされていたことが分かった。
申し立てをしたのは、一連の自民党裏金事件を追求し続け、馳知事らを刑事告発していた神戸学院大学の上脇博之教授。

新たに秘書も申し立て
上脇教授は、2024年8月にこの裏金事件で、馳知事と会計責任者と事務担当者の三人を刑事告発した。不起訴処分理由告知書には、馳知事ら三人はいずれも嫌疑不十分だったが、上脇教授は、馳知事の秘書が罪を犯したことが証拠上明らかとされる起訴猶予だったとの情報を得たという。今回の申し立てでは従来の三人に加えて、馳知事の秘書も含まれている。

東京地検は四人を不起訴にしたものの、秘書の政治資金規正法違反の裏金づくりにつき証拠上明らかだったと結論づけたことになる。このことから、上脇教授は証拠上明らかであるにもかかわらず、何らかの理由で東京地検が不起訴としたのは不当だとして、11人の市民の代表からなる検察審査会に対して、起訴相当と議決するように求めている。馳知事ら3人については起訴相当又は不起訴不当の議決を求めている。検察審査会の11人中8人が起訴相当と判断すると、東京地検は馳知事らを再捜査して起訴するかどうか検討することになる。
〇法違反をする強い意志
馳知事が、代表を務めていた政党支部「自由民主党石川県第一選挙区支部」(2020年まで)と「自由民主党石川県衆議院支部」(2021年、2022年)は、2018年に100万円、2019年に118万円、2020年に272万円、2021年に321万円、2022年に8万円の合計819万円を安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーの販売収入からキックバック(還付金、裏金)を受けていた。一連の裏金事件の捜査終了を受けて、2024年2月7日に政治資金収支報告書を訂正したことによって、キックバックを受けていたことが発覚した。

安倍派からの寄付は追記されたが、寄付を受けた日付に関しては「不明」とされている。このことについて、政治資金規正法で定められている帳簿につけていなかったことが伺えるので、初めから法違反を行う強い意志(故意)があったと申立書で批判している。
翻された説明
馳知事は、一連の事件が大きな話題となった2024年12月には「政治資金規正法に基づいて適切に処理をされていると認識している」と説明していた。しかし、裏金事件が明らかになった25年1月には朝日新聞の取材に対して次のように答えている。
『不記載の理由について馳知事は「(秘書が)安倍派から『(収支報告書には記載しなくてもよい』と聞いていた」ことから「それに従い処理をしたということだった」と釈明。「本来、政治資金規正法にのっとり、適切に処理がなされるべきものが、そうなっていなかった」とし、「おわび申し上げます」と頭を下げた。
使途については「一部を政治活動に必要な旅費や通信費などの事務所経費として支出をしたと聞いている」とした。』(一部、筆者が本記事に沿って言い換え)

申し立てをした上脇教授は次のように話す。
「東京地検は過去の政治資金規正法違反の収支報告書虚偽記入罪を踏まえて3000万円を下回る場合には政治家の事務方を起訴猶予にしていますが、安倍派の事件は派閥全体によって毎年組織的に行なわれた裏金事件なので、過去の単発に行なわれた事件と比べて悪質です。ですから、東京検察審査会はその点を重視して、起訴猶予だった事務方について不起訴は不当であり起訴すべき(起訴相当)と議決してほしいと思います。
事務方は政治家の判断なしに独断で裏金処理はできないので、嫌疑不十分だった政治家についても起訴相当と判断してほしいですが、証拠不十分で起訴相当と議決できなくても不起訴不当と議決して再捜査を求めてほしいものです」
馳知事は、母校の星稜高校で教鞭をとりながらロサンゼルス五輪に出場した後、プロレス界に入った。1995年に参議院石川県選挙区に立候補し初当選。2000年に衆議院石川1区から立候補し当選し、安倍内閣では文部科学大臣を務めた。2022年には石川県知事選挙に立候補し初当選し現在も石川県知事を務めている。現在は日本維新の会の顧問も務めている。
