森喜朗元総理、西村元大臣、松野元官房長官ら安倍派元幹部を刑事告発 安倍派の裏金事件で
清和政策研究会(旧安倍派、旧細田派)の裏金問題で、2020年以降に旧安倍派の事務総長や会長代理などの要職にあった松野博一元官房長官や西村康稔元経済産業大臣ら10人が、東京地検に1日、刑事告発された。

すでに刑が確定している清和会の代表兼会計責任者、亡くなった安倍晋三元総理と細田博之元衆議院議長は今回の刑事告発からは除外された。また、萩生田光一元経済産業大臣は、筆者の質問に対して一連の裏金事件への関与を否定した。
刑事告発をしたのは、裏金問題を追及し続ける神戸学院大学の上脇博之教授。
今回、刑事告発された政治家たち
・下村博文元文部科学大臣(2022年、会長代理)
・松野博一元官房長官(2020年、2022年、事務総長)
・西村康稔元経済産業大臣(2021年、2022年、事務総長)
・塩谷立元衆議院議員(2022年、会長代理)
・高木毅元自民党国会対策委員長(2022年、事務総長)
・世耕弘成元自民党参議院幹事長(2022年、清和会参院会長)
・萩生田光一元経済産業大臣(2022年)
・森喜朗元首相(2022年、元会長)
・事務担当者(2020年~2022年)
()内の西暦は告発対象年と役職
告発状によると、清和政策研究会は2022年、政治資金パーティーの収入額を政治資金収支報告書に過少に記載して1億282万円の裏金をつくっていた。また、その中からパーティー券の販売ノルマを上回った分を所属議員の各政治団体に寄付をしていたにもかかわらず、清和政策研究会は政治資金収支報告書にその支出明細を記載していなかった。その政治団体の数は53団体9,117万円(告発では既の告発された池田佳隆氏の分を除き52団体8,617万円)に上る。
2022年の清和政策研究会は、会長だった安倍晋三元首相が7月に亡くなり、集団指導体制に移行していた。今回の違法な寄付はその時期に行われた可能性が高いことから、集団指導のメンバー7人に元会長だった森喜朗元首相、会計責任者、事務担当者の計10人が共謀して行ったと告発状では指摘し、すでに起訴され有罪が確定している元会計責任者以外の9人が刑事告発された。
2022年の集団指導体制は会長代行だった塩谷立元衆院議員、下村博文元文科大臣、副会長だった高木毅元自民党国会対策委員長、事務総長だった西村康稔元経済産業大臣、松野博一元官房長官、萩生田光一元経済産業大臣で構成されていた。

2021年の清和政策研究会は、同じ手口で1億7,185万円の裏金をつくり、66団体1億6,085万円(65団体1億,755万円)に上る寄付支出を政治資金収支報告書に記載していなかった。安倍晋三元首相が会長、西村元大臣が事務局長を務めていたことから、会計責任者と事務担当者の4人が共謀して行ったとし、亡くなった安倍元首相、すでに起訴をされている会計責任者を除く2人が刑事告発の対象となった。
2020年の清和政策研究会は、同じ手口で1億6,121万円の裏金をつくり、81団体1億5,871万円(80団体1億4,493万円)に上る寄付を政治資金収支報告書に記載していなかった。細田博之元官房長官が会長、松野元官房長官が事務局長を務めていたことから、会計責任者と事務担当者の4人が共謀して行ったとし、亡くなった細田元官房長官、すでに起訴をされている会計責任者を除く2人が刑事告発の対象となった。

刑事告発をした上脇博之教授は次のように話す。
「今回は、公訴時効が完成してない2020年~2022年の政治資金パーティーにおける巨額の裏金づくりの虚偽記入と、昨年1月に告発し東京地検が起訴した池田佳隆氏への分を除くキックバック(還付)・中抜きによる巨額の寄附金支出の不記載などを告発しました。池田氏を告発した後に、東京地検が起訴した元会計責任者が安倍総理死亡後の2022年8月に安倍派の幹部会合で還付を再開する方針が決まったことを証言したので、それも証拠にして集団指導体制のメンバーも被告発人にして告発しました。」
今回告発をされた国会議員たちに一連の裏金事件について事実関係を尋ねる質問状を送付したところ、萩生田光一元経済産業大臣からは、経済産業大臣を務めていたため清和会の役員ではないため、運営や意思決定にはかかわっていないと回答があり、今回の告発対象を否定した。また、萩生田元大臣以外の現職国会議員からは回答はなかった。
この件について、上脇教授は次のように指摘した。
「萩生田議員は亡くなった安倍元代表の側近中の側近であり、当時大臣であっても、2022年8月以降は森元代表が決めた集団指導体制のメンバーだったと報道されていたのですから、派閥の運営や意思決定にかかわってないことの証明にはならないと思います。」
萩生田光一元経済産業大臣からの回答は次の通り。
『2022年7月8日の安倍晋三会長ご逝去後、清和政策研究会は会長ポストが空席となり、安倍会長が指名した役員がそのまま合議制で政策集団の運営を担ってまいりました。塩谷立、下村博文両会長代理を中心とした幹部で1年間、意思決定を行ってきたと理解しております。
私は当時、経済産業大臣を務めていたため役員に選任されておらず、政策集団の運営や意思決定に関わっておりませんでした。
その後、政策集団の新体制について議論が続いておりましたが、2023年8月31日に塩谷立氏を座長とし、衆院議員9人、参院議員6人の計15人の常任幹事で構成される集団指導体制に移行いたしました。その際に常任幹事として清和研の役員に初めて選出されました。
これまで役員ではなかったため、清和政策研究会の政治資金パーティーの運営や収入の取り扱い、会計処理などに関与する立場にも、知りうる立場にも、他の所属議員に伝える立場にもなかったことを明確に申し上げます。
安倍会長による還付の取りやめ指示、役員協議による再開に関して、一部報道や国会の政治倫理審査会の場で議論となっております。これらの協議が実施されたとされる2023年4月、8月の2回にわたる幹部会合には出席していないことも改めて申し上げます。
一部報道で「5人衆」として派閥運営を主導してきたのではないかと指摘されております。いわゆる「5人衆」は政策集団内の有志による集まりをメディアが呼称したものです。清和政策研究会の正式な役員でもなければ、何らかの意思決定の権限を持つ集まりでもありません。』
『清和政策研究会の政治資金パーティーの運営や収入の取り扱い、会計処理などに関与する立場にも、知りうる立場にも、他の所属議員に伝える立場にもなかったため、お答えいたしかねます。』
